山に登る時、万が一遭難したら捜索費用はどのくらいかかるのだろう?とふと心配になったことはないでしょうか?特にニュースなどで遭難と救助に関する映像や情報を目にすると気になりますよね。登山によるアクシデントに対応した保険について調べてみました。
山岳保険とは?
「山岳保険」の定義があるわけではないのですが、ご自身の登山中の怪我、また他人を怪我させてしまったときの賠償、遭難捜索救助にかかった費用負担の軽減などを目的とした保険があります。
保険の種類によっては内容が変わってくるので、登山する頻度に合わせて山岳保険を選ぶと良いでしょう。
山岳保険に加入するメリット
登山を楽しむ上で忘れてはならないのが、遭難などのリスクです。
山の天気や気温は急変しやすく、進路を見失ったり、ケガや病気により動けなくなるケースも考えられ、遭難など救援にかかった費用が遭難者本人やその家族に請求される場合もあります。
山岳保険に加入することで、登山中のケガや病気・遭難・他人への傷害・携行品の盗難などに備えることができます。
予想されるリスクに備えておくことで、安心して登山を楽しむことができるでしょう。
山岳保険の注意点
山岳保険の注意点としては、保険会社によっては登山の範囲が異なります。
ピッケルやアイゼンなどを用いる本格的な登山は補償対象外や国内のみが対象など内容が様々なので、補償範囲に注意が必要です。
また、「道迷いや病気による遭難」は、補償が受けられない場合もあるので、山岳保険に加入する際は、次の注意点を意識しましょう。
- 病気や道迷いで救助要請した場合の補償
- アイゼンやピッケルを使用する登山でのケガの補償
- 震や噴火、津波によるケガは補償
山岳保険の選び方
山岳保険の補償内容はバリエーションが多く、一律で比較するのが難しいのですが、「契約期間」と「登山レベル(どんな登山をするか)」「補償内容」「保険料」の4つの基準で見てみましょう。
契約期間
その都度申し込む1回限りの保険と、1年間補償が続く年間契約タイプがあります。
1年に数回登山を楽しむ場合は「単発契約」がおすすめ。
登山する毎に契約する必要がありますが、日帰りから加入できる保険もあるので安心です。
一方で、頻繁に登山を楽しむ方は「年間契約」で山岳保険に加入することをおすすめします。登山の度に手続きする手間がなくなり、ストレスなく登山を楽しめるでしょう。
登山レベル
どのような登山をするかによって、せっかく登山保険に入っていても、実は保障を受けられない場合があります。
登山の危険度が高い(アイゼン、ピッケル、ロープなどの器具を使った登山)の場合、このレベルをカバーしている保険に加入する必要があります。
岩登りや雪山登山 など広い範囲で補償してくれる保険や、軽登山・ハイキングを対象とした保険があります。
補償内容・保険料も大きく変わるので、申し込みの際に注意しましょう。
補償内容
山岳保険に加入する際に確認していただきたい内容は、救助費用がどのぐらい補償されるかです。
捜索が長くなると請求額が大きくなるので、最低でも300万円を目安にすると良いでしょう。
また、山岳保険の内容によっては、他人に怪我をさせたり、他人やお店のものを壊した場合の補償、山登り・ハイキングに持っていった物が壊れたり、盗まれたりした場合の補償もあるので必ず確認しましょう。
保険料
保険会社が違っても同じような補償なら、保険料はリーズナブルにしたいですよね。そんな時は、補償の内容と保険料を見比べて保険を選びましょう。
山岳保険の補償内容
ここからは、山岳保険の補償内容である以下の9つについて解説します。
- 死亡保険金
- 後遺障害保険金
- 入院保険金
- 手術保険金
- 通院保険金
- 個人賠償責任補償
- 携行品損害補償
- 救援者費用等補償
- 遭難捜索費用補償
補償によっては保険料が変わってきます。登山スタイルに合わせた内容が組み込まれているか確認しましょう。
死亡保険金
山登り・ハイキング中の怪我などにより死亡した場合に保険金が支払われます。
死亡保険金は、葬儀費用やお墓代、遺された家族の生活費や子どもの学費などに充てることができます。
後遺障害保険金
山登り・ハイキング中の怪我などにより事故日を含めて180日以内に後遺障害が生じた場合に保険金が支払われます。
入院保険金
山登り・ハイキング中の事故による怪我で入院した場合に保険金が支払われます。
入院日額×入院日数で給付額が決まる日額タイプが主流ですが、支払った実費を負担するケースもあります。
手術保険金
山登り・ハイキング中の事故による怪我で定められた日数以内に通院または入院し、手術した場合に保険金が支払われます。
支払額は、入院日額を基準にして手術の内容により倍率で決まっている場合や、手術内容に関係なく一律で決まっているものなど様々です。
