だいこんを丸ごと1本買うのは躊躇してしまう、という人もいるのでは?でも、だいこんは栄養豊富で調理方法もたくさんある野菜!丸ごと1本にチャレンジしてみませんか?今回は、だいこんトリビアをご紹介。1人暮らしでも使いきれる方法やおいしいレシピもご紹介します。
だいこんを深堀りする
だいこんは、その名の通り「根」が大きくなったものです。かぶと似ていますが、かぶは茎と根の間の「胚軸」という部分が大きくなったもの。含まれる栄養も少し異なります。だいこんに含まれる栄養や、知っているようで知らない?だいこんの種類について紹介していきます。
だいこんの栄養のヒミツ
だいこんには、食物繊維・ビタミンC・葉酸・カリウムなどの栄養が含まれています。主に食べられている白い部分以外にも、捨ててしまうにはもったいない栄養がたっぷり。コスパだけでなく、栄養の面からも、だいこんは丸ごと!をおすすめしたい理由がそこにあります。
ビタミンCとカルシウムは皮に豊富
おでんなどの煮物にするときは、皮を厚めにむくとやわらかい仕上がりになります。が、ちょっともったいない気がしますね。だいこんの皮には多くのビタミンC、カルシウムなどが含まれます。表面をよく洗って、きんぴらや浅漬けにして食べましょう。
葉にはβカロテンがたっぷり
近隣に栽培地があると、新鮮な葉付きだいこんが手に入ります。少々かさばりますが、捨てないでください!冬のだいこんの葉は虫食いも少なくおいしい食材です。だいこんの葉にはβカロテンが含まれています。これは脂溶性ですので、油で炒めると吸収されやすくなります。
葉の上部のやわらかい部分は浅漬けやおひたし、下部の茎と葉はみじん切りにしてひき肉やじゃこなどと一緒に炒めてご飯のお供にしてください。作り置きとして活用できます。
ちなみに、形では区別しにくいだいこんとかぶを見分けるには、葉がポイントです。ギザギザはだいこん、なめらかなのがかぶです。
切干しは栄養が凝縮されている
切干しだいこんは、水分が抜けることで生のだいこんに比べてカルシウムが約20倍になるなど、大変栄養があります。調理の際に戻した汁にも栄養素やうまみががたっぷりありますので、ぜひ活用してください。また切干しだいこんは簡単にできるので、自作してみてはいかがでしょうか?水分少なめの練馬だいこんがおすすめです。
- だいこんを長さ7cm、幅3mmくらいにカットする
- 竹製の平かごに並べる
- 通風のよい場所で天日で干す
※晴れの日が続けば約3日ほどで完成です。乾燥した冬場(10℃以下)がおすすめ。夜間は室内の気温が上がらない場所に入れ、キッチンペーパーなどを掛けておいてください。
種類は100種以上
各地で栽培され、流通しているだいこんは100種類以上あります。流通量としては、青首系のF1種が9割以上を占めています。在来・固定種のだいこんはなかなか手に入りにくく、価格も少々高めですが、旅行先などで目にとまったらぜひ味わってみてください。
青首だいこん
青首だいこんは、愛知県清須市で江戸時代から栽培されていた青首系の宮重(みやしげ)大根をもとに交配され、F1種が作られました。病気に強く収穫しやすい種類で、甘みやみずみずしさが人気を呼び、いまでは全国で栽培されています。
聖護院(しょうごいん)だいこん
江戸時代から作られている京の伝統野菜、聖護院だいこんも、宮重大根がルーツとされています。大きなものは直径20cmほどにもなり、かぶのような球形をしています。煮崩れしにくく甘いだいこんで、京料理の煮物やおでん種によく使われます。
三浦だいこん
大正期に在来の高円坊大根と練馬大根を交配させ、三浦大根と命名されました。三浦半島で盛んに生産されていたものの、昭和54年の台風の塩害で壊滅状態に。ほとんどが青首系に置き換わり、現在、三浦だいこんは三浦半島全体の約1%程度の生産です。大きいものは5~8kgになる白首だいこんで、肉質は緻密、煮込むと甘くなり、おでん種として人気があります。
練馬だいこん
練馬だいこんは、江戸時代には沢庵漬けや干し大根として人気が高く、盛んに栽培されていました。戦後、需要の減少からほぼ消滅しましたが、平成になって練馬区の育成事業により復活。沢庵の生産も再開されています。三浦大根に受け継がれた細い白首で中央部が太い形状です。水分は少なめで皮が薄いため、干し大根に向いています。
在来種とは、地域や農家が地域の特性を活かして種を管理し、伝承している野菜のこと。固定種は、種苗会社が種を管理して、特徴を保持している野菜です。そして、F1種は一代雑種ともいわれ、良質の特徴をもつ野菜を掛け合わせた一代限りの品種です。F1種からも採種はできますが、形や味などの良質な特徴は引き継がれません。F1種が在来種を縮小させる悪者のようにもみえますが、F1種の開発がなければ農業人口が減ることとなり、国産の新鮮な野菜が食べられなくなっていたかもしれません。在来種を守るには、農家の努力だけではなく、地域や消費者の意識も大切。付加価値が上がれば持続できる可能性は広がります。ぜひ、在来野菜を食べてみてください!
