冷蔵庫の中で中途半端に余ってしまった食材。「使い切ることができず廃棄してしまった」という経験、誰にでもあると思います。食品ロスが世界的な問題となる以前から、筆者の在住国イタリアでは捨てずに食べるためのレシピがよく知られていました。余った食材を無駄なく使い切るレシピを、イタリアからお届けします。
余った食材、捨てないで!
「フード(食品)ロス」とは、本来はまだ食べられるのに廃棄されてしまう食材のことです。
農林水産省によれば、日本人の年間食品ロス量は1人当たりなんと38kg。(※1)その衝撃的な数字に先立ち、私が食品ロスを意識するようになったのは、生産者直売の市場で食材を買うようになってからです。
「今日のインゲンマメ、ほんとに柔らかいわよ」とか「今年初めてのサクランボだよ」と声をかけられ、おしゃべりを交わしながら食材を買うのが日常になると、廃棄するときに生産者の顔が目に浮かぶのです。
常連さんになると、形がいびつな野菜や畑の隅に実験的に植えた食材もおまけにくれる生産者さんたち。ひとつの食材も無駄にしないという姿勢は一貫していて、私も食品ロスを意識するようになりました。
加えてイタリアは、“マンマ”の作るお料理への愛着が深い国。食品ロスを減らすためのアプリが開発されるなど、日々のニュースにも刺激を受けました。
日常化した食品ロス対策のレシピを紹介したいと思います。
余った食材のレシピ:主食編

中途半端に残ってしまう主食。イタリアではこんな風に消費します。
余ったパスタはオムレツに
みんな大好きなパスタ、作りすぎて余ってしまうことが多い料理です。そんなときは、パスタを主食ではなく、おかずの一品にしましょう。
パルミジャーノチーズやハム、グリーンピースを加えるとカラフルなオムレツになります。パスタの量に合わせて、卵や具材の量は調節してみてください。
パスタのオムレツレシピ
材料
・余ったパスタ
・卵4~5個
・ハムやグリーンピースなどの具材 お好みで
・塩・胡椒 適宜
作り方
①ボウルに卵を割りよく混ぜる
②余ったパスタと具材を①に加え、味付け用の塩と胡椒を振る
③フライパンにオリーブオイルを入れて、フライパンが温まったら②を投入
④片面が焼けたらひっくり返す
⑤両面がお好みの固さに焼けたら完成
余ったパンはトスカーナ風にパンツァネッラに
古くなって固くなったフランスパンは、トスカーナ風のパンツァネッラがおすすめ。野菜もたくさん摂れるヘルシーメニューです。
パンツァネッラのレシピ
材料
・古くなったフランスパン 200g
・トマト 250g
・きゅうり 1本
・玉ねぎ ½個
・バジルの葉 数枚
・ヴィネガー 40g
・塩 適量
・オリーブオイル 適量
・オリーブ、チーズなど お好みで
作り方
①パンを一口大に切る
②トマト、きゅうり、玉ねぎを適当な大きさにカット
③大きめのボウルにパンと具材を入れる
④オリーブオイル、ヴィネガー、塩で味付けをする
⑤バジルの葉を飾って完成
1時間ほど冷蔵庫で馴染ませるとさらにおいしくなります。具材もお好みで変えたり加えたりしてみてください。
余ったリゾットはライスコロッケに
リゾット※が余ってしまった場合は、オーブンを使ったライスコロッケに。イタリアの本格的リゾットは、日本の雑炊と異なり芯がありかなり固め。成形がしやすいのが便利です。おやつやおつまみ代わりにもなります。
リゾットのライスコロッケ
材料
・リゾット 200g
・卵 1個
・パルミジャーノチーズ 70g
・モッツァレラチーズ 適量
・パン粉 適量
・お好みのハーブ
作り方
①ボウルにリゾットを入れ、パルミジャーノチーズ、卵、お好みのハーブを加えて混ぜる
②モッツァレラチーズをさいころサイズにカットする
③①のリゾットをピンポン玉くらいの大きさに成形する。その際、中心にモッツァレラチーズを入れる
④③にパン粉をまぶす
⑤200℃のオーブンで20分ほど加熱して完成
余った野菜はバラエティ豊かに使い切る
冷蔵庫の中で行き場を失っている野菜も、上手に使い切りましょう!野菜のおいしさを活かしたレシピで、食卓はさらに豊かになります。
カラフルなミネストローネに
微妙な量で残っている野菜をすべてかき集めてミネストローネに。トマトの風味のミネストローネにたっぷりのチーズをかければ、フランスパンによく合う一品になります。ご飯を加えて雑炊風にしても美味!
