最近は再び、教育的有効性があるとしてビオトープに注目が集まっているそうです。
今回はビオトープアドバイザーという資格をご紹介します。
ビオトープアドバイザーとは?
まず、ビオトープとはいったいどのようなことなのか説明してから、ビオトープアドバイザーについて紹介していきます。
そもそもビオトープとは何なのか
ビオトープという言葉は、ドイツで生まれた概念で、生物が生きる場所という意味を持ちます。
ドイツ連邦自然保護局では、ビオトープの定義について「有機的な結びつきを持つ生物が集まる社会・生息環境」としています。
英語にするとバイオトープ(biotope)となり、語源はギリシャ語のbio(命)とtopos(場所)を組み合わせた言葉で、生物にとって住みやすい環境に変えていくという意味があります。
土木工学的な見地からは、生物の多様性を考えた、住宅地や道路、河川、公園などの整備を目指すときに、ビオトープの概念がしばしば用いられます。
また、小魚や水草などが生息する水辺や、草むらや森を人工的に造り上げて食物連鎖を完結させた小規模公園のことをビオトープと呼ぶこともあります。
ビオトープアドバイザーの資格について
ビオトープアドバイザーとは、ビオトープ事業の推進にあたるための、環境保全や再生に役立つ実践的な知識、経験を持つ人に与えられる資格です。
ビオトープアドバイザーには、「ビオトープアドバイザー」と「主席ビオトープアドバイザー」の2つがあります。
NPO法人日本ビオトープ協会が資格認定をおこなっており、環境保全や再生に関する基礎講座と3日間のビオトープアドバイザー認定試験研修会、研修会終了後の試験を経て、資格を認定しています。
ビオトープアドバイザーには、事業計画や施工技術、生態系に関する知識や実践的な経験が要求されます。
ビオトープアドバイザーはどんな活動をしているの?
ビオトープアドバイザーの資格保持者は、生態系保全や環境保全にかかわるさまざまな公共事業に総括アドバイザーとして加わり、指導することができます。
具体的には、学校内におけるビオトープ建設のアドバイザーをはじめ、ホタル水路づくりのアドバイザー、環境関連の観察会やウォーキング、夜の昆虫観察会の指導員、里山整備事業のアドバイザーなどをビオトープアドバイザーの資格保持者が務めています。
ほかにも、さまざまな講習会やワークショップを主催して、指導者として自然環境の重要性を伝える取り組みをおこなっています。
日本ビオトープ協会のビオトープアドバイザーになるには
ビオトープアドバイザーには「ビオトープアドバイザー」と「主席ビオトープアドバイザー」の2つがあります。
ビオトープアドバイザー
ビオトープアドバイザーの資格を取得するためには、3日間の研修カリキュラムで、環境保全や再生の基礎講座と、グループワークで図面を作成する実技や現地視察会をおこなう実践講座を履修します。
3日間の研修カリキュラム終了後、試験があり、合格した者にはNPO法人日本ビオトープ協会よりビオトープアドバイザーとして認定されます。
【3日間の研修カリキュラムの概要】
1日目:基礎講座 第1章から4章までの講座 生物学基礎、環境破壊と再生など
2日目:基礎講座 第5章と6章の講座 ビオトープづくり基礎・応用
実践講座 第1-3講 ビオトープの事例、計画書づくり実習(グループワーク)など
3日目:実践講座 第4章の実践講座 フィールド見学、植生調査・維持管理実習など
認定試験(1時間筆記試験・基礎講座で学んだ内容から出題)
主席ビオトープアドバイザー
主席ビオトープアドバイザーは、ビオトープアドバイザーよりも上位に位置づけられている資格で、ビオトープアドバイザーを指導する立場でもあります。
ビオトープアドバイザーとしての実務経験を積んだ人の中から、主席ビオトープアドバイザー認定研修会受講の対象者を選出し、講習を受講して審査に合格した人に、主席ビオトープアドバイザーの資格が認定されます。
ビオトープアドバイザーの資格にはこんなメリットも
子どもたちを対象にした、水生動物やプランクトン、小魚や昆虫などの生態系や食物連鎖を維持している環境の観察会、ワークショップ、生き物教室の主催がおこなえます。
教育や公共事業、建設、環境事業に関する職場では、環境保護や生態系の保全活動のアドバイザーとして率先して参加することができます。
また、主席ビオトープアドバイザーの資格保持者は、ビオトープアドバイザーを対象にした講習会の講師を務めることが可能です。
生態系の保全だけでなく、豊かな自然環境を備えたビオトープづくりの施工計画なども学べます。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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