天気予報の種類と的中率
第1回では、確率で示される天気の情報として降水確率をご紹介しましたが、このほかに、天気予報そのものの的中率というものがあります。
これも予報ではなく指針の類の情報ですが、大変気になる情報と言えます。天気予報の種類とともにこの的中率について解説していきます。
天気予報の種類
天気予報には民間の気象会社のものも含めると、実にさまざまな種類があります。ここでは気象庁を例にして解説します。
一般的に私たちが天気予報と呼んでいるものは、内容として今日、明日、明後日の天気と風と波、明日までの6時間ごとの降水確率と最高・最低気温の予想が発表されています。
正式には「府県天気予報」と呼ばれ「府県予報区」をさらに地域ごとに細分した「一次細分区域」単位で、毎日5時、11時、17時に発表されています。そのほかにも、週間天気と1ヶ月予報、3ヶ月予報などが発表されています。
気象庁も発表している的中率
天気予報を聞いていて最も気になるのがその的中率。気象庁もHPの「各種データ・資料」のなかの「気象天気予報等に関する検証資料」の項に「天気予報検証結果」があり、ここに的中率の推移などが掲載されています。
天気予報の的中率は、当然のことながら先の予報ほど精度が落ち、また季節によってもことなります。なかでも予報精度が落ちる季節は6〜8月。梅雨前線の予報のわずかなズレや夏の夕立がその原因です。
たとえば2020年5月の関東甲信地方の週間予報では、降水の有無に関する7日後の的中率は70%でしたが、6月になると50%と急落しています。
これも7日後という先の予報と梅雨前線という的中率を下げる2つの条件が重なったためなのです。
大きな被害を出す集中豪雨
雨のなかでもっとも警戒を要する降り方のひとつは、限られた地域が集中的に豪雨となる集中豪雨。
その原因には複数のパターンが考えられますが、どのパターンでもポイントとなるのは、激しい雨のもととなる雲を作るあたたかく湿った空気の流れ=風と地形です。
この2つにほかの要素も加わって集中豪雨は発生します。
経験したことのない大雨になる線状降水帯
近年、大雨や集中豪雨の要因として「線状降水帯」という言葉を耳にすることが多くなりました。
気象庁の用語集によると、線状降水帯とは、「次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域」となっています。
線状降水帯は、ある区域に激しい雨を数時間もたらし、その場所はまさに経験したことのない大雨となるという、水害にも直結する現象です。
この言葉を天気予報などで聞いたときは、警戒を怠らないようにすることが大切です。
突発的で予測が困難なゲリラ豪雨
線状降水帯と同様に、最近よく耳にする言葉に「ゲリラ豪雨」があります。ゲリラ豪雨とは正式な気象用語ではなく、気象庁ではこの言葉を使わずに局地的大雨、あるいは短時間強雨と呼び、日本国内だけで使われている言葉です。
2006年ごろからマスコミや民間気象予報事業者が用いるようになり、2008年には新語・流行語大賞のベスト10に選ばれています。
ゲリラ豪雨の特徴は、突発的で正確な予測が困難なこと、雨量が多いこと、同時多発的でもあるなどの点です。
このような特徴を持つ集中豪雨は被害が出やすいこともあり、新たな表現として「ゲリラ豪雨」が使われるようになりました。
予測が困難で被害が出やすいため、官民ともにいっそうの研究や観測・予測の強化、防災体制の構築などに積極的に取り組んでいます。ゲリラ豪雨も警戒すべき言葉として覚えておきましょう。
ヒートアイランド現象という都市型気候
日本各地で継続的に都市化が進んでいます。都市化が進むことによって、気象においても都市型気候という新しい問題が発生してきました。
都市の地面はアスファルトやコンクリートに覆われ、地上には大小のビルが建ち並び、エアコンや車、工場などから莫大な熱を常時排出しています。これらによって都市独特の気候が生まれています。
都市型気候の特徴
都市型気候は、雨が降っても下水道に流れてしまうため、地面は水分を蓄えずに乾燥し、また、水分が蒸発しないので気化熱が奪われにくく、夜になっても冷えにくいという特徴を持ちます。
さらに地上は凹凸だらけのために風も吹き抜けません。熱気がたまるヒートアイランド現象を起こすのが都市型気候の特徴です。
ヒートアイランド現象が生む弊害とは
このヒートアイランド現象は新しい災害も誘発します。熱気がたまった都市の空気は、それ自体が高気圧になるため都市周辺部では上昇気流が起こりやすく、特に夏場は郊外の周辺部では、山沿いからやってくる夕立雲がより強化されるため、激しい雷雨が起こりやすくなります。
大自然のなかでアウトドア・アクティビティを楽しむ場合は、都市型気候は直接的に関係しませんが、大都市近郊の海や川で楽しむときや、行き帰りの移動時には影響があります。
これは、都市生活者の気象の必須知識でもあるといえます。