プラスチックスープの海
海上や海岸で見つかるごみのうち、60%以上がプラスチックごみといわれています。
海に流れ込んだプラスチックごみの大半は海水よりも軽いため、風や潮流、波によって世界の海を漂流しているのです。プラスチックごみがどこにたどり着くかは、素材の密度と海流によって決まります。
日本や中国、東南アジアから出たプラスチックごみの一部は、黒潮から北大西洋環流に乗り、アメリカ西海岸の沖合にあるグレートパシフィックごみパッチと名付けられた海域に集まります。
この海域では、スープの具のように大量にプラスチックごみが漂う様子から「プラスチックスープの海」と呼ばれているのです。
行方不明の海洋プラスチックごみ
世界の海にはグレートパシフィックごみパッチのように、海洋ごみが集積するエリアが5つあります。
海水より軽いプラスチックごみは、集積場所に行き着くとその場に溜まりつづけ、新しいプラスチックごみが流れ着くたびに巨大化していくイメージがあるかもしれません。
しかし、実際は海に流れ出したプラスチックごみの量よりも、浮いているごみの量のほうが少ないのです。
これまで海に流入したプラスチックごみは、少なく見積もっても1億5000万tと推定されており、一部は砂浜や沿岸に止まっているとしても、6割以上が海洋に流出していると考えられています。
そうなると、約4,500万tのプラスチックごみが海上に浮いているはずですが、実際の観測に基づいて推定した結果、浮いているのはその1%程度で、残りの99%が行方不明になっているのです。
深海デブリによる海洋汚染
海洋研究開発機構(JAMSTEC)では30年以上に渡り、「しんかい6500」や「ハイパードルフィン」といった潜水調査船や無人探査機が撮影した映像を公開しています。
そのなかで深海から見つかったごみ、すなわち深海デブリを分類し、データベースとしてまとめているのです。
この「深海デブリデータベース」によると、無人探査機「かいこう」が、世界でもっとも深いマリアナ海峡の水深1万898m にレジ袋の破片が落ちているのを撮影しました。
このほか、形をとどめたままのレジ袋やペットボトル、ブルーシートなど多数見つかっており、見つかったプラスチックごみの9割以上が使い捨てプラスチックであることが明らかになっています。
つまり、行方不明になっていた99%の海洋ごみは、深海デブリになっていたと考えられるのです。
深海のマイクロプラスチック
じつは、深海に沈んでいるのは大きなプラスチックごみばかりではなく、深海の泥の中からマイクロプラスチックが次々と見つかっています。
ご存知のようにマイクロプラスチックとは、大きさ5mm以下のプラスチック粒子のことです。マイクロプラスチックには大きく分けると2つの発生源あります。
- プラスチック製品の原料となるレジンペレットなど最初から極小サイズのもの
- プラスチック製品が紫外線や熱にさらされて劣化し粉々になってできたもの
深海の泥のなかから見つかるマイクロプラスチックで圧倒的に多いのは後者です。
プラスチック製品は海岸で太陽にさらされ高温状態が続き、砂や岩で擦れることでより早く粉々になってしまうからです。
海洋プラスチックごみの発生源
毎日、コントロールできないほど大量のプラスチックが作られては廃棄されています。そして、海洋プラスチックごみの80%以上が陸から流出したものと考えられています。
コンビニやスーパーのレジ袋やペットボトルなど、1度でごみになる使い捨てのプラスチックが海洋ごみ全体の多くの割合を占めているのです。
たとえば、街でポイ捨てされたプラスチックごみ、ごみ箱から溢れ出たごみなど、置き去りにされたごみは、風で飛ばされ、雨に流され、沿岸から川へ運ばれ、やがて海にたどり着きます。
周囲を見渡せば、海のプラスチックごみにつながるものが至るところにあることに気づくはずです。
海洋プラスチックごみの被害
このままプラスチックごみが海に漏れ出し続けると、いずれ生態系に影響をおよぼすレベルに達すると懸念されています。
今はまだマイクロプラスチックの直接的な被害は確認されていませんが、誤って食べたり、大きなプラスチックごみに絡まったりなどの被害が確認された海洋生物はすでに700種を超えています。
海のプラスチック汚染は目の前で起きています。プラスチックごみによる海洋汚染を食い止めることは、待ったなしの状況なのです。
- ゴミは捨てずに持ち帰る
- レジ袋を使用せず、マイバックを使用するなど
海洋ごみを出さないために、私たちにできることはまだまだたくさんのことがあります。ひとりひとりが、少しずつでもごみを出さないように気を付けることで、海のごみをこれ以上増やさないことが大切です。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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