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はじめまして。山羊男(ヤギオトコ)です。私はコロナ禍に家族3人(私、妻、当時9歳の息子)で東京から山梨に移住して、田舎生活をスタートさせた43歳です。自給自足的な田舎暮らしをしたいと思い、DIY経験ゼロから少しずつ実践しています。移住に興味がある人、自給自足を目指したい人の参考になれば幸いです。

脱サラして、東京からの移住を決意するまで

DIY素人が田舎生活

東京で生活していたとき、私はWEBディレクターとして長年会社勤めをしていました。東京郊外のマンションから、満員電車に揺られて日々職場に通い、業界柄なのか遅い時間まで仕事をしたり、ときには仕事の付き合いで、遅くまで酒を飲んで帰ったりと、よくあるサラリーマン生活を送っていました。

そんな日々の中、あの新型コロナウイルスの影響で、私も世間と同じように在宅勤務を余儀なくされます。これまでの常識が、常識ではなかったのだと思い知らされました。満員電車も、仕事の飲み会も、平日に息子と顔を合わせる時間がないことも、当たり前じゃないのだと。

それまで4年ほどファミリーキャンプを趣味として、月に1〜2回くらい山梨をはじめ、長野・岐阜・群馬・栃木・埼玉・千葉など、関東近郊のキャンプ場を訪れていました。私と妻は、ことあるごとに「いずれはこんな田舎でのんびり暮らしたいね」と話していたのですが、コロナ禍の衝撃で、一気に移住へと気持ちが傾きました。

なぜ「山を買う」ことを決めたのか

移住を考え、最終的に行き着いたひとつの答えは「山を買う」でした。オンラインで仕事をすれば、生活をガラッと見直すことができる。これまでの常識はもう通用しない。そんなことから、連想ゲームのようにいろいろ考えはじめたのです。
山を買うなんて、唐突のように思われるかもしれませんが、当時は次のようなことを考えていました。

・オンラインでも仕事はできる。
・キャンプ場を作りたいと前から思っていたけどなんとかできないか?
・収入は減るだろうが、その分生活コストをさげればいい。
・自給自足的なことが少しでも実践できればいいのでは?

さらに妄想はふくらみます。「会員制のキャンプ場にして、少しずつ手作りしながらブッシュクラフト好きな玄人キャンパーさんを受け入れる形であればできるのでは?」と。挙句の果てには、こんな風に考えていました。

・やればなんとかなる。死ぬことはないだろう。
・お金のためではなく、幸せのために生きたい。

この程度の考えで「山を買おう!」と決めてしまったので、今思えば計画性なんてまったくありません。恐ろしいほどの猪突猛進です。そして、妻に相談すると、なんと!すんなり受け入れてくれたのです。

山を買うのであれば、移住するなら、向かうべき場所に迷いはありません。
それは…

「山梨県北杜市」です。

山梨県の最北部に位置し、長野県とも隣接したこの地には、好きなキャンプ場があり、これまで何度も年越しキャンプなどで来ていた場所でした。来るたびにその土地の魅力に惹かれ、「いつか住むなら北杜市がいいね」と夫婦で話をしていたのです。

2020年、8月の出来事です。

サラリーマンが移住に向けて、ついに山を買う

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山を買うために北杜市の山林物件を扱う不動産にアポを取り、いざ物件の内見へ。北杜市に向かった我々は、その日のうちに5件の物件をまわりました。そして、事前にネットで調べて目星をつけていた一番良さそうと思っていた物件に、なんとその日のうちに気持ちを固めてしまいました

これだと思ったら我が家は判断がとても早いのです。

後日、正式に契約をして、測量のあとに引き渡しされることになりました。
山を買うと決めてから、1か月後、2020年9月のことです。

引き渡しを待つ間に、私は会社に退職の意志を伝えます。かねてから社員それぞれが独立した道を歩むことを推奨していた社長も快諾してくださり、私の新しい挑戦を応援してくれることに。

実際の退職は同年度末になり、それまでの約半年間は仕事の引き継ぎをしながら、有給消化したり、山でオンラインで仕事ができる環境を整えてくれたりと、サポートしていただきました。
ものすごい配慮をしていただき、大変ありがたく思います。

経験ゼロからのDIY生活がはじまる

さて、こうして山を買い、移住するためのステップを踏み出した私は、東京と山梨を行き来しながら、土地の引き渡しを経て、山の開拓をはじめることになります。広さは約1,000坪程度。林道から坂道をあがった先の雑木林で、傾斜もある土地です。

