シェアリングエコノミーの定義
シェアリングエコノミーとは、個人がもっている「モノ・場所・スキル」などを、ほかの人に貸し出したり売買したりするビジネスのことです。なかには企業が所有するモノ・資産を、個人に貸し出す場合もあります。
しかし、ユニークな点として挙げられるのは、消費者同士でも取り引きが行える点です。多くの場合、企業はインターネット上のプラットフォームを消費者に提供する形で関与します。よく知られている例をあげると、フリマアプリのメルカリもシェアリングエコノミーにあたりますよ。
シェアリングエコノミーが注目される理由
シェアリングエコノミーの市場規模は、一貫して拡大をつづけています。急成長の背景には、どのような理由があるのでしょうか。
インターネットの普及
シェアリングエコノミーの誕生の大きなきっかけとなったのは、インターネットの普及です。インターネットの誕生以前は、個人が所有している商品を譲ろうとしても、その情報を必要としている人に伝えられませんでした。
しかし、インターネットが広く使われるようになり、あらゆる情報を瞬時に発信することが可能に。さらに、スマホも普及して、多くの人々がいつでもインターネットにアクセスできるようになりました。
こうした背景から、不要になった商品やちょっとした空き時間などを、他人と手軽にシェアできるようになったのです。
価値観の変化
「モノは所有するのが当たり前」という意識が薄れてきたことも、シェアリングエコノミーが急速に普及している理由のひとつです。バブル崩壊後の不況をきっかけとして、日本では中古品やレンタルサービスの利用が一般的になりました。
加えて、「モノ消費からコト消費へ」という世界的な流れもあります。人々はモノを買って所有することよりも、得られる体験に価値を見出すようになったのです。
このような価値観の変化もあり、シェアリングエコノミーは急速に拡大をつづけています。
新型コロナウイルスの流行
新型コロナウイルスの流行も、シェアリングエコノミーに大きく影響しました。シェアリングエコノミー協会が行った調査によると、新型コロナウイルスによって、シェアリングエコノミーの提供者・利⽤者が拡⼤したことが確認されています。
ただし、インバウンドをターゲットにしていた民泊ビジネスなど、形態によってはマイナスの影響を受けたサービスもあるようです。
出典:株式会社 情報通信総合研究所「シェアリングエコノミー関連調査 2020年度調査結果」
シェアリングエコノミーのメリット
急速に普及しているシェアリングエコノミーですが、どういったメリットがあるのでしょうか。
コストが抑えられる
シェアリングエコノミーのメリットとしてまず挙げられるのは、消費者にとってコストが抑えられることでしょう。
通常、商品の価格には、中間取り引きを行う業者が得る利益が含まれています。一方、シェアリングエコノミーは、提供者と利⽤者の間に中間取り引きが存在しません。そのため、商品を低価格で提供できるのです。
さらに、取り引きされる商品はもともと余っているものなので、新たな生産に必要なコストも削減できます。
環境負荷を減らせる
環境への負荷を減らせるのも、シェアリングエコノミーのメリットです。不要なものをゴミとして捨てると、処分の過程でCO2が発生したり、ゴミ自体が環境を汚染したりしてしまうことがあります。
また、商品を生産する過程でも、ある程度の環境負荷が発生することは避けられません。余ったものを必要としている人とシェアすれば、環境負荷を減らすことにつながります。
新たなビジネスを生み出せる
シェアリングエコノミーの一番の強みともいえるのが、新たなビジネスを生み出せることです。
具体例は後述しますが、新ビジネス誕生の要因となっているのが、インターネットの普及と消費者同士の取り引きが相まった点。これまでになかった要因によって、今までは想像もつかなかったような形のビジネスが生み出されています。
シェアリングエコノミーのデメリット
多くの強みをもつシェアリングエコノミーですが、少なからずデメリットもあります。
質が保証されにくい
シェアリングエコノミーのデメリットとして挙げられるのが、質が保証されにくいことです。
消費者同士で取り引きが行われる場合、利用する側が期待しているクオリティで、常に商品やサービスを受けられるとは限りません。利用者は事前に提供される商品・サービスの内容をよく確認することが大切です。
ルール整備が追いついていない
シェアリングエコノミーは、ルールがまだ整備されていないところもあります。インターネットが広く使われるようになってから誕生した、比較的新しいビジネスだからです。
利用者の安心安全を守るために、シェアリングエコノミーの認証制度がもうけられるなどの動きもありますよ。
シェアリングエコノミーの具体例
多様なサービスがあるシェアリングエコノミー。今回は、その一部を例としてご紹介します。
シェアリングのパイオニア!Airbnb(エアビーアンドビー)
2008年にアメリカで生まれた、シェアリングエコノミーのパイオニアともいえる存在です。宿泊場所を提供するホストと、宿泊場所を探しているユーザーを仲介するWebサービス。通常の宿泊施設だけでなく、民家も借りられるのが特徴です。
現在は、世界191か国以上でサービスを展開する大企業へと成長しました。ユーザーは現地の風土や文化を体験しながら、暮らすように滞在できるのが魅力とされています。
出典:Airbnb
急拡大中の宅配サービス!Uber Eats(ウーバーイーツ)
ライドシェア大手のUberが、2014年に開始した宅配サービスです。テレビやYouTubeのCMでご存知の方も多いのではないでしょうか。提携する飲食店の料理を、配達パートナーが注文先まで届けるシステムが特徴です。
料理のデリバリーサービス、つまり出前は以前からありました。しかし、Uber Eatsがユニークなのは、お店の近くにいる配達パートナーが料理を届ける点。役割を分担できるため、スピーディーな配達が可能となります。
配達パートナーは自分の空き時間をお店とシェアしながら、報酬を得られるというメリットがあるのです。
出典:Uber Eats
お金をシェアするクラウドファンディング!CAMPFIRE(キャンプファイヤー)
クラウドファンディングという形が特徴的なサービスです。アイディアなどをもとにプロジェクトを掲載すると、支援者から資金を集められます。支援者はモノや体験などでリターンを得られるというシステムです。
さまざまなアイディアや思いがつまったプロジェクトは、見ているだけでも興味深いですよ。
出典:CAMPFIRE
キャンプ用品をシェアできる!ソトリスト
沖縄で誕生した、キャンプ用品のシェアリングサービスです。レンタルはスマホひとつで簡単に予約ができて、指定の場所で受け渡しが行われます。また、申請すればレンタルオーナーになることも可能です。
以下の記事でも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
『キャンプ用品シェアリングサービス「ソトリスト」、「キャンプ場のオンライン予約&決済」サービスを開始』
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。