お米売り場で「こんな品種あったかな?」と感じること、ありませんか。猛暑でも見た目のきれいさが保てるお米の栽培が、各地で広がっています。この記事ではお米ソムリエの筆者が、未来の主要品種5つの味を比べました。少量から試せる通販サイトも紹介しているので、好みに合ったお米を見つける手助けになればうれしいです。
なぜいま、お米の品種が変化しているのか

たびたび話題となる”地球温暖化“。その影響は、私たちの食卓にも少しずつ表れています。
中でも変化の大きいひとつが“お米の品種“。地球温暖化でお米の品種が変わりつつある理由を、農業現場の目線からお伝えします。
猛暑がもたらす、米づくりの変化
近年の夏のトレンド「猛暑」。夏の日中、外を少し歩いただけで息が切れるように、じつはお米も夏の暑さで「息切れ」しています。
「きれいな」お米とは、「透明な」お米のこと。ところが猛暑になると、呼吸によるエネルギー消費が盛んになり、お米にためられるはずのデンプンが消耗されます。
デンプンが不足すると、透明にならず、白くてつやのないお米(白未熟粒)になってしまうのです。
そこで起きるのが、収入の減少。農家さんがJAにお米を出荷するとき、「見た目のきれいさ」を評価した「等級」で価格が決まります。みなさんが食べる水稲うるち玄米の等級は、1等・2等・3等・規格外。
なかでも、透明なお米が多く、整粒率の高い1等米の価格がもっとも高いことがほとんどです。ところが、白未熟粒の割合が多いと評価は下がり、2等以下に。農家さんの収入も、じわりと減ってしまいます。
猛暑はお米の品質だけでなく、米農家さんの暮らしにも大きな影響を与えているのです。
参照
・「夏季高温の特徴と水稲作での影響の評価」農研機構(令和7年1月23日)
・「玄米の検査規格」農林水産省
各地ですすむ高温につよいお米への切り替え
一時的ではなく、毎年続くものになりつつある近年の猛暑。
農家さんは、栽培するお米の品種を自由に選べますが、まわりで多く作られている品種のほうが栽培の情報が集まりやすく、周りの農家さんに相談もしやすいもの。
そのため、地域で広く普及している品種が選ばれやすいです。
しかしいま多く普及している品種では、どうしても白未熟粒が増え、1等米がなかなか取れません。
「猛暑の中、頑張って米づくりをしているのに1等が取れない。もうやめてしまいたい。」
そんな農家さんの嘆き声を、筆者は何度も聞きました。お米を作っても収入にならないからと、米づくりをやめてしまう人もいます。
そこで、猛暑でもきれいなお米をつくるための対策の1つが、「品種の切り替え」です。
お米の暑さの強さは、品種によって差があります。
いまの主力である「コシヒカリ」や「ヒノヒカリ」は暑さに弱いので、1等米の割合の低下が全国で問題に。
1等米を少しでも増やそうと、国や都道府県は、「高温でも透明できれいなお米になる品種」、いわゆる「高温耐性品種」の開発と普及に力を入れてます。
「一日でも早く、高温耐性品種の普及を」
農家さんの切実な声が後押しになり、お米の高温耐性品種の栽培面積が増加中です。
猛暑に「耐える」農業から、猛暑に「対応する」農業へ。
お米づくりは、いま大きな転換のときを迎えています。
参照
・「令和6年夏の記録的高温に係る影響と効果のあった適応策等の状況レポート」農産局
・農業環境対策課(令和7年3月28日)「最近の米の品種動向」農林水産省「「令和6年地球
・温暖化影響調査レポート」の公表について」農林水産省(令和7年9月26日)
お米ソムリエが実食 いま増えている高温耐性品種5つをレビュー

これからのお米の主要品種は、いま多く売られている「コシヒカリ」などの品種から、「高温耐性品種」に変わっていくでしょう。
ただし、研究機関が「お米の高温耐性品種」を開発する時、もっとも重視されるのは「外観のきれいさ」です。「味」についてはあまり評価されません。
それでは、「結局どのお米がおいしいの?」と悩んでしまう人もいるでしょう。
そこでお米ソムリエである筆者が、栽培の増えている5つの高温耐性品種を実食レビューしました。ぜひ、好みに合ったお米を見つけるための手引きにしてくださいね。
きぬむすめ | 島根・鳥取など
「きぬむすめ」は、島根県・鳥取県・大阪府など、全国的に栽培されている高温耐性品種です。
つややかな炊き上がりで、ひとくち食べるとお米の粒がほろほろっと口の中でほどけました。粘りが少ない分、最後まで軽やかな食感です。
味わいは甘みが前に出すぎず、やさしくて穏やか。香りも控えめなので、どんなおかずでも引き立ててくれる、万能タイプのお米です。
こしいぶき | 新潟
コシヒカリの産地として知られる、新潟県で生まれた「こしいぶき」。
コシヒカリの旨みを引き継いでいるだけあり、口に入れた瞬間、やわらかな甘みで満たされました。意外にも後味は軽く、あっさり。
お米の旨みはしっかり感じられながらも、おかずの風味を引き立てる、バランスのよい味わいです。
洋食など、子どもが好きな味の濃いおかずと合わせても、しっかり受け止めてくれると感じました。
つや姫 | 山形
山形県が全力を注ぎ生み出した品種、「つや姫」。
つや姫のスローガンは、「おいしさ、つやにでる。」。その言葉が示す通り、炊き立ては白く輝きを放っていました。味は甘みと旨みをはっきりと感じ、ひとくちでも十分に満足感のある味わいです。
玄米でも食べてみましたが、玄米特有のクセがほとんどなく、噛むほどにつや姫のコクが広がります。玄米が苦手な人でも食べやすいでしょう。
にこまる | 静岡・大分・長崎など