ここから私のDIYライフが始まります。
DIYというものは、これまでほぼやったことがありません。
所持している電動工具は、以前、家具を組み立てる際にIKEAで購入した電動ドライバーひとつだけ。とても安いものでした。

山を開拓する場合は、坂道を整備したり、平地を作ったり、スコップ、ユンボなどが登場したりと、大変な作業なのですが、ここではその話は割愛させていただきます(いずれ機会があれば、別途その話もさせていただきたいと思います)。
今回は資材を使い、工具を使ってモノを作るDIYにフォーカスをあてて、ご紹介したいと思います。

最初に作ったのは、コンポストトイレ

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まず作ったものは、コンポストトイレでした。

コンポストトイレとは?

自然に存在する微生物の力を利用して、し尿を分解するトイレのこと。

インフラが何も無い山で、何よりも困るのはトイレです。
コンポストトイレを作るといっても、すべて自作するわけではなく、便座・排泄物を撹拌するパーツは既製品を購入し、これらを使って、トイレとして利用するための枠組みを作りました。

ホームセンターで購入した資材を組み合わせて、一部の木材はノコギリでカット。もともと自身で持っていたIKEAの電動ドライバーでビス止め。なんとか完成しました。一番の難所は、便座をおさめるために木材を円形にくり抜かなければならないところ。ここで初めて電動工具を購入します。

購入したのは「ジグソー」と呼ばれる、ノコギリ状の刃を上下振動させて木材をカットする工具です。

ジグソーとは?

刃を上下に動かすことで、木材などを切断する電動工具のこと。直線だけでなく、曲線状にも切断できる。

ところが、このコンポストトイレを作る工程をYouTubeで紹介したところ、ジグソーの使い方が違うと視聴者の方から指摘されました。本来は自身とは反対側になるように刃を取り付けて、奥に押すように切っていくのですが、刃を自分のほうに向けて取り付け、手前に引くように切っていました。それほどまでにド素人だったのです。

これも山を買ったタイミングで、InstagramやYouTubeなどをはじめていたから、気づけたこと。会員制キャンプ場をつくってサービス業をするのだから、SNSで集客しなくてはと思った行動が功を奏したようです。

トイレの次は、郵便ポスト、そして薪棚と、少しずつDIYしていきます。キャンプ場の会員になってくださった方から、より高性能な電動ドライバーと、電動丸ノコを頂いたこともあり、少しずつ、着実にDIYスキルが向上していきます。

2020年10月に土地の引き渡しが終わってから、翌2021年7月くらいまでの出来事です。

住まいをどうするか検討しつつ、まずは小屋を建てる

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さて、ここからはまた別の土地の話。時は少しだけ遡り、2020年10月に戻ります。

住むための家探し

住まいをどうするか考えていた我が家は、中古物件を探しはじめます。雰囲気のある古民家などがあればと思っていたのですが、なかなかそのような物件はなく、あるのは廃れた別荘ばかり。

いくつか物件をみて、中古物件はあまり良い「気」がないと感じた我々は、会員制キャンプ場の土地とは別に、土地を購入してそこに新居を構えようと考えました。そうして、改めて山林物件を探し、購入することになります。

当然、新居を構えるとなると時間がかかります。そのため、まずは賃貸アパートを契約して、最長2年間と決めて、その間に準備することにしました。ところが、賃貸アパートに適した金額・広さの物件があまりなく、同じ北杜市内の隣町に借りることになりました。

会員制キャンプ場の土地と、これから住まいを新たに用意する土地は、同じ町内で比較的近いのですが、2年間の暫定で借りた賃貸アパートは車で20分程度かかる隣町です。

家づくりの前に、まず拠点となる小屋をつくることに

住まい用の土地を購入した時点では、まだこの土地でどのような新居を構えるのか、具体的なプランはありませんでした。

アウトドア系のハウスメーカーを訪れ、シンプルに家を建ててもらうことを検討したものの、高額過ぎて諦めたり。トレーラーハウスに住むことを本気で考えて、トレーラーハウスを販売している業者数件に見積もりを依頼をし、実際に運び込めるか検討したり。

そんな検討をしている間に時は流れ、2021年8月。まずは、この住まいとなる土地に、小屋を建てることにしました。
そのとき住んでいた賃貸アパートから、毎日のように車で20分かけて移動する先がただの山では、家族みんなの疲労も大変なもので、拠点となる場所を必要としていたのです。

