☆生物画像が含まれております。苦手な方はお控えください。
初夏の水辺はご用心!
初夏の日射しに誘われて水遊びしたくなる季節。水温むこの時期は、川遊びや渓流釣りなど水辺でアウトドアを楽しむ人が増えます。とくに、子どもたちはオタマジャクシやカニなど水辺の生き物に夢中になりますが、初夏の川は他の生き物の集まる場所でもあります。
その中には、子どもにとって危険な生物も。以下では、できれば出会いたくない要注意生物についてご紹介します。
水辺で遭遇しやすい要注意生物
本来、自然は野生動物の住み家であり、人はそこにお邪魔させてもらっている状態です。まずは、水辺に住むちょっと危ない生物への気配りの仕方や、トラブル時の対処方法について解説します。
マムシ
- 特徴と生息域
マムシの体長は40~100cmほど、頭は毒蛇特有の三角形で、首の細さのわりに胴体は太めの寸胴タイプで独特のシルエットをしています。
北海道から沖縄まで、平野から山間部まで広く生息しており、雑木林や落ち葉の下、山道のU字溝、川の岩の隙間など水場近辺を好みます。
- 遭遇する場所
基本的に夜行性で、エサとなるネズミやカエル、トカゲなどの獲物を求めて夜間に活動します。昼間は、ヤブの中や岩場の隙間など暗く涼しい場所に隠れていますが、卵を抱えている夏場のメスは日向に出てくるため、川遊びや渓流釣りなど水場近辺で咬傷事故が起きます。
- 回避と対処方法
子どもは、虫取りやカエルやオタマジャクシ探しなどで、木の根元や渓流で岩の隙間に手を差し込むことで咬まれます。マムシの生息域に踏み込むときは、長袖・長ズボンなどで肌の露出を避ける服装を心がけてください。
マムシの毒牙は比較的短いため、衣服一枚でも毒の注入を減らせます。咬まれた部分は、すぐに腫れ上がり咬まれ方によっては紫色に変色し、放置すると意識障害や視力障害を起こしてしますことも。
咬まれた場合は、ポイズンリムーバーなどで毒を吸い出し少しでも毒を抜き、咬まれた部分より10cmほど心臓側をタオルなどでしばり、すぐに病院で処置を受けてください。
ヤマカガシ
- 特徴と生息域
ヤマカガシは体長70~150cmほどのヘビで、首の周囲に黄色いリングがあり、褐色の地に黒・黄・赤が交互に重なる鮮やかな模様をしています。
近年まで毒蛇と知られていませんでしたが、じつはマムシやハブより強い毒性があり、首の毒腺からも毒液を噴出し目に入ると失明する可能性もあります。生息域は、平野部や標高の低い山間部の水場で、河川敷や田んぼが主な生息域です。
- 遭遇する場所
泳ぎが得意で小型の魚やカエルやオタマジャクシを食べるため、川辺などの水場でよく見かけます。とくに、子どもが好むオタマジャクシやカエルのいそうな水場や、田んぼのあぜ道などは警戒が必要です。
- 回避と対処方法
ヤマカガシは主に日中に活動しますが、臆病な性質で滅多に咬みません。しかし、誤って踏みつけたり、手を置いたところにヤマカガシがいると咬まれる可能性が高くなるので、生息域では注意して行動します。
とくに、子どもはきれいな色の動物に興味を持つので、派手な色合いのヤマカガシには注意が必要です。
毒性は極めて強いので、咬まれた場合はポイズンリムーバーなどで毒を吸引して、咬まれた場所から心臓寄り10cmの部分をタオルなどで強くしばり、医療機関で処置してもらいます。
ヤマビル
- 特徴と生息域
ヤマビルは、人やシカやイノシシなどの大型哺乳類に吸い付き吸血する、25~35mmほどの陸生ヒルです。茶褐色の体は、倍ほどの長さにも伸び縮みして尺取虫のように移動し、体温や二酸化炭素、振動に反応して、人の足をよじ登り吸血します。
岩手や秋田以南の本州から四国・九州に分布、かつては山奥の森林の湿潤な場所に多いとされましたが、近年は人里付近に生息域を拡大しています。
- 遭遇する場所