通院保険金
山登り・ハイキング中の事故による怪我で通院した場合に保険金が支払われます。
通院による治療が増え、医療保険の通院給付も充実してきています。しかし、支払われる条件は各保険会社で異なるので内容を細かく確認しましょう。
個人賠償責任補償
他人に怪我をさせたり、他人やお店のものを壊した場合に保険金が支払われます。
個人賠償責任補償はオプションとして加入するケースが多く、本人のみならず家族も対象となるので、万が一の事態にも安心です。
携行品損害補償
山登り・ハイキングに持っていった物が壊れたり、盗まれたりした場合に保険金が支払われます。
「携行品」とは居住している住宅外において身につけている「バック」「スマホ」「カメラ」を指します。
しかし、携行品の紛失原因が盗難であると証明できない場合は、保険金が支払われないケースもあるので注意が必要です。
救援者費用等補償
山登り・ハイキング中の事故により、保険契約者、被保険者、親族が遭難救助費用、交通費、宿泊費、移送費用などを負担した場合に保険金が支払われます。
ケガをして入院した場合、1人では対応できないことが出てきたり、不安な気持ちになりますが、現地まで家族がきてくれると安心ですよね。
遭難捜索費用補償
遭難した被保険者を捜索、救助、移送する活動にかかった費用に対して保険金が支払われます。
民間のヘリを使うと1分単位で費用が発生する場合もあり捜索費用が莫大にかかることがあり、大きな負担となります。
遭難捜索費用補償が補償内容に含まれているかも確認することをおすすめします。
1日〜数日のおすすめ山岳保険5選
1日〜数日のおすすめ山岳保険を5つをご紹介します。
年に数回しか登山に行かない方は単発契約が良いでしょう。
山へ行く度に保険に加入する手間はかかりますが、1日〜数日の登山に保険をかけることができるので便利です。
モンベル野あそび保険
モンベル野あそび保険は国内旅行期間中のアウトドアライフを楽しむ方のための保険です。
他人にケガをさせたり、他人のものに損害を与えてしまったりと、法律で損害賠償責任をおった時の個人賠償責任補償がついています。
契約期間 | 1泊2日から6泊7日まで |
補償内容 |
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保険料 | 250円〜 |
手ごろな値段で最低限の補償がついています。ハイキングやトレッキングなど軽登山をする方におすすめです。
モンベル山行保険
モンベル山行保険は国内旅行期間中の本格的な山岳登はんや登はん用具を必要とする山岳スキーなどをする方を対象とした保険です。
「野あそび保険」での補償に加え、山岳登はん中の事故を補償します。 軽アイゼンのみを必要とするような登山や、5m以下のボルダリングも補償されるのがポイント。
契約期間 | 1泊2日から6泊7日まで |
補償内容 |
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保険料 | 1,000円〜 |
日帰り 1,000円〜山岳登はん有りの保険で、雪山登山やクライミングを楽しむ方にもおすすめです。
短期山岳保険制度 やまきふワンタイム
やまきふワンタイムは、日帰り登山から3泊4日までの期間で選べる山岳保険です。入会申込は当日の移動中や登山口まで可能なのも嬉しいポイントです。
登山中はもちろんのこと、自宅から目的地に向かう途中・帰宅時のケガも補償範囲になっています。
契約期間 | 日帰りから3泊4日まで |
補償内容 |
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保険料 | 660円〜 |
救援者費用は100万円と他社よりも低めですが、傷害入院・傷害手術の補償が手厚くおすすめです。
富士山専用山岳保険制度 ふじさん共済
富士登山者限定の山岳保険制度です。日帰りや1泊2日までの富士登山中のケガや第三者への賠償事故、遭難時の救援者費用までがセットになっています。
対象期間は7月1日〜9月10日までです。
契約期間 | 日帰りから1泊2日まで |
補償内容 |
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保険料 | 660円〜 |
富士山に挑戦される方におすすめです。
ソフトバンクレジャー・スポーツ保険
アウトドアやスポーツ中の思わぬアクシデントから地震などの天災の事故までも対象です。
My SoftBankからいつでも簡単に申し込めるため、手軽に加入することができます。
契約期間 | 1日 |
補償内容 |