DIY素人が、2✕4工法で小屋を建てる

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小屋の建て方は、YouTubeや本で勉強しました。いろいろなパターンの小屋の建て方をみて、自分にあったサイズや作り方を選び、そこに自分なりのアレンジを加えて、いくつかの情報を組み合わせます。

最終的には、「2✕4工法(ツーバイフォー工法)」と呼ばれる、床や壁を面で支えて強度を出す方法に決めました。比較的、初心者向けと言えそうな工法を選び、見よう見まねで小屋のDIYをはじめたのです。

基礎、土台、床面、壁面、屋根、と作業を進めていきます。北杜市に位置するその土地は、山の裾野にあり、標高が800メートル程の場所のため、冬はとても寒い場所です。寒冷地用に、断熱材をしっかり入れました。

作る過程も少しずつYouTubeにアップしたところ、今度は丸ノコの正しい使い方を視聴者さんから教えていただきました。

丸ノコとは?

円型の刃を電動モーターで回転させて、材料を切断する工具のこと。直線切りの場合、ジグソーよりも早く切断できる。

この頃を振り返ると、素人全開で作業をしていました。たとえば、木材をカットするのにガイドを使うことを知らないため、真っ直ぐカットできず徐々にズレが大きくなっていったり、自身が使っている電動ドリルをインパクトドライバーだと思いこんでいて、作業効率が非常に悪かったり。また、台風の季節に差し掛かり、大雨や強風で作りかけの小屋を守るのに大変苦労しました。

苦労は多かったですが、床面ができたとき、壁ができたときはもちろん、屋根がかかり、扉がついたときも、少しずつ小屋が完成していく過程に、都度感動を覚えながら作っていました。もとが「野」な状態だったので、水平な床があるだけで、とても安心するのです。

こうして小屋がほぼできた頃に、今後の住まいとなる家のプランも固まっていきます。
行き着いたのは、「ハーフビルド」という選択肢でした。

素人DIYの延長、自宅ハーフビルド

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これまでの作業で、素人DIYながら小屋を作ることができた私は、自信をつけていました。
気持ちとしては、家もセルフビルドしていいのでは?と思うほどで、実際にセルフビルドの本を買って勉強もしていました。

ただ、妻はさすがにセルフビルドには抵抗があったようです。
「小屋ならいいけど、自分たちが住む家もセルフビルドするのは怖い」と。
妻の意見も尊重しつつ、なんとか自分たちで建てられる方法がないかと考えた私は、「ハーフビルド」という建て方があることを知りました。

ハーフビルドとは?

基礎・構造体・屋根・水回りの配管・電気まわりなどを専門の方にお願いして、そこから先は自分で作る方法のこと。

ハーフビルドでどこまでの作業を業者にお願いするか、明確な線引があるわけではないと思いますが、私はできるだけ費用をおさえたかったので、市役所への申請などは自分で行い、北杜市内で、ハーフビルドを受けてくださる工務店を探して相談することに。

過去に何例かハーフビルドを請け負ったことがある工務店さんでしたが、思った以上に負担が大きく、割に合わないため「もう引き受けるのはやめよう」と思っていたようでした。なぜなら、わからないことへの質問が多すぎたり、予定通りに進まなかったり(水回りや電気周りなど連携しなければならないこともあります)、最後までやりきれなかったりと、いろいろ問題も多いからだと。

そこで、私が作ったほぼ完成に近い小屋を見てもらい、「ここまでできるのであれば大丈夫そう」と思っていただけたことで、引き受けてくれることになりました。

伝統工法で家づくりをはじめる

ちょうどその頃、世界的に広がった新型コロナウイルスの影響でウッドショックが起こり、工務店さんが得意としていた2✕4工法」に必要な外来材や合板などが、大幅に値上がりしていました。

これまでは外来材よりも国産材のほうが高く、費用の安さと工法の手軽さもあって、2✕4工法が人気でした。ところが工務店さん曰く、「国産材と外来材で金額がほとんど変わらないのであれば、2✕4工法にこだわる必要はない」というアドバイスをもらいました。

そんな折、その工務店さんが、伝統工法の家を数多く手掛けていた大工さんと出会います。工務店さんとしては、伝統工法を学びたかったらしく、大工さんをご紹介いただき、伝統工法で家づくりをすることになりました。

伝統工法の家造りとは、金物を使わず、継ぎ手などで組み上げる昔ながらの工法です。実際は補助的にビス打ちはするのですが、この工法は地震に強いといわれています。万が一、地震が起きた際には、金物で固定されていないことで、木の変形などによって揺れを吸収する効果が見込めるようです。

