シュノーケリングの基礎知識
シュノーケリングとは、スノーケル(パイプ状の呼吸器)を口にくわえ水中マスクとフィン(足ひれ)を使って、水面で呼吸をしながら水中の様子を観察する活動のことです。
シュノーケリングはスキンダイビングの中に位置づけられることがありますが、潜るスキンダイビング と違い、常に水面に浮いていることが特徴です。
シュノーケリングとダイビングスポーツとの違いは以下のとおりです。
シュノーケリング(スノーケリング) | 十分な浮力による水面での活動 |
スキンダイビング | 適切な浮力調整と息ごらえによる水中での活動 |
スキューバダイビング | 専門的な器材と圧力についての知識を伴う水中活動 |
シュノーケリングの語源は旧ドイツ軍のUボート(潜水艦)に用いられた通風・送気管から由来したと言われています。
シュノーケリングのライセンス
シュノーケリングを行うにあたって、スキューバダイビングのようなライセンスは必要ありません。
しかし、道具や用具の使用方法を誤っていたり、環境に対する知識不足、気軽な判断が思いもよらぬ事故に繋がる可能性があります。
泳ぎに自身のない人でも、老若男女楽しむことができるマリンレジャースポーツですが、相手は「海」。油断は大敵です。
ラインセンスの代わりに、しっかりとした知識を身につけることが安全性を高める第一歩となります。
シュノーケリングの用具・道具
一般的にシュノーケリングはダイビング3点セット(マスク、スノーケル、フィン)を用いて行うと理解されていますが、正確に言えばそれだけでは不十分です。
また、マスクのみ、あるいはマスクとシュノーケルのみで活動する姿を見かけることもありますが、これも正しいシュノーケリングのやり方ではありませんし、むしろ危険な状況を生み出すことにもなります。
まずは、シュノーケリングで使用する用具や道具の正しい取り扱いについて理解を深めましょう。
シュノーケルで使用する水中マスク
水中マスクは、水中での視界を確保する用具で、単に目の部分だけにあてるスイミングゴーグルとは異なり、鼻まで一緒に覆うことからマスクと呼ばれています。
水中マスクを選ぶ際は、中に水が漏れてこないことやガラスが曇らないことが大切です。近視などの人は度付きレンズで視力調整をする必要があります。
また、水中マスクに使用されているレンズは強化ガラスのため、普通の取り扱いではまず割れる心配はありませんが、乱暴に扱うと傷がつくことがあるので注意が必要です。
①サイズや形を選ぶ
ストラップをかけずマスクを顔に当てて鼻から軽く息を吸ったとき、マスクが顔に吸い付くことを確認しましょう。簡単にマスクが外れてしまうとサイズが合っていません。
②曇り止めをする
かならず曇り止めをしてからマスクを使用します。専用の曇り止め液がおすすめですが、自分の唾液を使う方法もあります。
③顔に装着する
顔に装着するときは、髪の毛が挟まらないようにマスク面を先に顔につけ、その後ストラップを頭にかけるようにします。この時、ストラップが頭の後ろで下がりすぎないように注意をしましょう。
④マスククリア
シュノーケリングの途中でマスクの中に水が入ってきた場合は、マスクの上部を押さえつけ、鼻から息を出して水を顔とマスクの隙間から外へ押し出します。これをマスククリアといいます。コツとしては、上を見上げるようにして何回にも分けて行うと良いでしょう。
シュノーケルで使用するスノーケル
スノーケルを使うことで顔を水面につけたままで楽に呼吸を続けることができます。
簡単な道具ですが、使い方を間違えると危険な場合もあるので、正しい使い方を知っておきましょう。
①サイズや形を選ぶ
デザインでは排水弁の有無、U 字タイプと蛇腹構造のあるストレートタイプに大別されます。大人や子供また女性など、それぞれの肺活量に応じた使いやすいものを選びましょう。
スノーケル内に水が浸入しづらいスプラッシュガードなどがついたものが便利でおすすめです。
②マスクと一緒に装着
スノーケルは必ずマスクのストラップにホルダーを用いて装着します。左右どちらでも構いませんが、スキューバダイビングの場合は左側に装着します。
スノーケルを口にくわえる時は「ア・イ・ウの原則」を守り、「ア」で大きく口を開き、「イ」でマウスピースの二つの出っ張りを歯で加えます。「ウ」でマウスピース全体を唇で包み込みます。
③スノーケルで呼吸する
スノーケルで呼吸をする際に一番大切なことは「静かにゆっくりと息を吸って一気に強く吐く」といった強弱のある呼吸法を行うことです。十分な呼吸量を確保することができ、誤って水を飲むことを避けることができます。
また、呼吸をする時は最初に強めに息を吐いてから呼吸を始めましょう。こうすることでスノーケルの中の水を出して快適に呼吸を始めることができます。
④スノーケルクリア
シュノーケリングをしているとスノーケル内に水が溜まってくることがあります。
その時は、吸い込んでいる空気を一気に強く吐き出すことで溜まった水を外に吹き出すことができます。これをスノーケルクリアといいます。
シュノーケルで使用するフィン(足ヒレ)
フィンを使用することで素足でのバタ足に比べて何倍もの推進力を得ることができます。
シュノーケリングでは急いで泳ぐ必要はないので、効率よくフィンを使うことで海の中でゆったりと行動することができます。
①サイズや形を選ぶ
フィンは大きく分けてブーツタイプとストラップタイプに分けられ、それぞれにサイズや材質の硬さに違いがあります。
大きくて硬いフィンを使いこなすためには、かなりの脚力が必要になります。初心者や女性には比較的柔らかめのフィンがおすすめです。
