アウトドアブランドのパタゴニア日本支社が、環境省との協定のもと新プロジェクト「Ridge to Reef」を始動します。本プロジェクトは、陸から海までをひとつの流れとして捉え、日本の沿岸生態系の再生を目指す挑戦。7月には記念シンポジウムも開催され、専門家との対話や講演を通じて海洋保全の未来を展望します。

「Ridge to Reef」プロジェクトが示す、新しい海洋保全のかたち

パタゴニア「Ridge to Reef」プロジェクト

気候変動や開発によって劣化が進む日本の沿岸生態系。この危機に対し、アウトドアブランドのパタゴニア日本支社が新たに立ち上げたのが「Ridge to Reef(リッジ・トゥ・リーフ)」プロジェクトです。2025年7月、環境省との協定締結に基づき本格始動を迎えるこの取り組みは、陸域と海域を分けて考えるのではなく、流域全体をひとつの生態系として捉え、持続可能な海洋環境を構築するための包括的なプロジェクトです。

この動きの背景には、日本の沿岸が直面する深刻な課題があります。高度経済成長期における開発や埋立てによって、生物多様性は著しく損なわれ、2021年の『生物多様性及び生態系サービスの総合評価』でもその劣化が明確に示されています。

パタゴニアが描く“流域思考”という未来

「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む。」という企業ミッションのもと、長年にわたり環境保護活動を支援してきたパタゴニア。海洋再生においても、源流にあたる山や森、河川などの陸域から海までを一体としてとらえる「流域思考」が必要不可欠だと考えています。

現行の海洋基本計画でもこの視点は打ち出されていますが、実際には十分に展開されているとは言えません。だからこそパタゴニアは、自らの支援体制とネットワークを活用し、地域で活動する人々と連携しながら、流域を意識した取り組みを実践・共有していくのです。

シンポジウムで語られる“つながり”の力

この歴史的な協定締結とプロジェクト始動を記念し、パタゴニア日本支社はシンポジウム「Ridge to Reef: Restoring Our Ocean -流域思考でひらく海洋再生の道-」を開催します。参加費は無料(事前登録制)で、どなたでも参加可能です。

シンポジウム開催概要

【Ridge to Reef: Restoring Our Ocean -流域思考でひらく海洋再生の道-】
日時:2025年7月23日(水)14:00~17:00
場所:紀尾井カンファレンス(永田町駅直結/赤坂見附駅徒歩1分)
参加費:無料(要事前登録)
申込締切:2025年7月10日(木)
申込フォーム:お申し込みはこちらから
申込締切:2025年7月10日(木)
主催: パタゴニア日本支社
協力: 環境省

開催プログラム詳細

■オープニング

まずは、パタゴニア日本支社 支社長のマーティ・ポンフレー氏による開会挨拶と趣旨説明。さらに、PEMSEA(東アジア海域環境管理パートナーシップ)事務局長のエイミー・T・ゴンザレス氏からの祝辞(ビデオメッセージ)も届けられます。

■協定書署名式

続いて行われるのは、プロジェクトの正式な始動を象徴する協定書署名式です。

パタゴニア側からは柳谷牧子氏(オーシャンイニシアティブスディレクター)がプロジェクト概要を説明。
環境省からは水谷好洋氏(海洋環境課長)が連携事業について語ります。
署名者として、環境大臣・浅尾慶一郎氏、そしてパタゴニア支社長・マーティ・ポンフレー氏が登壇予定です。

■記念シンポジウム

午後のメインとなる記念シンポジウムでは、2名のキーパーソンによる基調講演が注目を集めます。
【基調講演】
●大原徹氏(一般社団法人Bisui Daisen 代表理事
大山の自然を舞台に「身体を通した学び」によって地域の価値を発信する活動を展開。「流域という視座 つながりのダイナミクス」をテーマに語ります。
●島谷幸宏氏(熊本県立大学 特別教授)
“流域治水”の実践者であり、日本の河川工学・自然再生の第一人者。「共創する流域治水」という視点から、地域と協働した水辺の再生事例を紹介します。

【ダイアログ】
・島谷幸宏氏
・大原徹氏
・柳谷牧子

【パネルディスカッション】
沿岸生態系のレジリエンスと流域、そして社会システム(仮題)

登壇者3名による対話の時間では、実践者ならではの視点からリアルな課題と可能性を掘り下げます。

■クロージング

イベントの最後は、再びマーティ・ポンフレー氏が登壇し、今後の展望とともに閉会挨拶を行います

パタゴニアについて

パタゴニアは1973年創業の米国発アウトドア企業で、「地球を救うためにビジネスを営む」を掲げ、環境負荷の少ない製品づくりに取り組んでいます。Bコーポレーション認証や1% for the Planetへの加盟を通じ、利益を地球環境保全に還元。日本ではオーガニック製品や食の事業も展開し、再生型有機農業の普及にも貢献しています。

【会社概要】

パタゴニア日本支社
Patagonia International Inc., Japan Branch
所在地:神奈川県横浜市戸塚区川上町91-1 BELISTA タワー東戸塚5階
設立年月日:1988年8月23日
日本支社長:マーティ・ポンフレー
公式サイト

パタゴニアが描くのは、山から海へとつながる命の循環を取り戻す未来。流域という視点から日本の自然再生を考える「Ridge to Reef」プロジェクトの今後に注目です。

Greenfieldニュース編集部

ライター

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