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保険料 | 300円〜 |
「ソフトバンク」の名前がついていても管理会社は「損保ジャパン日本興亜」なので、一般の保険会社と同様の対応が受けられるのも嬉しいポイントです。
年間契約のおすすめ山岳保険10選
ここからは年間で契約できる山岳保険を紹介していきます。
- モンベル 野外活動保険
- やまきふ共済会 エキスパート
- 日山協山岳共済会 山岳保険
- jRO日本山岳救助機構
- 労山基金
- レスキュー費用保険
- ココヘリ
- Yahoo ちょこっと保険山大好きプラン
- 三井住友VISAカード|ポケット保険トレッキングコース
- 楽天|超かんたん保険 アウトドアプラン
上記の山岳保険は、頻繁に登山やハイキングをする人におすすめです。
単発契約タイプより保険料が高いと感じてしましますが、保険契約の手続きが一度で済み、年に何度も登山をする場合は単発タイプよりも安くなる場合があります。
モンベル 野外活動保険
モンベル野外活動保険はトレッキング、ハイキング、キャンプ、サイクリングやゲレンデスキーなどのアウトドアを楽しむ方におすすめの保険です。
レジャー中はもちろん、日常生活での事故によるケガも補償対象となります。
契約期間 | 1年間、3年間、5年間 |
補償内容 |
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保険料 | 3,420円〜 |
ハイキングや一般ルートで登山をする方におすすめの山岳保険です。
やまきふ共済会 エキスパート
国内外の登山・ハイキング、山岳登はんにも対応した山岳保険です。万が一のことがあっても、親族が現地まで駆けつける交通・宿泊費も補償されます。
契約期間 | 1年間 |
補償内容 |
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保険料 | 10,000円 |
「登山計画書の提出」で病気や道迷いによる遭難事故や雪山やクライミング中の事故による遭難事故も割増無しで補償され1000万円まで増額するのも嬉しいポイントです。
日山協山岳共済会 山岳保険
登山・ハイキング・トレイルランなど、目的にあわせて保険のプランを選べるのが特徴です。
保険加入には共済会へ入会する必要がありますが、他の山岳保険と比べて安い保険料になるのが嬉しいポイントです。
契約期間 | 1年間 |
補償内容 |
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保険料 | 1,910円〜 |
日山協山岳共済会に入っている方は、年間1,000円で共済会に加入し保険料を追加で支払うことで山岳保険に加入できるのでおすすめです。
jRO日本山岳救助機構
雪山の登山からハイキング、キノコ狩りまで幅広く対応し、24時間365日対応のコールセンターがあり、いつでも相談が可能です。
契約期間 | 1年間 |
補償内容 |
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保険料 | 2,200円 |
jRO日本山岳救助機構はココヘリと統合し、ココヘリ統合プランを選べるようになりより安心です。
労山基金
保険商品ではなく「寄付金」としてお金の寄付を行い、遭難時に交付を受けることができる仕組みになっています。
契約期間 | 1年間 |
補償内容 |
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料金 | 1口1,000円、10口まで |
レスキュー費用保険
万が一、山で遭難してしまったときに掛かる、捜査・救助費用の補償に特化しているのが特徴です。
契約期間 | 1年間 |
補償内容 | 捜査救助費用 |
保険料 | 4,000円 |
トレイルラン・キャンプ・渓流釣りなど、アウトドアの遭難は全て対象なので、安心できるポイントの一つです。
ココヘリ
発信機能がついた会員証を利用した会員制捜索ヘリサービスです。個人賠償責任や用品補償制度と充実した補償もおすすめポイントの一つ。
契約期間 | 1年間 |
補償内容 |
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保険料 | 5,500円 |
RO日本山岳救助機構と統合したことにより年間捜索費用550万円が補償されます。
また、三井住友海上の個人賠償責任補償、アウトドア用品補償も付いて充実した内容でおすすめです。
Yahoo ちょこっと保険山大好きプラン
加入には、「Yahoo!プレミアム会員(月額508円)」になることが条件ですが、保険金額の増減や補償内容の追加などを自分でカスタマイズできます。