ミネストローネのレシピ
材料
・さまざまな野菜
・トマトソース 1缶
・ニンニク 1片
・パルミジャーノチーズ 適量
・コンソメスープの素 適量
・オリーブオイル 大さじ2
・塩・胡椒 適宜
作り方
①野菜を小さめにカットする
②鍋にオリーブオイルとニンニクを入れて加熱する
③野菜を入れて炒める
④トマトソースを入れ、適量の水を投入
⑤コンソメスープの素、塩、胡椒で味をつける
⑥食べる直前にパルミジャーノチーズを振る
子どもがいる場合は、ベーコンを加えても喜ばれます。
コンソメスープを作って保存
イタリアは化学調味料が少なく、自家製コンソメスープを使う家庭が多いです。冷凍しておくと、さまざまな料理に活用できます。
自家製コンソメスープのレシピ
材料
・余っている野菜
作り方
①鍋に水を入れ沸騰させる
②余っている野菜を鍋に入れる
③30分ほど煮出す
④③を漉す
製氷機などに入れて冷凍すると、1人分の料理にも使えて便利。
ソフリットで煮込み料理のベースに
多くのイタリア料理のベースとなるソフリット。にんじん、玉ねぎ、セロリのみじん切りを炒めて、ミートソースや肉の煮込みに使います。
ソフリットのレシピ
材料
・玉ねぎ、にんじん、セロリなどの野菜
・オリーブオイル_大さじ2〜3
・ニンニク 1かけ
・塩 適宜
作り方
①玉ねぎ、ニンジン、セロリ、ニンニクをみじん切りにする(フードプロセッサーを使ってもOK)
②フライパンにたっぷりのオリーブオイルを入れ、温める
③フライパンに①を入れ、弱火で20分ほど炒める
パスタにからめるトマトソースやミートソース、カレーに加えてもコクが出ます。
熟しすぎた果物の活用法

オルティーカという野草のミートソースにトッピングしたブルーベリー
熟れ過ぎてしまったフルーツ、使い道に困ったという人はぜひ参考にしてみてください。
カラフルなマチェドニアに
イタリアではカフェでもよく目にするのが、イタリア風フルーツポンチ「マチェドニア」。作り方はいたって簡単ですが、カラフルなビジュアルも魅力的なおいしいデザートです。
マチェドニアのレシピ
材料
・余った果物
・レモン汁
・砂糖 適宜
作り方
①果物を小さめにカットする
②①をまとめてボウルに入れる
③②にレモン汁と砂糖を加えて冷やす
ヨーグルトと一緒に食べてもおいしいです。
肉料理の隠し味に
伝統的なイタリア料理の中には、肉と果物を組み合わせたレシピがたくさんあります。日本ではカレーにリンゴを加えることがよく知られていますが、こんな組み合わせはいかがでしょうか。
・豚肉とリンゴ
豚肉のローストにリンゴをベースにしたソース
・牛肉とブルーベリー
牛肉のグリルに、パスタのミートソースに、または栗や干しブドウを加えたソースを使いブルーベリーをトッピング
・生ハムとメロン
前菜によく登場する組み合わせです
・肉のカルパッチョに洋梨とゴルゴンゾーラ
洋梨はゴルゴンゾーラとクルミと好相性。肉のカルパッチョのつけあわせにピッタリ
スムージーにしてビタミン摂取
イタリアのカフェでは、季節の果物を使ったスムージーがメニューに含まれています。残ってしまった果物、自宅でもスムージーにすればたっぷりのビタミン摂取が可能に。
ジムで汗を流した後の1杯に最適です。
ライター
cucciola
ヨーロッパの片田舎で家族と3人暮らし。
学生時代に都会の生活で心を病んで以降、スローライフとスローフードで心身の健康を維持。気が向くまま、思いつくまま、風まかせの旅行が多数。
アートと書籍を愛するビブリオフィリアで1人の時間が大好き。