ハリウッド映画のロケ地として何度も利用されるなど、ニュージーランドの自然の魅力は折り紙つき。もともと無人島であったニュージーランドに、命懸けで海を渡りたどり着いたマオリ族の文化と誇りを今でも大切にしている、とても素敵な国です。今回は、そんな自然大国ニュージーランドの魅力と、水辺の安全教育について、現役ライフセーバーの筆者がご紹介します。

ニュージーランドのアウトドア事情

旅行先として大人気のニュージーランド。その魅力はやはり豊かな自然と、そこでしか味わえないアクティビティの数々です。

ダイビングやサーフィンはもちろん、ラフティングやケービング、スカイダイビングやジップラインなど、自然を思いっきり満喫できるプログラムがいくつも用意されており、どのアクティビティを選べばいいか迷ってしまうほど。

また、スキーやスノーボードといったウィンタースポーツも盛んなので、オールジャンルでアウトドアを楽しめます。

せっかくの海外旅行、日常では味わえない経験がしたい!と思う人々にとって、ニュージーランドはとてもおすすめの国です。

 

水辺の事故が多発?!ウォーターワイズプログラムの誕生

そんな自然のアクティビティとともに発展してきたニュージーランドですが、1980年代には水辺の事故が急増してしまいます。

子どもが犠牲となるケースも多かったため、それまでの水辺の安全教育を刷新し、水辺の事故防止に向けた新たな教育プログラムとして「ウォーターワイズプログラム」が誕生しました。

ウォーターワイズ(Waterwise)という言葉は、水(water)賢い(wise)という意味を持たせた造語で、水辺における様々な活動を通し、子どもたちが楽しみながら水辺の安全について学ぶ機会を提供しています。

プログラムを生み出す段階から、ニュージーランドの教育省も中心となって動いていた背景からは、国を挙げて解決すべき課題であったことが想像できます。

水辺の事故から大切な命を守るべくスタートしたウォーターワイズプログラムは、現在ではオークランド市近郊の小・中学校で選択科目授業として取り入れられるほど拡大しています。

 

こどもたちへ心の教育と技術をリンクさせる!ウォーターワイズプログラム

ウォーターワイズプログラムの目的は、単なる水辺の安全教育にとどまりません。

ヨットやカヌー、セーリングといったマリンスポーツの技術習得や、水辺の環境観察や環境保全などの様々な活動を通して、子どもたちに自信を持たせたり、環境問題に関心を抱かせたりすることで、青少年の育成も視野に活動しています。

子どもたちが自分自身の能力の限界を知り、人それぞれ持っている能力に違いがあることを理解させ、自分にできないこともみんなで協力すればできるようになるという過程を経ることで、相互理解も深められるようプログラムが考案されています。

他民族国家であるニュージーランドにおいて、人種や宗教に囚われずにお互いを尊重する人間となるために、ウォーターワイズプログラムは大きな役割を担っているのです。

ウォーターワイズプログラムの普及により、ニュージーランドにおける子どもの水難事故件数を減少させることに成功しました。

近年ではその取り組みが諸外国でも高く評価され、日本でも同様のプログラムを受けられる施設が増えてきています。日本で実施されているプログラムを少しご紹介します。

こちらも合わせてご覧ください。

国立室戸青少年自然の家

 NPO法人オーシャンファミリー 海洋自然体験センター

Dance on the Earth !

今回は、ニュージーランド発の素敵な水辺の安全教育についてご紹介しました。日本の子どもたちも、ニュージーランドのような教育プログラムを学校で受けられる日が来てほしいですね。日本独自の自然環境の中で、通年参加できるプログラムがあれば、子どもたちの自然離れに歯止めをかけることも不可能ではないと思います。

ライター

Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。