契約期間 | 1年間 |
補償内容 |
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保険料 | 330円〜 |
山登り中のアクシデントはもちろん、日常生活の様々なシーンまで補償してくれるのでおすすめです
三井住友VISAカード|ポケット保険トレッキングコース
山登りやハイキング中のアクシデントをサポートし、万が一遭難してしまった場合の救援者費用を補償してくれます。
基本のパッケージを選んでから、補償内容や保険金額を自由に変更できるのも特徴の一つです。
契約期間 | 1年間 |
補償内容 |
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保険料 | 460円〜 |
三井住友VISAカード ポケット保険トレッキングコースを詳しく見る
山登りやハイキング以外でも適用されるので、釣りなどのアウトドアスポーツを頻繁に行う方におすすめです
楽天|超かんたん保険 アウトドアプラン
ハイキングや軽登山のリスクに備えた楽天会員向けの保険です。本人型での保険加入だけでなく、夫婦型・家族型もあるので、ファミリーで一括加入も可能。
契約期間 | 1年間 |
補償内容 |
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保険料 | 1,750円〜 |
契約期間は1年ですが、年払いではなく月額払いもできるのも嬉しいポイントです。
山岳保険の費用の目安
ここからは、山岳保険の費用について紹介します。大きく分けて
- 都度契約(1回限り)の軽登山
- 都度契約(1回限り)の本格的な登山
- 年間契約の軽登山
- 年間契約の本格的な登山
があります。山のレベルや補償の内容によって大きく変わるので目安にしてみてください。
都度契約(1回限り)の軽登山
短期のハイキング程度の軽登山保険です。
死亡、障害保険、入院、手術、賠償責任、携行品、救援費用を含み、1泊2日で保険料は500円程度です。比較的手頃な値段で加入することができます。
ハイキング程度だからと甘くみず、保険に加入することで万が一の事態にも安心です。
都度契約(1回限り)の本格的な登山
アイゼン、ピッケル、ザイル等を使った本格的な登山の場合です。
死亡、障害保険、入院、手術、賠償責任、携行品、救援費用に遭難捜索を含めて、1泊2日で保険料は2,000円程度です。
遭難や事故が起こった場合の救助費用はかなりの高額になります。ご自身や家族のためにも山岳保険に入ることをおすすめします。
年間契約の軽登山
ハイキング程度の軽登山で1年間の年間契約の場合です。
死亡、障害保険、入院、手術、賠償責任、携行品、救援費用を含み、保険期間1年で保険料は約10,000円〜30,000円程度です。
軽登山に年間20回以上出かけるのであれば年間契約を検討した方が良さそうです。
都度契約と違い、毎回保険に加入する手間も省くことができます。
年間契約の本格的な登山
アイゼン、ピッケル、ザイル等を使った本格的な登山の場合です。
死亡、障害保険、入院、手術、賠償責任、携行品、救援費用に遭難捜索を含めて、保険期間1年で保険料は約20,000円〜50,000円程度です。
年間10回以上本格的な登山をするのであれば年間契約を検討した方が良さそうです。
また、万が一の事態にも家族が駆けつけられるように費用を負担してくれます。現地で不安な気持ちになりますが、現地まで家族がきてくれると安心ですよね。
救援者費用等補償、遭難捜索費用補償のみにした場合
死亡や入院、手術補償をつけず、内容を賠償責任、救援費用、遭難捜索費用などに絞ることもできます。
死亡や入院補償は既に加入している他の保険に含まれているのであれば、必要ない場合もあります。この場合、1年契約で保険料は9,000円〜15,000円程度になります。
山岳保険に加入して安心安全な登山を楽しむ
この記事では、山岳保険の選び方・補償内容・山岳保険の費用の目安についてご紹介させていただきました。
山岳保険とは「登山保険」とも呼ばれ、登山などで起こり得る「遭難時の捜索や救助費用」に備える保険のことをいいます。
山岳保険には「年間契約タイプ」と「単発契約タイプ」の2種類あり、登山の頻度やスタイルに合わせての契約タイプを選ぶと良いでしょう。
適度な運動と見晴らしの良い景色を眺められることで人気の登山ですが、注意していても遭難やケガのリスクとは常に隣り合わせです。
登山を楽しむためにも「山岳保険」に加入して万一の事態に備えておくことをおすすめします。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。