お腹いっぱい!だいこんレシピ
だいこんは煮たり焼いたり、何でもござれ。鍋・サラダ・漬物など、いろいろな料理に使えます。調理法を変えて食感や味しみを楽しんでください。切干しだいこんもあわせて、冬に向けておいしくなるだいこんのレシピを紹介します。
ゴロゴロ豚バラだいこん煮
最強コンビの味しみがうれしいレシピです。豚バラもだいこんも厚切りにしてじっくり料理してください。翌日も食べられますので、たくさん作ってみましょう。
材料(3人分)
- だいこん 大1/3
- 豚バラ肉 500g
- しいたけ 6個
- ねぎ(白髪ねぎ用) 1/4本
- にんにく 1片
- 輪切り唐辛子 1つまみ
- 米(下茹で用)小さじ1
- だし(昆布・かつお) 1500ml
- しょうゆ 150ml
- 酒 100ml
- みりん 50ml
- 砂糖 小さじ2
- 塩 小さじ1/2
つくり方
- 豚バラ肉を3cm幅に切り、フォークで穴をあけ、砂糖小さじ1と塩をすり込む
- だいこんは3cm幅の半月切りに、しいたけは傘に切り込みを入れる
- 鍋にだいこんと米を入れ、水から下茹でをする
- 別の鍋にあぶら身を下にして肉を入れ、弱火で焼く(油は不要)。肉から油が出てきたらスライスしたにんにく・唐辛子・しいたけを入れて焼く
- キッチンペーパーで油をとりながら肉を焼き、全面に焼き色がついたら酒・みりんを入れ、強火でアルコールをとばす
- だいこんの下茹で(くしが通るくらい)ができたら、肉の鍋に移し、温めておいただしをつかるくらいまで入れる
- 弱火で煮ながら、キッチンペーパーで時々浮いた油をとる
- 20分煮たら、しょうゆを入れさらに30分程度煮る。甘みを見て砂糖を足し、だいこんに色がついたら火を止め30分冷ます
- 浮いた油をとり、温めなおして盛り付け、白髪ねぎをかけてできあがり
だしは多めに準備しておき、火にかけている間に煮汁が少なくなったら少しずつ足してください。
さっぱりだいこんマリネ
最初にサラダ、もいいですが、冬は温まるものから食べたいですよね。お腹が温まったところで、箸やすめにさっぱりマリネはいかがでしょうか?マリネといっても塩もみしてレモンを絞るだけ、簡単です。
材料(3人分)
- だいこん 大1/4
- 瀬戸内グリーンレモン 1/2個
- オリーブオイル 小さじ1
- 塩 小さじ1/2
- 黒コショウ 一つまみ
つくり方
- だいこんをスライスして、軽く塩もみしたら30分程おいておく
- レモンを2〜3枚3mm幅にスライスして、小さめのいちょう切りにする
- だいこんの水を切ってレモンと和え、残りのレモンを搾る
- 軽く混ぜ合わせ皿に盛る
- オリーブオイルと黒コショウをかけたら完成
青首だいこんは生でもおいしいですが、その場合はせん切りやスライスにすると食べやすくなります。塩もみして水分を出すと味ののりがよくなりますよ。香りのよいオリーブオイルとよくあいます。
ジューシー切干しだいこん巾着鍋
油揚げにいろいろ詰めて巾着鍋をつくってみませんか?切干しだいこんをいれるとボリュームアップ&だしを吸ってジューシーになりますよ。
材料(2人分)
- 切干しだいこん 30g
- 切干だいこんの戻し汁 400ml
- 鶏むね肉ひき肉 150g
- まいたけ 中1パック
- 油揚げ 3枚
- たまご 2個
- にら 1/2把
- 長ネギ 1/3本
- ミニトマト 4個
- チェダーチーズ 15g
- (だし用)昆布 1枚
- (だし用)かつおだし顆粒 小さじ1
- 料理酒 大さじ2
