ULキャンプには荷物の軽量化が欠かせません。荷物のなかでも重くなりがちなアイテムのひとつがクッカーです。本記事では軽量なクッカーの選び方を伝え、用途別に筆者愛用のアイテムを紹介します。持ち運びやすいクッカーをお探しの方はぜひ参考にしてくださいね。
軽量クッカーの選び方
ULキャンプは基本的に、バックパックに必要なキャンプ道具をすべて詰め込んで出かけるキャンプスタイルです。荷物のうち、かさばるのはテントやマット、クッカーなどの調理道具。
筆者は普通のキャンプからULキャンプに移行する際に、なんどもクッカーの買い替えを行い、自分にとって最適なものを探してきました。その経験を踏まえて、軽量クッカーの選び方をお伝えします。
素材で選ぶ
ULキャンパー御用達の素材といえば、チタンとアルミです。この2つの素材は、ステンレスや鉄と比べて非常に軽量な点がメリット。軽量性に特化した、さまざまなタイプのクッカーが各社から販売されています。
とにかく軽量化したい方にはチタン製のクッカーがおすすめ。容量にもよりますが、小型クッカーのなかには100gを切る超軽量な商品があります!
ただし、チタン製品は高価なのがデメリット。コスパを重視する方は、やや重くはなってしまいますが、アルミ製のクッカーを選ぶとよいでしょう。
容量で選ぶ
容量はクッカーを選ぶ際の重要なポイントのひとつです。
容量200〜300mLほどの極小クッカーは、マグカップほどのサイズ感。必要湯量160mLほどのアルファ米や、必要湯量160〜200mLほどのインスタントコーヒー・スープなどを調理するのにぴったりです。一度に複数の調理はできませんが、使い勝手よりも軽量化を優先する方にイチオシです。
容量500mLほどの小型クッカーは、使い勝手のよいサイズ感。軽量化をしつつも、ほとんどのインスタント食品に対応できます。一度の湯沸かしで、アルファ米と食後のコーヒーといったように、複数の調理をするのにも向いていますよ。インスタント食品だけでなく、ひとり分の煮物や炊飯などの調理をするのに十分な容量があります。
容量600mL以上の中型クッカーは、ソロキャンプだけでなく、デュオキャンプに出かける方にも便利なサイズ感。一度に何食ものインスタント食品の調理や、おでんやカレーなどの、容量が必要な料理にも向いています。
調理する料理で選ぶ
炊飯をする
クッカーで炊飯をする場合には、アルミ製のクッカーが最適。アルミは熱伝導率がよく、全体に熱をまんべんなく拡散させるため、お米をふっくらと炊き上げられるからです。その点、チタン製のクッカーは熱伝導率が悪く、ご飯がぱさぱさになってしまったり、焦げついたりする場合があります。炊飯に使用する際は注意が必要です。
煮物や焼き物などの調理をする
一人分の煮物や焼き物をするならば、アルミ製の山用フライパンがおすすめ。山用フライパンとは、ハンドル部分が折りたたみ式、もしくは分離式になっている、持ち運びやすいフライパンです。ある程度の深さがあり、湯沸かしにも使用できるため、ひとつあればさまざまな調理に対応できます。
フライパンの表面にコーティングがされているものならば、なおGOOD。焼肉などをしても焦げつかずに使用できますよ。
パスタを調理する
乾麺のパスタ・うどん・素麺など、長い食品を調理するならば、深型のクッカーが向いています。深さが10cmほどあれば、麺類を折らずに調理できるからです。乾麺の調理にはたくさんの水が必要なので、容量600mL以上あるものを選びましょう。
収納性で選ぶ
ULキャンプにぴったりのクッカーを選ぶには、軽量化だけでなく、クッカーの収納性も考慮しましょう。コンパクトにクッカーがまとまれば、バックパックやギアボックスのなかのスペースを活用できるからです。そのためには、スタッキングがキモとなります。
スタッキングとは、異なるアイテムを積み重ねること。たとえば”クッカーのなかにマグカップとして使える極小のクッカーを入れ、そのなかに食器やバーナーなどを入れてコンパクトにまとめる”といったかたちです。