②フィンを装着する
基本的にマリンシューズまたはウエットスーツ生地のソックスを履いたうえに装着します。海への出入りの際に海岸を歩くために必要ですし、フィンによる靴ズレを防ぐうえでも有効です。
フィンを装着するのは海へのエントリー直前であり、フィンを履いたまま陸地を歩かないようにしましょう。
③フィンを使って泳ぐ
フィンを履いたら基本的にバタ足キックを行います。足全体をつま先までしっかりと伸ばし、腰の付け根付近から大きくしなやかに動かすようにすると効率的です。
いわゆる「自転車こぎ」にならないように、フィンの表面で水をとらえ、ゆっくりと大きく1回ごとのキックを有効に打つことが大切です。
④フィントレーニング
シュノーケリングで最もスポーツ的な要素が影響するのはフィンワークです。トレーニングを重ねることでフィンの扱いも上達し、海での行動に余裕が生まれてきます。
プールや海でフィンワークを練習する機会をつくり、一定の距離を少ないキック回数で泳げることを目指しましょう。
シュノーケリングで身に付けるもの
シュノーケリングで身に付けるものを見てみましょう。
水着・ラッシュガード
水着はウエットスーツを着る場合も邪魔にならない装飾の少ないシンプルな水着が良いでしょう。
また、日焼け防止、ケガ防止のために水着の上にラッシュガードの着用をおすすめします。
スノーケリングジャケットまたはウエットスーツ
水面での浮力を確保するために、スノーケリングジャケットまたはウエットスーツを着用しましょう。
しっかり浮力を確保することで、緊張することなく心身ともにリラックスした状態でシュノーケリングを楽しむことができます。
ウエイト
スキンダイビングに発展する場合は、ウエットスーツの浮力を相殺するために専用ベルトにウエイトを通して装着します。
ただし、ウエイト量の調整がとても重要なうえ、取扱いによって危険な用具でもあるため、できれば指導を受けてから使用することをおすすめします。
帽子
日差しの強い中でのシュノーケリングの際は、頭部の日焼け防止のためツバの小さな帽子やスイミングキャップなどを着用することをおすすめします。
シューズ
素足のケガを防ぐためにはシューズの着用は不可欠です。メッシュ生地のスノーケリングシューズが使いやすく便利ですが、体育館シューズなどでも代用することができます。
グローブ
グローブは水中での手のケガを防いでくれます。専用のグローブも販売されていますが、軍手で代用することも可能です。
ただし、グローブをしていることによって不用意に水中のものに手を出しやすくなることから、自然保護先進地域では「No Glove(グローブ禁止)」を定めている地域もあります。
補助アクセサリー
シュノーケリングで使用する補助アクセサリーを見てみましょう。
図鑑
水中で見つけた魚や生物などを忘れないうちに図鑑で調べて名前を確認しておくと、シュノーケリングの楽しみがどんどん広がっていくことでしょう。
メッシュバック
シュノーケリング用具をひとまとめにして持ち運ぶには、全体がメッシュでできたバッグが便利です。サイズやデザインを選んで活用しましょう。
水中ナイフ
決して生物を採取するために使用しないようにしてください。あくまで緊急時に使用する道具です。できれば指導者に正しい使い方を教わってから持つようにするとよいでしょう。
時計(ダイバーズウォッチ)
シュノーケリングに夢中になっていると、時間が経つのをつい忘れてしまいがちです。そんな時はダイバーズウォッチがあると便利です。バディや仲間と時間について打ち合わせをしておくことも肝心です。
コンパス
主にスキューバダイビングで使用する器材ですが、コンパスを使いこなせるようになると顔を上げずに方向を確かめることができ、水中オリエンテーリングなどの活動に役に立ちます。
水深計
スキンダイビングに発展したとき、水深計があれば目安として水深を知ることができます。最近ではダイバーズウォッチに水深計が組み込まれているものもあります。
シュノーケリング用具・道具の手入れと保管
シュノーケリングで使用する用具や道具は簡単な構造のものばかりですが、それらを自分の体の一部として使いこなすことが、シュノーケリングのスキルそのものであるといっても良いでしょう。
できれば、衛生面、スキル向上、用具・道具への愛着といった観点から、自分専用の用具や道具を持つことをおすすめします。
新品を使う前に
シュノーケリングの用具や道具を新たに購入した場合は、シールなどを剥がし、必ず一度洗ってから使いましょう。
とくにマスクは、ガラス面の内側を食器用洗剤などで使って油膜を取り除いておかないと、曇りの原因になります。また、自分の用具や道具には必ず名前を書いておくようにしましょう。
使用後の道具
海で使った道具は、そのまますぐに水洗いをします。できれば大きなバケツなどに溜めた水の中で、塩分をよく洗い落としましょう。
そして、風通しの良い日陰で十分に乾燥させます。直射日光にあてるとゴムやシリコンが痛んだり、変色したりすることがあるので注意しましょう。
保管と手入れ
スノーケルはマスクから取り外し別々に。マスクやフィンのストラップの留め金を外し、砂や小石を取り除きます。保管する時には、ストラップの留め金は外したままにしておいたほうが良いでしょう。
どの用具も重いものの下にすると潰れて変形してしまうので、ケースに入れるか重いものの下敷きにならないように注意しましょう。また、ウエットスーツは太めのハンガーにかけておくようにしましょう。