新ルールは「ヴェイパーフライ」を容認する内容へ
昨年の後半から、世界陸連(ワールドアスレティックス)は、厚底シューズの調査に乗り出していました。
世界陸連の調査結果が出る前に、イギリスの複数のメディアが「ナイキ厚底シューズが公式大会で禁止になるもよう」と報じ、物議をかもしていました。
同じく、イギリスの大手新聞会社「ザ・ガーディアン」は、「ヴェイパーフライが禁止になる可能性は低い。ただし、カーボンプレートが3枚入った厚底シューズ「アルファフライ」は規制される可能性が高いだろう」という見通しを示していました。
世界陸連が公表した厚底シューズに関する新ルールの内容を見ると、ザ・ガーディアンの見通しが見事的中したことになります。
新ルールでは、“大会の4カ月前までに市販で購入できるシューズでなければ使用できない”としています。
つまり、ナイキが世界のトップアスリートに配布している「アルファフライ」などは、試作品と判断され、原則として大会での使用は禁止されます。
また、“さらなる技術開発を防ぐため、靴底の厚さは4cm以下”とし、“カーボンファイバープレートが複数枚入ったシューズの使用も禁止”とあります。
さらに、“スパイクを靴底に取り付ける場合には、厚さ3cm以下”という規定も盛り込まれました。
今回、世界陸連が公表した新ルールは2020年4月30日以降に適用されます。
カーボンファイバープレートが1枚しか入っていない「ヴェイパーフライ」は、これまで通り使用しても良いことになり、東京オリンピックでの使用も可能になりました。
3月に開催される東京マラソンでは、設楽悠、大迫卓、井上大仁らが「ヴェイパーフライ」を履いて走る予定で、日本記録である2時間5分50秒の更新が期待されています。
もし、「ヴェイパーフライ」が禁止になっていたら、東京五輪の代表選考に大きな影響をおよぼしかねないので、ひとまずは大混乱を避けることができたようです。
「アルファフライ」は公式大会で使用禁止へ
2019年10月12日にウィーンで開催された「イネオス1:59チャレンジ」に出場したエリウド・キプチョゲ(ケニア)は、国際陸連非公認ながら、1時間59分40秒というタイムを出しています。
このときに使用したシューズが「アルファフライ」というモデルで、市販されている「ヴェイパーフライ」よりもはるかに底の厚いシューズでした。
「ヴェイパーフライ」には、ソール部分にカーボンファイバープレートが1枚はさみ込まれていますが、「アルファフライ」には3枚ものカーボンファイバープレートが入っています。
ナイキは、この「アルファフライ」を、公式大会で使用しないことを条件に、世界のトップアスリートにテスト配布してきました。
今回の世界陸連によるルール改定により、3枚のカーボンファイバープレートを使用する「アルファフライ」は、公式大会で使えなくなる見込みです。
また、“大会の4カ月前までに市販で購入できるシューズでなければ使用できない”とする新ルールが適用されるため、「アルファフライ」は新モデルの試作品と判断され、公式大会での使用は認められなくなります。
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Greenfield編集部
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