スタッキングをうまくするには、手持ちのクッカーや小物などのサイズをあらかじめ把握しておくとよいでしょう。「どうすればコンパクトにまとまるか?」「どのクッカーのなかにどのアイテムが入るのか?」を常日頃からよく考え、そのうえで、手持ちのクッカーとマッチする新しいクッカーを購入しましょう。
用途別!筆者愛用のクッカー
筆者愛用のクッカーを、用途別に紹介します。軽量クッカーをお探しの方は参考にしてくださいね。
煮物や焼き物をする場合
本格的な調理をする際に、筆者が愛用するのはMSRの「ブラックライトフライパン」です。アルミ製で軽量。1人分の煮物や焼き物に十分な容量があり、内側がコーティングされているため、焦げつきを防止してくれます。
山登り中など、水の使用が限られる状況では、ティッシュペーパーでさっと油を拭くだけできれいになり、メンテナンスが楽。取っ手が外せるため、コンパクトに収納できます。残念なことに、こちらの商品はすでに廃盤品。以下がスペックが似ているトランギアのノンスティックフライパンSです。
レトルト食中心のキャンプや山登りの場合
レトルト食が中心で、湯沸かしだけできればOKな場合、筆者が愛用しているのはエバニューのチタン製マグです。エバニューの製品は、もともとULな使い勝手を意識して製造されており、サイズが豊富。複数の製品を、まるでマトリョーシカのようにぴったりとスタッキングできますよ。
筆者はTi 570FD Cupのなかに、mulTiDish→Ti 400FD Cup→Ti250 cup NH→Ti Demitasse 220 FHの順に重ねて収納しています。
容量570mLのTi 570FD Cupと容量470mLのTi 400FD Cupはクッカーとして、薄いmulTiDishと、小皿サイズのTi250 cup NHはおつまみなどをのせる皿として、Ti Demitasse 220 FHはコーヒーなどを飲むマグとして使用します。
これだけすべて合わせても180gほど!350mLのビール缶(380gほど)の半分にもみたない驚きの軽さです。
パスタを調理する場合
パスタを調理する場合は、GSIのハルライトミニマリストを使用しています。こちらは容量600mLの深型クッカー・保温用のカバー・蓋・シリコンポットグリッパー・折りたたみ式のスポークがセットになったクッキングセットです。
一人分のパスタを茹でられる容量があり、蓋には湯切りがあるため、茹であがったパスタのお湯をしっかりと切れます。バーナーで温まったクッカーをそのまま保温用のカバーに入れ調味料と混ぜれば、寒い時期でもパスタを温かいまま食べられますよ。
炊飯をする場合
炊飯に適しているのはアルミ製のクッカーです。筆者はエバニューのBackcountry Almi Potを愛用しています。
こちらはソロで炊飯するのに使い勝手がよいクッカー。お米1合をおいしく炊飯できます。上部に取り外し可能なハンドルがあり、上から吊るせるため、バーナーだけでなく焚き火で炊飯をする場合にも便利。内側には200mL・400mL・600mLの目盛りがあり、フリーズドライ食品をつくる際にも、湯量の計算をしやすいのがうれしいポイントです。
クッカーを軽量コンパクトにすれば、荷物全体の軽量化につながり、ULキャンプへの道のりを一歩踏み出せます。軽量化のためには「どんな調理をするのか?」「調理をするための容量はどれほど必要か?」を考えてみてくださいね。自分の目指すスタイルがわかり、クッカーの素材、容量や形状などが絞れてくるはずです。本記事では筆者の愛用品も紹介しました。軽量なクッカーをお探しの方は参考にしてみてくださいね。
ライター
のまどう
キャンプとハイキングをこよなく愛するキャンプ場スタッフです。ニュージーランドのグレートウォークやヒマラヤのトレイルを歩いた経験があります。いつかアメリカのロングトレイルも歩いてみたい…。