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世界陸連は、2020年1月31日に厚底シューズに関する新ルールを公表しました。今回の新ルール改定で、どこまで容認され、どこから規制されるのか、詳しく見ていくとともに、今後の「厚底シューズ」問題の行方についても考えてみたいと思います。

新ルールは「ヴェイパーフライ」を容認する内容へ

Nike(ナイキ)の厚底シューズ

 

昨年の後半から、世界陸連(ワールドアスレティックス)は、厚底シューズの調査に乗り出していました。

世界陸連の調査結果が出る前に、イギリスの複数のメディアが「ナイキ厚底シューズが公式大会で禁止になるもよう」と報じ、物議をかもしていました。

同じく、イギリスの大手新聞会社「ザ・ガーディアン」は、「ヴェイパーフライが禁止になる可能性は低い。ただし、カーボンプレートが3枚入った厚底シューズ「アルファフライ」は規制される可能性が高いだろう」という見通しを示していました。

世界陸連が公表した厚底シューズに関する新ルールの内容を見ると、ザ・ガーディアンの見通しが見事的中したことになります。

新ルールでは、“大会の4カ月前までに市販で購入できるシューズでなければ使用できない”としています。

つまり、ナイキが世界のトップアスリートに配布している「アルファフライ」などは、試作品と判断され、原則として大会での使用は禁止されます。

また、“さらなる技術開発を防ぐため、靴底の厚さは4cm以下”とし、“カーボンファイバープレートが複数枚入ったシューズの使用も禁止”とあります。

さらに、“スパイクを靴底に取り付ける場合には、厚さ3cm以下”という規定も盛り込まれました。

今回、世界陸連が公表した新ルールは2020年4月30日以降に適用されます。

カーボンファイバープレートが1枚しか入っていない「ヴェイパーフライ」は、これまで通り使用しても良いことになり、東京オリンピックでの使用も可能になりました。

3月に開催される東京マラソンでは、設楽悠、大迫卓、井上大仁らが「ヴェイパーフライ」を履いて走る予定で、日本記録である2時間5分50秒の更新が期待されています。

もし、「ヴェイパーフライ」が禁止になっていたら、東京五輪の代表選考に大きな影響をおよぼしかねないので、ひとまずは大混乱を避けることができたようです。

 

 

「アルファフライ」は公式大会で使用禁止へ

Nike(ナイキ)の厚底シューズ

 

2019年10月12日にウィーンで開催された「イネオス1:59チャレンジ」に出場したエリウド・キプチョゲ(ケニア)は、国際陸連非公認ながら、1時間59分40秒というタイムを出しています。

このときに使用したシューズが「アルファフライ」というモデルで、市販されている「ヴェイパーフライ」よりもはるかに底の厚いシューズでした。

「ヴェイパーフライ」には、ソール部分にカーボンファイバープレートが1枚はさみ込まれていますが、「アルファフライ」には3枚ものカーボンファイバープレートが入っています。

ナイキは、この「アルファフライ」を、公式大会で使用しないことを条件に、世界のトップアスリートにテスト配布してきました。

今回の世界陸連によるルール改定により、3枚のカーボンファイバープレートを使用する「アルファフライ」は、公式大会で使えなくなる見込みです。

また、“大会の4カ月前までに市販で購入できるシューズでなければ使用できない”とする新ルールが適用されるため、「アルファフライ」は新モデルの試作品と判断され、公式大会での使用は認められなくなります。

 

ナイキ「厚底シューズ」の行方は今後どうなる?

Nike(ナイキ)の厚底シューズ

 

東京オリンピックが目前に迫る中、スポーツ庁の鈴木長官は、世界陸連に対して、はやく結論を出すべきだとする提言を行ってきました。

そのうえで鈴木長官は、「スポーツで大切なことは、公正に競技が行われること。世界陸連の判断を注視していきたい」とする認識を示しています。

また、日本陸連の横川浩会長は、「あらゆる分野で技術革新が進む中、陸上界でもシューズテクノロジーが争点として注目を集め、議論されている。世界陸連が、専門家によるワーキンググループを立ち上げて、さまざまな観点から分析し、協議を経て、ルールの改定に至ったことを評価したい」とするコメントを出しています。

トップアスリートによる相次ぐ記録更新を受けて、専門家による審査部会を設けて性能の調査を行ってきた世界陸連は、2020年1月31日の会見で「新しい技術が、選手本来の能力に優位性を与えてしまう可能性があり、競技としての高潔性や公平性が、技術によって脅かされている」と結論づけ、「さらなる制限が必要かどうか、現在検討中である」としています。

つまり、今回の新ルールの公表は、ルール改訂の最中に発表されたものであり、今後も流動的に改定される可能性も考えられます。

 

 

新ルールは不透明な部分も

Nike(ナイキ)の厚底シューズ

 

今回改定された新ルールには、不透明とされている部分もあります。

たとえば“大会の4カ月前までに市販で購入できるシューズでなければ使用できない”とする規定では、市販されているシューズでなければ大会で使用できないことになります。

これまで使用できたオリジナルモデルやカスタムモデル、オーダーメイドシューズはどこまで許容されるのか、ナイキの「厚底シューズ」問題とは別のところで被害をかぶるアスリートが出てくるのではないか、と懸念されています。

 

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世界陸連が公表したナイキ「厚底シューズ」に関する新ルールについてご紹介しました。新ルールでは、厚底シューズの厚みは4センチ以内とされ、「ヴェイパーフライ」はこれまで通り使用できることになりました。「アルファフライ」は、厚みが4センチ以上ある上、新ルールで規定されている複数枚のカーボンプレートに触れるため、公式大会での使用は認められない見通しです。

ライター

Greenfield編集部

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