樽前山について
樽前山の火山の歴史や、世界的に珍しい溶岩ドーム、登山ルートなどを紹介していきます。
樽前山という名称は、アイヌ語の「タオロマイ」(川岸の高いところという意味)が語源です。
アイヌ語で樽前川を指す言葉を、江戸時代後期に入植した和人が、山名と間違えたのではないかといわれています。
樽前山のことを、アイヌの人たちは「ヲフイノボリ」「オフィヌプリ」(燃える山)と呼んでいました。
樽前山の火山の歴史
樽前山の火山の歴史は古く、有史以前の約9,000年前から火山活動がはじまったとされています。
有史以降の記録に残されている噴火は、1667年(寛文7年)9月23日のことで、大規模なマグマ噴火が発生し、苫小牧に火山灰が約2mも堆積しました。
1739年(元文4年)8月18~30日にかけても大規模なマグマ噴火が発生、千歳空港付近に火山灰が約1m堆積したと記録されています。
さらに、1804年~1817年にも中規模なマグマ噴火が発生、周辺住民に多数の死傷者を出しました。
1909年(明治42年)の噴火では、マグマが大量に噴出して、現在見られるような溶岩ドームが形成されました(溶岩ドームは、樽前山と異なり真っ黒な色をしているため、とてもインパクトがある)。
山頂の火口の縁には、溶岩ドームの周囲をめぐるルートが整備されていますが、活発な噴気活動があるためルートから離れて溶岩ドームに近づくことはできません。
最近では、1979年(昭和54年)と1981年(昭和56年)に水蒸気噴火が発生しています。
2003年(平成15年)、2011年(平成23年)、2012年(平成24年)に火口付近が明るく見える現象を観測、2013年(平成25年)には火山性とみられる地殻変動を観測しましたが、それ以降は小康状態を保っています。
北海道が天然記念物に指定している溶岩ドーム「樽前山熔岩円頂丘」
1909年(明治42年)の噴火によって誕生した溶岩ドーム「樽前山熔岩円頂丘」は、北海道指定文化財の天然記念物に指定されています。
「樽前山熔岩円頂丘」は、円形の火口にプリンをふせたような形をしていて、千歳空港に離着陸する飛行機内からもよく見えます。
樽前山の山頂に、直径1.2km×1.5kmの外輪山に囲まれた火口原があり、その中央部に直径約500m、高さ約100mの溶岩ドーム「樽前山熔岩円頂丘」があります。
山頂への登山ルート
樽前山への登山は「7合目登山口」からのスタートが一般的です。
「7合目登山口」(標高660m)から山頂の外輪山取付(標高950m)まで登ります(所要時間は約40分)。
さらに、外輪山取付からは、溶岩ドームを眺めながら、外輪山をぐるっと1周するコースを周遊します(約2時間)。
下りは7合目登山口まで約30分、合計で約3時間10分のタイムスケジュールです。
7合目登山口→外輪山取付(約40分)→外輪山をぐるっと一周して外輪山取付(約2時間)→7合目登山口(約30分)合計約3時間10分
また、「7合目登山口」には、広い駐車場と宿泊も食事もできる「樽前山7合目ヒュッテ」があり、身体の疲れをゆっくり取ることができます。
樽前山7合目ヒュッテ
北海道苫小牧市字錦岡
アクセス:苫小牧駅から車で60分
電話:0144-32-6111
樽前山周辺の見どころ
樽前山周辺は、支笏洞爺国立公園内にあたるため、観光スポットや温泉が充実しています。
樽前山周辺の観光スポット
風不死岳(ふっぷしだけ)
風不死岳は、樽前山から北西へ3㎞ほどのところにそびえる標高1,102mの火山です。
風不死(ふっぷし)というのは、アイヌ語で「フップ・ウシ」(トドマツのあるところ)という意味で、かつてはトドマツの林に覆われていました。
登山では、樽前山と風不死岳とを結ぶ縦走コースが設けられており、風不死岳の登山口である北尾根登山口から出発して、風不死岳山頂を経て樽前山に向かうルートがあります。
【樽前山~風不死岳の縦走コース】
北尾根登山口:90分→見晴台:90分→風不死岳:85分→ヒュッテ分岐:30分→ルート一高い地点907m:30分→樽前山(北外輪山):50分→樽前山(東山):5分→樽前山(東外輪山):35分→樽前山七合目ヒュッテ
支笏湖
支笏湖は、44000年前に発生した大噴火によって生まれたカルデラ湖です。
厳冬期でも凍らない「日本最北の不凍湖」として知られています。
湖底に火山の熱が残っていることが、不凍湖の要因だと考えられています。
苔の回廊
苔の回廊は、近年、樽前山や風不死岳をトレッキングする登山者の間でひそかなブームになっています。
約300年前に起きた樽前山噴火による溶岩流が支笏湖で固まり、長い年月の間に風雨に浸食されて「苔の回廊」になりました。
さまざまな条件が重なって生まれた奇跡の景観と、苔に覆われたジブリワールドは、息をのむ絶景です。
苔の回廊
北海道千歳市モラップ
国道453号線から南へ1㎞ほど入ったところ
おすすめの温泉
オートリゾート苫小牧アルテン ゆのみの湯
「ゆのみの湯」は、樽前山の麓にあるオートキャンプ場やバーベキューコーナーなどもある複合型レジャー施設です。
源泉100%で、大浴場や寝湯、打たせ湯、ハーブ湯など至れり尽くせりの温泉があります。
また、レストランも併設されていて、苫小牧産ホッキ貝を使った料理などが食べられます。
オートリゾート苫小牧アルテン ゆのみの湯
苫小牧市樽前421-4
電話:0144-61-4126
定休日:第3水曜日
営業時間:10:00~22:00(最終受付21:20)
駐車場:246台(無料)
樽前山周辺ではクマの出没情報に注意
風不死岳の周辺では、ヒグマの出没事例が報告されています。
樽前山から風不死岳への縦走を予定している方は、念のためクマよけの鈴などを持参するようにしましょう。
登山する際には、事前にヒグマの目撃情報などもチェックしておいてください。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。