MSC認証とは?
MSC認証とは、持続可能な漁業に関する認証です。持続可能な漁業とは、未来につなげられる漁業のこと。水産資源と環境に配慮し、適切に管理された漁業を意味します。
MSC認証を取得するためには、MSC(marine stewardship council:海洋管理協議会)による厳格な認証規格を用いた、第三者の審査機関による審査をクリアしなくてはなりません。
MSCは国際的な非営利団体で、1997年、将来の世代まで水産資源を残していくために、ロンドンで設立されました。認証を取得した漁業は、2022年3月現在で世界では500以上、日本では12あります。世界と比較すると、日本はまだMSC認証の普及率が低いのが現状です。
認証を取得するための労力やコストの問題はあるものの、今後は日本でも普及することが期待されていますよ。
MSC「海のエコラベル」とは?
MSC「海のエコラベル」とは、MSC認証を取得した漁業で獲られた水産物につけられるマークのことです。
2021年度には、日本では500品目以上の商品がMSC「海のエコラベル」をつけて販売されました。私たち消費者は、MSC「海のエコラベル」がついた商品を選ぶことで、持続可能で海にやさしい漁業を応援できます。
詳しくは後述しますが、MSC「海のエコラベル」がついた商品は、身近なスーパーやコンビニでも購入可能。ぜひチェックしてみてくださいね
なぜMSC認証が必要になったの?
なぜMSC認証が必要になったのでしょうか。ここでは、その理由を説明していきます。
魚の獲りすぎを防ぐため
MSC認証がつくられた目的のひとつは、将来の世代まで水産資源を残していくためです。
世界の水産資源の3分の1以上が、持続可能な水準を超えて漁獲されています。また、1970年から2012年にかけて、海洋生物個体群の規模は半分近くまで減少してしまったともいわれています。
このままのペースで魚を獲り続けた場合、私たちの食卓から水産物がなくなってしまう可能性も考えられます。豊かな海を守るために、MSC認証は必要なのです。
出典:
国連食糧農業機関(FAO)「世界漁業・養殖業白書2022年」
WWF「Living Blue Planet Report 2015」
海の豊かな自然環境を守るため
海の環境を守るためにも、MSC認証は必要です。海洋生物の生態系を健全な状態に保つためには、環境への負荷を抑えた漁業をおこなわなければなりません。
操業中に、対象としていない魚や海洋生物を意図せずに漁獲してしまう混獲、海に流出または破棄された漁具(ゴーストギア)などは、海の環境を壊す一因です。ウミガメやイルカなどの絶滅危惧種・保護種(ETP種)が減り続けたり、海洋生物がゴーストギアに捕獲されたり絡まってしまうといった問題が起こります。
そこで必要なのが、MSC認証を取得した漁業。生物多様性への影響を最小限に抑えているので、海の環境にやさしいのが特徴です。
MSC「海のエコラベル」がついた商品はどこで買えるの?
MSC「海のエコラベル」がつけられた商品を購入できる、身近な場所をご紹介しますね。ぜひラベルを目印に、商品を探してみましょう。
イオン
プライベートブランドの「トップバリュ」で、MSC「海のエコラベル」つき商品を多数販売しています。鮭やたらこといった鮮魚をはじめ、加工食品など幅広い取り扱いがありますよ。
出典:TOPVALU 「MSC「海のエコラベル」/ASCラベル」
日本生活共同組合連合会(co・op)
積極的にMSC「海のエコラベル」つき商品を販売しています。2023年4月現在、取り扱いのある商品は約60品目。たらこ・ホタテ・いくら・ししゃもなど種類が豊富です。とくに、手軽に食べられる冷凍食品が人気で、離乳食もありますよ。
子どもから大人まで、家族みんなで食べられる水産物を購入できるでしょう。
出典:co・op「MSC認証とは」
セブン&アイグループ
プライベートブランドの「セブンプレミアム」で、MSC「海のエコラベル」つき商品を取り扱っています。
手軽に食べられる商品にもMSC「海のエコラベル」がついているので、自炊の習慣がない方でも買いやすいですね。
MSC「海のエコラベル」がついたセブンプレミアム商品は、年々ラインナップが増えています。お店に行く際には、マークがついた商品を探してみてくださいね。
出典:株式会社セブン&アイHLDGS「持続可能な原材料の調達」
ライター
AYA
静岡県出身。海と山に囲まれた自然豊かな環境で育ち、結婚後に、タイ・バンコクへ移住。病気がきっかけで、ヴィーガンのライフスタイルに目覚める。現在は、2児の母として子育てに奮闘しながら、人と環境にやさしいサステナブルな暮らしを実践中。自身の経験をもとに、ヴィーガン、環境問題、SDGsについて情報を発信している。