世界中でナイキの厚底シューズが話題になっています。世界陸連が調査に乗り出したことを受け「ナイキの厚底シューズが公式大会で禁止になるのでは?」と、いくつかのメディアが報じています。今回はこの問題の行方について考えてみました。

ナイキ「厚底シューズ」の衝撃的なデビュー

ナイキ 厚底シューズ

 

2020年の箱根駅伝では、青山学院大学のメンバー9人全員が、派手なピンクのナイキ「厚底」シューズ(ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%)を履いて走り、大会記録を7分近く縮める10時間45分23秒で優勝を果たしました。

みなさんもまだ記憶に新しいことでしょう。

驚くことに、今回の箱根駅伝に出場した選手210人のうち、177人がナイキの厚底シューズ(ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%)を履いていました。

 

「ヴェイパーフライ」の前身「メイフライ」

ナイキ 厚底シューズ

 

ナイキの厚底シューズ「ヴェイパーフライ」の前身である「メイフライ」が注目を集めたのは、2016年に開催されたリオオリンピックでのこと。

マラソン世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ(ケニア)が、優勝して金メダルを獲得、そのときに履いていたシューズが、ナイキの「メイフライ」でした。

ナイキは「厚さは速さにつながる」というキャッチフレーズで、ソールの厚いシューズを開発してきましたが、そのことが、世界のマラソンシーンに大きなインパクトを与えることになりました。

エリウド・キプチョゲはさらに、2019年10月12日にウィーンで開催された「イネオス1:59チャレンジ」に出場し、1時間59分40秒というタイムを残しています。

このレースは、国際陸連非公認であったため、公式な記録として認定はされませんでしたが、人類史上はじめて、フルマラソンで2時間切りを達成したことになります。

このときに彼が履いていたのが「アルファフライ」で、市販されているナイキのモデルよりも、さらに厚底のとてもインパクトのあるシューズでした。

また、去年の世界陸上ドーハ大会では、ナイキ・オレゴン・プロジェクトに所属するシファン・ハッサン選手(オランダ)が、1,500mと10,000mにダブルエントリーして、両方とも優勝するという、陸上界の常識では考えられないことが起きています。

このときのシューズも、「アルファフライ」と同じコンセプトで設計されたナイキの厚底シューズ「ヴェイパーフライ」でした。

「ヴェイパーフライ」には、ソール部分にカーボンファイバープレートが1枚はさみ込まれていますが、「アルファフライ」には3枚はさみ込まれています。

そのため、「アルファフライ」は、驚くほど分厚いシューズになっています。

ナイキは、レースで使用しないことを条件に「アルファフライ」を世界のトップアスリートにテスト配布しました。

この「アルファフライ」のインパクトのある分厚さがきっかけで、今回の規制の流れに拍車をかけることになりました。

「このまま、シューズのソールを分厚くし続けても良いのか?」という問題提起がなされているわけです。

 

 

物議をかもしたイギリスのメディア報道

ナイキ 厚底シューズ

 

ナイキの厚底シューズ(ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%)は、宇宙工学から生まれた反発力のあるカーボンファイバープレートを、特殊な素材のフォームではさみ込む構造をしています。

ランナーが着地するとソール部分のカーボンファイバープレートが曲がり、元に戻ろうとする反発力が働くため、前に踏み出すときに勢いがつく仕組みです。

ナイキの厚底シューズは、世界的な記録を次々に叩き出したことから、2019年の秋から世界陸連が調査に乗り出しました。

その調査結果をまたずしてイギリスのいくつかのメディアが、「公式大会でヴェイパーフライが使用禁止になる見通しである」と報道し、世界中で物議をかもしています。

 

ナイキの「厚底シューズ」禁止問題の行方について

ナイキ 厚底シューズ

 

はたして、イギリスのメディアが報道するように、公式大会でのヴェイパーフライの使用は禁止されてしまうのでしょうか。

たしかに、どこまでも厚底合戦を繰り広げるわけにはいきません。

ソールが分厚くなればなるほどシューズが重くなるので、重量の問題だけでなく、構造上の点でもいつか限界がくるはずです。

イギリスのいくつかのメディアが、「ヴェイパーフライの使用が禁止になる見通しである」と報じる一方で、同じくイギリスの大手新聞会社「ザ・ガーディアン」は「ヴェイパーフライが禁止になる可能性は低いだろう」と報じています。

しかし、その「ザ・ガーディアン」でさえも、「さすがにアルファフライは規制対象になる可能性が高いだろう」という認識を示しています。

「これまでの記録が無効になることはないが、おそらくソールの厚みには、今後何らかの規制が加えられるだろう」という点については、多くのメディアで意見が一致しています。

 

ナルゲン ボトル 広口 0.5L TRITAN に専用レザーカバーが登場
 

ナイキの「厚底シューズ」禁止問題について考えてみました。このナイキのモデルは、プロ向けというよりは、一般向けに設計されているランニングシューズです。そのため、世界的なトップアスリートが履いているのと同じ「ヴェイパーフライ」を誰でも購入することができます。つまり「厚底シューズ」禁止問題は、プロの世界だけではなくて、私たちにも関係するニュースです。

ライター

Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。