夏山での防寒装備の必要性
標高が高い山に登るときほど、登山口と山頂の気温差は大きくなります。歩きはじめは暑かったのに、山頂付近で寒くなることも。標高が100m上がると、気温は0.6度下がるからです。
また、風速1m/sにつき体感温度が1度下がるので、風が強くなる稜線では、凍えるような寒さになることもあります。「夏山なのに、思ったより寒かった!」ということにならないためにも、防寒装備は必ず用意しておきましょう。
防寒に大切なレイヤリング!4つの役割
登山でのレイヤリングとは、重ね着することを意味します。レイヤリングの役割は、体温を低下させないことです。防寒というと上着だけに思われますが、登山では下着から考える必要があります。レイヤリングの基本的なアイテムとして、4つ挙げてみましょう。
- ドライメッシュインナー
- ベースレイヤー
- ミドルレイヤー
- アウターレイヤー
重ね着するそれぞれのアイテムの役割を知っていれば、気候の変化に合わせて、温度調節がスムーズにできます。上記4つのアイテムの役割をご紹介しますね。
①汗冷えを防ぐ「ドライメッシュインナー」
肌に直接触れるアイテムには、ドライメッシュ素材のものを選びます。汗を素早く吸い上げ、肌を濡らさないようにするためです。汗が肌に残ったままだと、体温が奪われて汗冷えの原因になります。
汗冷えは、体力の消耗や低体温症のリスクにつながるのが問題。吸い上げた汗を拡散できるように、ドライメッシュの上には速乾性のあるTシャツを着ましょう。
➁蒸れを防ぐ「ベースレイヤー」
ベースレイヤーは、ドライメッシュで吸い上げた汗を拡散する役割があります。夏は半袖を着ることが多いですが、登る山によっては長袖のベースレイヤーがおすすめです。腕の汗を吸い、ケガの予防にもなりますよ。
ただし、ベースレイヤーの着心地や機能は、素材によって変わります。場所や天候に合わせて選びましょう。下記の記事で詳しくまとめているので、参考にしてくださいね。
「夏の山登りの服装で大切なベースレイヤーの選び方とおすすめについて徹底解説!」
③体を保温する「ミドルレイヤー」
ミドルレイヤーには、汗の発散と保温の2つの役割があります。夏は高山の山頂付近で休憩や散策するときに、保温着として役立ちますよ。種類が多いので、それぞれの特徴を知ってから選ぶのがおすすめです。登る山の気温や風の強さを事前にチェックし、その都度合うものを選びましょう。
ミドルレイヤーとして役立つアイテムを挙げてみます。
長袖シャツ
長袖シャツは、軽くて温度調節がしやすいアイテムです。夏でも行動着とすれば、日焼けやケガの防止になります。
汗をかいてもよいように、速乾性のあるポリエステルやウール素材のものを選びましょう。コットン素材は汗で濡れると乾きにくく、汗冷えしやすいので避けてくださいね。保温性はフリースなどには劣りますが、夏の高山では肌寒いときに羽織れるので便利です。
フリース
フリースは1年を通してつかえるアイテムです。また、動きやすく、保温性・速乾性に優れています。夏山では薄手のフリースがおすすめ。山頂で休憩するときや、少し寒いときはアウターとして活躍します。
ダウンジャケット
軽くて保温性の高いダウンジャケットは、保温着として使用します。水に濡れると保温性が下がり、なかなか乾かないので、行動着としては不向きです。高山での休憩やテント泊・小屋泊のときにあるとよいでしょう。コンパクトに収納できるので、持ち運びも便利ですよ。
化繊インサレーション
インサレーションとは、保温力のある防寒着のことです。化繊のものは通気性・保温性があり、水に強いので、行動着または保温着としても使用できます。夏のアルプス縦走などの山行に活躍するでしょう。
④雨風を防ぐ「アウターレイヤー」
夏山でのアウターは、薄手のシェルとレインウェアがあると便利です。それぞれの役割を確認してみましょう。
ウィンドシェル
登山中、標高が高くなり肌寒くなったときや、稜線で風が強いときに行動着になります。保温性はありませんが、汗をかく行動中の防寒にはピッタリです。軽量でコンパクトにたためるので、1枚持っておくとよいでしょう。
レインウェア
天気が変わりやすい夏山では、レインウェアは必需品です。雨が降っていなくても、防寒用のアウターとしてつかえます。下記の記事で詳しく紹介しているので参考にしてくださいね!
「登山用レインウェアの選び方とおすすめレインウェア紹介」
「登山必須アイテムといえばレインウェア!持っていると便利なおすすめレインウエアをご紹介」
夏山登山でのレイヤリングの仕方
登る山を決めたら、「てんきとくらす」や登山のお天気アプリなどで、天気・気温・風速を確認します。標高や天候によってレイヤリングを決めましょう。
低山の場合
夏の低山は気温が高いので、人によってはドライメッシュのアイテムが暑く感じられることがあります。風を肌に感じにくいからです。ドライメッシュを省いて直接Tシャツを着る場合は、替えのTシャツを持っていきましょう。
山によっては半袖・短パンでもよいですが、アームカバーやスパッツを合わせて、肌の露出はなるべく避けるのが得策。長袖を着る場合は、冷感素材もおすすめです。
基本的にミドルレイヤーは必要ありませんが、なにかあったときのために持参するのも方法です。アウターはレインウェアをつかいます。
高山の場合
高山に登る場合は、なるべくドライメッシュを着ることをおすすめします。登山に慣れていない方は、長袖に薄い長ズボンがよいでしょう。ミドルレイヤーにはフリースかダウンを選び、アウターとしてレインウエアを用意しておきます。
高山は場所によって気温差があり、寒さの感じ方に個人差もあります。そのため、レイヤリングの仕方も人それぞれです。登山経験を積み、自分に合ったレイヤリングの仕方を見つけましょう。下記の記事も参考にしてみてくださいね。
「初心者にも人気の夏登山!夏登山におすすめな服装とアイテムは?」
「夏登山の服装とは?夏登山では2つの気候変化に備えよう」
ライター
yuki
幼少期からキャンプや釣り、スキーなどを楽しむアウトドアファミリーで育つ。10代後半は1人旅にハマりヨーロッパや北米を中心としたトラベラー期となる。現在もスキー、スノーボード、ダイビングなど海や山で活動中。「愛する登山」は低山から厳冬期の雪山まで季節問わず楽しむhike&snowrideなスタイル。お気に入りの山は立山連峰!Greenfield登山部/部長の任命を受け部活動と執筆活動に奮闘中。