ヤマビルは沢筋や谷間など、渓流沿いのコケの多いところを好むため、川辺の岩場や落ち葉の下など湿気の多い場所は要注意です。とくに、ニホンジカやイノシシが生息域を広げたエリアは、それに伴いヤマビルも分布を拡大しています。
- 回避と対処方法
吸血前のヤマビルは細長く、靴やズボンの隙間から侵入するため、回避策として皮膚の露出を避け、長めのソックスの中にズボンのすそを入れる方法があります。
また、ヤマビルの嫌う塩水や虫除け用スプレーなどを、靴やスパッツ、ズボンのすそにかけておきます。ヤマビルの吸血は痛みを伴わないため、遊びに夢中になる子どもは気づくのが遅くなるため、引率者の気配りが重要です。
吸血された場合は、無理に引きはがすと傷跡になるため、消毒用アルコールや塩、忌避剤をかけてはがします。血を吸ったヤマビルは産卵するため、確実に殺処分してください。
キャンプ場やハイキングで遭遇する要注意生物
都市部ではあまり見かけないのに、郊外や山間部のキャンプ場で良く出会う生物は数多くいます。強い毒性や感染症をもたらし、子どもだけでなくペット連れのアウトドアでも注意したい生物についてご紹介します。
マダニ
- 特徴と生息域
人にかぎらず、哺乳動物全般に寄生して吸血するのがマダニで、5~8月の初夏から夏にかけて活動が活発になります。
通常のマダニは2~3mmほどで、吸血後の体重は100倍以上になり1cmほどの大きさになりますが、小さいときに草むらの葉っぱの先端で待機し、それに触れた動物に取り付き吸血後に寄生主から離れ休眠します。
そののち、再び吸血して休眠するというサイクルを3回繰り返した後、産卵します。
- 遭遇しやすい場所
公園の草むらにも潜んでいますが、駆除剤を塗布されない野生動物のいる山中でマダニは多く見受けられるため、キャンプ場周辺の草むらや山道は注意が必要です。
- 回避と対処方法
通常のマダニは、2~3mmほどですが吸血後の体重は100倍以上になり1cmほどになるため、大量のマダニが犬に寄生すると重度の貧血を起こします。とくに、耳の垂れた犬は気づきにくいため、ペット連れのキャンプやハイキングは要注意です。
嘔吐や下痢・頭痛などの症状を引き起こす「重症熱性血小板減少症候群」や「ライム病」など、マダニを媒介とする感染症があります。長袖の上着や、丈の長いパンツなど、肌を露出しない服装と虫除けスプレーなどで対処してください。
ペットの対策は、マダニやノミなどに効果のある忌避剤を定期的に塗布することで効果を持続できます。
体にマダニが咬み付いた状態なら、ピンセットでマダニの頭部をつまみクチバシを残さないように除去しましょう。
オオムカデ
- 特徴と生息域
「百足」と書きますが、21個の体節から一対ずつの42本の足を持つ節足動物がムカデです。オオムカデは8~15cmほどの体長になり、5~6月に交尾し夏に産卵するため、初夏から夏にかけて活発に活動します。
日本全国に分布しており、夜行性で昆虫や小動物、ときにはネズミも捕食します。
- 遭遇する場所
狭くて湿度のある巣穴に住み、夜行性で狭くて暖かく湿った場所を好むため、キャンプでテント前室に脱いだ靴の中に潜り込むことがあります。また、テントサイトの灯りに集まる虫を捕食するため、夜のキャンプ場もエサ場として近づいてきます。
- 回避と対処方法
湿り気を好むため、窪地や積み重なった落ち葉や倒木から離れた場所に、テントを設置します。ムカデは、接触に対して反射的に咬むので、ムカデの好む環境下で作業するときは、厚手の手袋や軍手を装着しましょう。
また、咬まれるとかなり腫れますが、ムカデの毒は熱に弱いので、咬まれた場所を43℃以上の熱めのお湯で洗い流しつつ、傷口から毒を押し出してください。その後、抗ヒスタミン剤やステロイド剤の塗り薬を塗布します。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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