出典:お米のくりや
西日本の主力ヒノヒカリに代わる高温耐性品種として、注目を浴びている「にこまる」。
まず驚いたのが、お米の粒の大きさです。ヒノヒカリと比べると一回り大きく、噛んだときも粒の存在を感じる、弾力のある食感でした。
粒が大きく水分が抜けにくいためか、冷めてももちもち感が続くのも印象的。
冷やご飯でも味や香りがしっかり残るので、おにぎりやお弁当に向いています。実際におにぎりにしたところ、1個で十分お腹いっぱいになりました。
にじのきらめき | 茨城・群馬・山梨など

出典:お米のくりや
「にじのきらめき」は、コシヒカリに代わる主力として期待されている品種です。
香りは控えめですが、ひと口食べると驚くほどもっちり。まるでもち米のような、弾力のある食感です。コシヒカリと同じように旨みがしっかりと感じられ、噛むほどに味が広がっていきます。
甘みが強く、米粒の存在感があるので、塩むすびや卵かけご飯など、お米そのものを味わう食べ方にもよいでしょう。
食べ比べにおすすめ。少量から買えるお米通販サイト

「いろいろなお米の品種を食べてみたい」そんな人に。気になる品種を気軽に食べ比べできるイチオシの通販サイトと、お米の食べ比べを楽しむコツを紹介します。
AKOMEYA TOKYO
AKOMEYA TOKYOは、「日本の食の可能性を拡げる」ことを理念に掲げ、お米・出汁・調味料などこだわりのオリジナル商品を展開しています。
中でも目を引くのは、食べ比べにぴったりな2合サイズのお米のラインナップ。定番品種から全国の希少品種まで、さまざまなお米が並んでいます。
- きぬむすめ
- こしいぶき
- つや姫
品種だけでなく、産地・生産者・栽培方法・味の特徴(しっかり・あっさり・もっち理・やわらか)などもラベルに案内されているので、自分好みの品種を見つける近道になるでしょう。
謹製桐箱入りのお米食べ比べセットもあるので、贈り物にもぴったりです。
公式オンラインショップ:AKOMEYA TOKYO
お米のくりや

出典:お米のくりや
お米のくりやでは、厳しい品質検査をクリアし、さらにごはんソムリエが実際に食べて選んだお米を販売しています。
それだけでなく、各地のお米コンテストで入賞した農家さんのお米を多く扱っているので、味は間違いないでしょう。
- きぬむすめ
- つや姫
- にこまる
- にじのきらめき
2合サイズの少量パック・2kg・6kg・10kg・24kgがあるので、ライフスタイルに合わせて選べるのも魅力。
2合サイズのお米3パックが毎月届くサブスクもあり、お米ソムリエが選んだいろいろな品種を試せます。
有機JAS認証を取得したお米、生産者の顔がわかるお米もあるので、安心安全なお米を選びたい人は、ぜひお米のくりやのサイトをのぞいてみてください。
公式サイト:お米のくりや
お米の食べ比べをするときのコツ
お米の食べ比べをするときは、以下のコツを守ることで、品種の味の違いがわかりやすくなります。
同じ水量・炊飯モードで炊く
品種ごとの食感の違いを知りたい場合は、同じ水量・炊飯モードで炊くのが基本。特に水の量が違うと、粒の硬さが変わってしまうので注意してくださいね。
条件をそろえることで、お米本来の個性が見えてきます。
炊く量は、炊飯器の最大容量より少なめにする
3合炊きの炊飯器で3合を炊くと、上の方のお米がふたに押されてつぶれることがあります。炊くときは、容量いっぱいにせず、3合炊きなら2合、5合炊きなら3合ほどが目安。
少し余裕を持たせることで、粒立ちのよい、ふっくらとしたご飯に炊き上がります。
白ごはんで食べる
お米本来の香りや甘み、食感を知るには、白ごはんのまま味わいましょう。おかずがない分、お米の品種ごとの違いを、よりはっきり感じられます。
炊き立てのご飯と冷めたご飯を食べ比べる
炊き立てのご飯はふわっと香りが広がり、冷めると香りは少し落ち着いていきます。
香り方が変わると、味の印象もまた変わるもの。だからこそ、炊き立てのご飯だけでなく、冷めたご飯の味にもぜひ注目してほしいです。
ライター
そらたね
農業職公務員・食品メーカー勤務の経験をもとに、農業や食の大切さ、美味しいレシピを発信します。趣味は旅とカメラ。日本の四季を撮ること、旅行先で綺麗な海を見ることが大好き。生息地は主に田んぼ、畑、ときどき果樹園。



