しかし、晴れや雨など目に見える天気よりも、気圧の影響が大きくなる事実もあります。とくに渓流ではその影響が顕著に釣果にあらわれます。
今回は釣りに行く前に確認したい気圧の影響を解説します。
魚果は気圧に影響されるのか?
気圧は、目に見える天気ではないので普段あまり気にしませんよね。
しかし、じつは気圧の影響は予想以上に生き物への影響が強いのです。
気圧の変化は人体への影響も有り、気圧の低い日に頭痛やめまいがする天気病は、日本人の10人に1人が悩んでいるとも言われています。
もちろん魚への影響も有り、ベテラン釣り師は「低気圧は活性を上げ、高気圧は活性を下げる」という方も多いです。
このため、週間天気予報のような晴れや曇りを表す天気予報だけでなく、天気図を読める釣り師も少なくありません。
はてには天気病の方向けに低気圧を予報してくれるアプリを、逆に釣りの好機を知るために使う方もいます。
とくに渓流は気圧の影響が強くあらわれる
気圧の影響は海釣りでも重視されますが、とくに渓流や本流、湖など淡水釣りで重要だとい言われます。
これは水位の関係で、深い海よりも浅い淡水域のほうが気圧による影響を受けやすいから。
水深が深くなると気圧よりも水圧の影響が大きくなるので、大気からの影響が少なくなります。
海は満潮と干潮を繰り返し、そこに生息する魚も環境の変化に慣れています。
なので。気圧の影響でゆるやかな変化があっても、いつもと変わりなく活動できるのではと言われています。
つまり、比較的水深が浅い場所に生息し、水圧の変化に慣れていない淡水魚は気圧の影響を受けやすいのです。
低気圧は渓魚の好む天気
渓流釣りのセオリーでは、雨や曇りの日は釣れやすいと言われています。
これは曇れば水面に影が映りにくく人影で魚が逃げにくくなり、雨が降れば水が濁って魚が身を隠せるので活発になるからです。
また、増水で水流が激しくなれば小魚が隠れ家から出てきたり、エサになる水生昆虫が流されることも。
そのため、捕食行動にも入りやすくなると言われています。
低気圧は雲を発生させるので天気が崩れやすく、こういった渓魚の好む天気を呼び寄せてくれます。
天気の変化に関しては高気圧でも起こりえるので、高気圧で曇りや雨になっても同じ効果があるといえます。
雨の渓流には注意が必要!
雨はとくに魚の活性を上げやすいですが、雨の渓流は危険も伴います。
増水すれば流されてしまう危険もありますし、場所によっては土砂崩れのリスクもあります。
そういったリスクを避けるためにも、気圧の変化が一役買ってくれます。
低気圧の接近は天気が荒れることを予想できます。
前もって気圧の動きを読んでいれば雲が発生する前に天気の崩れを予想できるので、余裕を持って釣りができますね。
低気圧でトップの活性が上がる?
渓流釣りでは、底に仕掛けを流し込むのがセオリーです。
これは渓魚が水流の弱い川底を好んで泳ぐからで、それにあわせて仕掛けの錘を調節したり、ルアーアクションを工夫しますよね。
実際、渓魚は川底を中心に生活していますが、低気圧が接近するとトップ(水面付近)の活性が上がるといわれています。
たしかに、低気圧のときは魚がライズする(餌を狙って水面に飛び出る)姿を見ることがあります。
では、なぜ低気圧だとトップの活性が上がるのでしょうか。
餌が水面に集まりやすくなる
気圧は空気の圧力で、人間も常に圧力がかかっています。
この圧力が変化することによって、体調不良を起こす方もいるわけです。
この圧力の影響を受けているのは、生き物だけではありません。
水も圧力を受けていて、気圧の変化によって水位の変化が起こります。
強力な低気圧である台風が接近すると、海沿いの道路にまで海水があふれて冠水する様子を見たことがありますよね。
これは雨で海水が増えたわけではなく、気圧の変化によって一部だけ海水が吸い上げられたり、引き寄せられて海面が上昇。
そこに暴風が当たって、波が起こってあふれているのです。
この水面の変化は台風以外の低気圧でも起こるので、水位の変化によってエサになる昆虫が水中に落ちたり、水生昆虫が水面に集まります。
それにともない、魚もトップに集まるという説があるのです。
低気圧の日にライズする魚をよく見かけることからも、この説の信憑性は高いと言えるでしょう。
浮き袋が膨らみやすくなる
魚は体の中に浮き袋(鰾)を持っていて、浮き袋の空気量を調節して水中で沈みやすくしたり、浮きやすくしたりと調節しながら活動しています。
気圧の変化は浮き袋にも影響します。
気圧が下がると外圧が下がるため、浮き袋が膨らみやすくなり、浮力が強くなるのでトップに集まりやすくなるという説があります。
サケ目の渓魚は比較的浮き袋の調節をしやすく、気圧がどこまで活性に影響するのかはわかっていませんが、一時的にでも魚の活動に影響していることは間違いないでしょう。
魚の活動に影響するだけでなく、天気を予想する知識を身に付ければ安全確保に繋がります。
身近な自然現象である天気を味方につけて、魚の活性を読む一要素にすればきっと釣果にも繋がるでしょう。