ふと鳥の声が聞こえたりちらりと姿が見えたりしたとき、種類を調べたり、記録したりしたくなるのではないでしょうか?鳥の種類の同定や記録は、本格的なバードウォッチングの楽しみのひとつ。本記事では、バードウォッチャーの筆者が実際に活用中の野鳥観察に役立つ3種類のアプリを紹介します。簡単操作で機能豊富なアプリばかりなので、バードウォッチングが何倍も深まりますよ。

バードウォッチャーによくある悩み

バードウォッチング アプリ

フィールドで鳥たちとの出会いを楽しむバードウォッチング。楽しく癒されるアクティビティですが、いざ始めてみるといろいろと疑問が湧いてくることも。ここでは初心者が抱きがちな悩みと解決方法をいくつか挙げていきます。

鳥の名前がわからない

バードウォッチングを始めてまずぶつかるのが、鳥を見つけても名前がわからない、という悩みです。解決するには、鳥を見つけるたびによく調べて、1種類ずつ覚えていくのが早道です。

知らない鳥を見つけたら、体の色・大きさ・くちばしの形などをよく覚えておくようにしましょう。身体的特徴以外に、季節・場所・行動など、鳥を見つけたときの状況も記憶しておくと、図鑑やネットで調べる際に有力な手掛かりになります。

「集団で地面にいた」「なかなか飛ばずよく歩く」など、とくに記憶に残ったことも、後で調べるときに役立つことがありますよ。

何の鳥の鳴き声かわからない

鳥の鳴き声は多種多様です。種類によって鳴き声が異なるのはもちろん、同じ鳥が複数の鳴き声を使い分けたり、季節によって違う声を出したりすることもあるので、完璧な聞き分けはかなりのベテランにならないと困難です。

それでも、種類ごとの代表的な鳴き声だけでも覚えられれば、バードウォッチングは一歩前進です。最初のうちは、あらかじめ動画サイトで鳥の鳴き声を聞くなどして予習しておくとよいでしょう

フィールドでは、鳥の姿が見えなくても動画撮影で音声の記録を残しておくと、同定や復習に使えます。

観察した鳥を記録する方法がわからない

意外と悩む人が多いのが、野鳥との出会いを記録、管理する方法です。バードウォッチングのたびに、出会った鳥の種類はどんどん増えて、写真や動画の管理がなかなか大変になってきます。

スマホでデータを管理しようとすると、容量がすぐにいっぱいになってしまうことも。メモやアプリなどを活用して、日付や鳥の種類など、後で見やすいように整理しておけたらGOOD!です。

バードウォッチングのお悩み解決アプリ3選

バードウォッチング アプリ

バードウォッチャーのお悩み解決には、スマホのアプリが便利です。ここからおすすめのアプリを3種類紹介します。

質問形式で種類がわかる『Merlin Bird ID』

バードウォッチングアプリ
引用:Merlin Bird ID by Cornell Lab

初めて出会った鳥の種類を知りたいとき、私が活用しているのは『Merlin Bird ID』。米国コーネル大学の鳥類学研究所が提供しているアプリで、信頼性が高く、多くのバードウォッチャーに支持されています。

野鳥の種類の識別に使用するには、対象となる野鳥を見つけた場所・時期・大きさ・色・行動に関する質問に答えていくと、プリが合致する野鳥をいくつかピックアップしてくれるのでチェックしてみましょう。

あまり野鳥に詳しくないバードウォッチング初心者でも、このアプリなら簡単に種類を絞り込むことができます。

Merlin Bird ID iOS
Merlin Bird ID Android

鳴き声が聴ける図鑑『野鳥鳴き声図鑑』

バードウォッチングアプリ
引用:野鳥の鳴き声図鑑

鳥を見つけるうえで重要な手掛かりになる鳴き声。『野鳥鳴き声図鑑』というアプリでは、日本でよくみられる250種類の野鳥の鳴き声を収録していて、どの野鳥がどんな鳴き声を出すのかを知るのに役立ちます。

フィールドで目にしたり、耳にした声をヒントに、何の鳥なのか調べてみましょう。名前が分からなくても色や大きさなどの特徴で検索でき、解説画面で鳴き声の表音(鳥の鳴き声をカタカナで書き表したもの)を見て音を再生できます。

もちろん、それぞれの野鳥の特徴なども詳しく記載されているので、野鳥図鑑としても役立ちます。

野鳥鳴き声図鑑 iOS
野鳥鳴き声図鑑 Android

自分でつくる野鳥図鑑『野鳥GO』

バードウォッチングアプリ
引用:野鳥GO

『野鳥GO』は、鳥との出会いをスマートに管理できるアプリで、いわば自分で作る野鳥図鑑のようなものです。

まず野鳥の写真をアプリにアップロードします。するとアプリの画像判定AIによって、写真の鳥だと思われる種をいくつか提示してくれます。撮影した鳥の種類を選択すると、図鑑に登録が完了します。

出会った鳥を記録しつつ、自分自身で図鑑を作っていくのがゲーム感覚で楽しく、愛用しているバードウォッチャーも多いようです。

野鳥GO iOS
野鳥GO Android

実践!アプリ活用術

バードウォッチング アプリ

アプリをフィールドでどのように活用できるか、実際に鳥を観察しながら紹介していきます。

何の鳥?

公園を歩いていると、頭上を小鳥が横切っていきました。色は白と黒と灰色模様だったのは見えたのですが、そのほかははっきりとわかりません。近くの樹から、「ツピツピ」という声が聞こえます。

①『Merlin Bird ID』で種類を絞り込む

まずは『Merlin Bird ID』を開き、鳥の種類を絞り込むために質問に答えていきます。色は複数からどの色が含まれているかを選択する形式なので、はっきりと見えていなくても大丈夫です。今回は、「白」「黒」「灰色」が印象に残っています。

絞り込んだ中に、見かけたと思われる鳥が見つかりました。どうやらシジュウカラのようです。

②『野鳥鳴き声図鑑』で声をチェック

先ほどから聞こえている「ツピツピ」という声はシジュウカラのものでしょうか?

確認のために、『野鳥鳴き声図鑑』を開きます。シジュウカラのページへ移動し、さえずりの再生ボタンを押します。すると、樹上からの声とほぼ同じ声が再生されました。やはりシジュウカラで間違いなさそうです。

③『野鳥GO』に写真を記録!

運よくシジュウカラが、足元に降りてきてくれました。どうやら巣作りのための材料を集めているようです。その様子をスマホのカメラで撮影します。

撮影した写真をさっそく記録しましょう。『野鳥GO』のアプリを起動し、写真をアップロードします。AIによって候補が絞られ、その中からシジュウカラを見つけて選択します。無事登録され、シジュウカラの項目に撮影した写真が反映されました。

こうした一連の流れで、初めて見た小鳥がシジュウカラであるとわかり、記録しておくことができました。次に出会ったら、きっとすぐにシジュウカラだと見極められるでしょう!続けていくと、いつの間にか身の回りの野鳥たちに詳しくなっているはずです

便利なスマホアプリの登場で、バードウォッチングはより簡単で親しみやすいものになりました。知識や経験が少なくても、フィールドで鳥に出会うのがきっと楽しみになります。アプリをおともに、バードウォッチングを楽しんでみてください。

麦原拓馬

ライター

麦原拓馬

東京都在住の週末バードウォッチャー。
高尾山の登山中にキツツキを見つけたことがきっかけでバードウォッチングに興味を持ちドハマり中。
多摩エリアをメインにアウトドア活動を行っている。
愛犬のミニチュアシュナウザーと毎朝散歩をするのが日課。