- みりん 大さじ1
- 塩 小さじ1/2
- こしょう 一つまみ
- だいこん(おろし用)適量
- ラー油 お好みで
つくり方
- 切干しだいこんをかるく水洗いし、約10分水で戻す
※戻し汁は捨てずにだしに使います - 切干しだいこんの水気を絞り、約1.5cmに切っておく
- 切干しだいこんの戻し汁に計1.5Lになるように水を足し、昆布とかつお顆粒でだしをつくる(約60℃にて20分)
- 昆布だしに酒・みりん・かつおだしを加えていったん沸騰させる
- 油揚げを油抜きして、1/2に切り、詰められるように開いておく
※あらかじめ、めん棒などで油揚げをのしておくと開けやすくなります - フライパンに油をひき、鶏ひき肉を焼く (細かくほぐさずにごろっとする感じで)
- ひき肉に焼き色がついたら、みじん切りにしたにらを炒めあわせる
- 切干しだいこん・にら・炒めたひき肉・ラー油(お好みで)を軽く混ぜあわせる
- そのほかの具材、チェダーチーズ・トマト・まいたけ・ねぎなどをお好みであわせる
- 具材を巾着に詰める
- 爪楊枝で巾着を閉じて、巾着に入らなかった具材と一緒にだしで煮る
- 「ごほうび」に卵入り巾着もおすすめ。ラー油おろしポン酢をのせてどうぞ!
卵はどれに入れたか覚えておき、5〜7分くらい煮たらあげてください。少し半熟くらいがおいしいですよ。ラー油をのせただいこんおろしに、しょう油ポン酢を染ませて巾着にあわせると絶妙です。熱いので別皿にとり少し冷ましてからお召し上がりください。
カンタンだいこんしゃぶしゃぶ
忙しいときやキャンプなどには簡単な鍋料理がおすすめです。だいこんや切干しだいこんを使えば下処理が楽ですよ。ぜひ、たくさん食べて温まってください。
材料(3人分)
- だいこん 大1/4
- 切干しだいこん 50g
- 切干しだいこん戻し汁 500ml
- えのきだけ 1把
- ねぎ 1本
- せり 1把
- 絹ごし豆腐 1丁
- だし(昆布・かつお顆粒だし)
- しょう油ポン酢 またはごまだれ
つくり方
※切干しだいこんの戻し方とだしの取り方は、「切干しだいこん巾着鍋」レシピを参照してください。
- だいこんをスライサーでスライスする
- 切干しだいこんを水でもどし、5cm幅に切っておく
- ほかの具材を食べやすいサイズに切ってだし汁で煮れば完成!
お好みでポン酢やごまだれにつけていただきましょう。
切干しだいこんのもどし水は風味のよいだしになります。ここだけの話、筆者はひとり冬キャンプのときなど、切干しだいこんと豚肉だけの鍋をつくったりします。残ったスープでうどんやラーメン・・・手抜きですが、あたたまって食物繊維もとれ、結構おいしいですよ。
大きな葉付きだいこんを丸ごと1本買うときは、まず「いろいろ作るぞー!」という心構えをしましょう。最初は作り置きに、浅漬け・皮のキンピラ・葉の炒めものなどから料理するとよいでしょう。次に2〜3日で食べきる量の煮物など、そしてすぐに食べるサラダや鍋、というように、うまく段取りするのがポイントです。飽きずにおいしくいただけますよ。捨てるところのないだいこんで、冬の食卓を充実させてくださいね。
ライター
Maita
アウトドア大好きなフリーランスのフードコーディネーター(FCAJ認定/1級)&Webデザイナー。こだわって作った『つくりおき料理』で楽しいキャンプ飯を考案。また、日本各地の固定種・在来種の食材を使った料理を手掛け、地域の食文化の継承を模索している。一人でも家族でも仲間でも楽しめる、そして地球にやさしいレシピを提案していく。