こうして、基礎工事、建前などが終わり、私が実際に家づくりに取り掛かったのは、2022年の6月頃です。
わからないことは大工さんに教えてもらいながら、1階の床・壁、煙突、2階の床、階段、キッチン、トイレ、シャワールームなどを作っていきました。

SNSがきっかけで意外な出会いが。ようやく住める家に

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ここで、もう一人大事な人に出会い、助けてもらったことにも触れておきたいと思います。東京の建築屋さんで、見るからに「土建屋さん!」という風貌の方です。私の会員制キャンプ場のすぐ近くで、キャンプ場を開拓しようとされていて、YouTubeやInstagramで私のことを知り連絡をくれて仲良くなりました

家を建てる際にも、普通に買ったら結構なお値段がする、内装工事に必要ないろいろな工具を無償で貸してくださいました。内装面では、本当にこの方に多くのことを教えていただきました。

こうして、いろいろな方の助けを借りながら、まだ完成してはいないものの、住めるようになった家に引っ越しました。2022年12月の末のことです。

暮らしとともに進化する家。これからも自分の手でアップデートをつづける

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自分たちで建てた家に引っ越してから、1年以上が経過しました。その間、未完成だった箇所を少しずつ仕上げていますが、未だに完成はしていません。

外壁、内壁、ウッドデッキ、窓枠、キッチン収納、土間のタイル貼りなど、少しずつ着実に家をアップデートしながら、並行して家庭菜園をやったり、ニワトリ小屋やヤギ小屋を作って、ニワトリ5羽、ヤギ1頭を飼ったりと、、少しずつ自給自足的な生活をしています。

私には、この家を建てるにあたって、理想としていた暮らしのイメージがありました。それは「小さく建てて大きく暮らす」です。素人が自分で建てられる規模としては、これが限界でした。とてもコンパクトな家です。

でも我が家には十分すぎるほどのサイズで、あとはデッキを広げたり、サンルームにしたり、別の小屋を作ってつなげたり、もしかしたらツリーハウスなんかも作ったり、どこまでもいつまでも拡張できます

細部を見れば不格好ですが、そのすべてを「味」として、トラブルがあれば自分で直し、不便があれば改良すればいい、生きた家です。完成はしなくていいのです。日々の暮らしをエンタメにして、家族と一緒に進化していく暮らしの空間であってほしいと思っています。

移住も自給自足も夢じゃない。思い立ったらまずやってみる

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私が思い立って山を買い、移住しようと決めたとき、DIYをすることはイメージしていませんでした。ましてや自分が住む家を、ハーフビルドとはいえ作ることになるとは夢にも思っていなかったのです。

思い返せば、やったことがないことでも、とりあえずやりはじめたことですべてが動き出しました。実際に行動することで、人との関わりのなかで自然と物事が前に進み、自分の想像しない世界がどんどん広がっていきました

最初はコンポストトイレの箱を作り、郵便ポスト、薪棚、小屋、そして家。やってみて、失敗して、少しずつDIYレベルをあげていくことで、作れるモノの規模は着実にスケールアップしていきます。

DIY素人向けのガイド本や、YouTubeなどいろいろな情報がありますが、正直そのような情報を順序立てて、丁寧に見たことはありませんでした。自分が作りたいものをイメージして、図案や絵を書き、実現するために必要な情報をかき集めて、やってみた結果です。

夢を叶えるために、とにかくまずやってみること、行動することをおすすめします。

今回、事の始まりからかいつまんで移住の経緯をまとめてみましたが、それぞれの出来事について、もっともっと深く話せることがいっぱいあります。機会があれば、今後ひとつずつ記事にしていければと思います。また、私のやり方については、一部おすすめできないところもあります。電動工具などは正しく使用しないと怪我をしかねないので、使い方を確認していただき、うまく活用していただければと思います。

ライター

山羊男(ヤギオトコ)

東京でネット業界のディレクターを15年ほど勤めた後、コロナ禍の2020年に39歳で山梨県北杜市へ移住。妻と当時小学4年生の息子と家族3人で、会員制キャンプ場を手作りしながら田舎暮らしをはじめる。完全に素人からのスタートで、小屋作りや家作りなどDIYしながら、自給自足的かつ健康的な生活を目指して、日々実践中。現在は会員制キャンプ場のほかに、オートサイトキャンプ場管理人、オーガニック食品などを扱う小売事業、ネット関連事業を展開。