登山届(登山計画書)とは
登山届(正確には登山計画書)とは、氏名と住所、年齢、登山コース、予定、携行する装備や非常食の量などを詳細に記入し、登山道入り口にあるポストや登山管理事務所などに提出する書類です。
登山届は、予定を過ぎても到着予定の山小屋に到着していない場合や下山予定を大幅に過ぎている場合、所管する警察署に遭難の疑いがあるということを知らせるために提出します。
「山で遭難なんてありえない」と、自信満々で登っている方がほとんどだと思います。
しかし、3000m級の山での遭難事故は減少傾向が続いていますが、2000m級の中級山岳や低山では、近年遭難事故が増加しています。
決して油断せずに、登山する際は登山届を書いて提出することを忘れないようにしてください。登山届は、登山者を捜索するための手掛かりになる命綱のような存在です。
登山届は、登山グループのリーダーだけでなく、メンバー全員が記入する必要があります。
一人ひとりが登山届を書くことで、個々人が登山コースを認識して登山計画を理解し、遭難を防止する役割も果たします。
主だった山の登山口には登山届の投函ポストが設置されていますが、ポストがない場合には、近くの交番や登山管理事務所、インターネットなどで提出できます。
家族や知り合いに登山することと、登山届のコピーを渡しておくことも忘れないようにしましょう。
登山届(登山計画書)の重要性について
登山届を書きながらシミュレーションができる
登山届の作成は、登る山の情報をしっかりと認識する役割も果たしています。
無理な計画や無計画で山に登るのではなく、あらかじめどのくらいの時間がかかるのか計画して必要な装備を携行することが大切です。
「この縦走コースには難所がたくさんあるので時間をかけて通過しよう」といったシミュレーションが登山届を作成しながら行えます。
万が一遭難した場合には山岳救助隊などへ連絡が行く
登山届を提出して、予定の日時に2日しても到着しないとしましょう。その場合は、山岳警備隊などに遭難の恐れがあるという連絡が入ります。
もし、登山届を出していなければ、遭難していても誰にも気づいてもらえません。
登山届があると、捜索隊が遭難者の登山コースや予定が把握できるので、おおよそどのあたりを捜索すればよいのか検討がつきます。
捜索をスピーディに、無駄なく行うためにも登山届の提出が大変重要です。
例えば、2014年に発生した御嶽山の噴火での死亡者と行方不明者あわせて63名のうち、登山届を提出していたのはわずか11人でした。
そのため、事故から3日経っても遭難者の正確な数がわからず安否確認に手間取ったということがあります。
山岳保険と登山届の関連性
最近は、登山の際に山岳保険に加入する人が増えてきました。
山岳保険の条件に登山届の提出が規定されているというわけではありませんが、自殺の場合は山岳保険がおりない規定になっています。
もしも、遭難して死亡した登山者が登山届を提出していなかった場合は、保険会社の調査員から自殺ではないかと疑われる可能性があります。
保険会社から遭難捜索救助費用や救援者費用、個人損害賠償の補償をスムーズに受けるためにも登山届はきちんと提出しておくことが大切です。
条例で登山届の提出が義務化されている山
山や地方自治体によって、条例で登山届の提出が義務化されている場合があります。現在条例で義務化されているのは、群馬県の谷川岳や富山県の北アルプス周辺、岐阜県などです。
「岐阜県北アルプス地区及び活火山地区における山岳遭難の防止に関する条例」では、登山届を提出せずに登山した場合、5万円以下の過料が科せられることがあるので注意してください。
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インターネットで登山届が出せる都道府県
最近は、インターネットでも登山届が提出できるので、あらかじめ自宅で登山計画を立てて、パソコンやスマホなどから提出するようにしましょう。
各都道府県の提出先一覧
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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