自転車乗りの天国・マヨルカ島
スペイン本土東側の地中海に浮かぶ4つの島はバレアレス諸島と呼ばれ、その中で最大の面積を持つのがマヨルカ島です。
一年を通して気候が温暖なマヨルカ島は、ヨーロッパ有数のリゾート地。
そして、この島を訪れる観光客に、もっとも人気のあるアクティビティの1つがサイクリングです。
この島にある多くのリゾートホテルは、サイクリストのための自転車用ガレージを設置していたり、自転車の修理用品を自由に使える施設を持っていたりするところがほとんど。
また、マヨルカ島のリゾートホテルが並ぶエリアにはレンタサイクルの店が複数あるため、わざわざ自分の自転車を持ってこなくても、現地ですぐに自転車をレンタルできるようにもなっています。
このように、理想的な気候を持ち多くの人にサイクリングが親しまれているこの場所で、プロの自転車チームがシーズン前にチーム合宿を行うのは、自然な流れと言えるでしょう。
こうしたマヨルカ島やアリカンテで合宿を行うプロの自転車チームが参加するのが、通称『チャレンジ・マヨルカ』と呼ばれている、5日間連続で開催されるレースです。
マヨルカ島にある山や平地、そして風などをフルに活用したコースレイアウトが、この『チャレンジ・マヨルカ』のレースの特徴となっています。
毎年1月の最終週に開催され、ヨーロッパでの自転車ロードレースシーズンの開幕を告げるこのレース。
今年は、日本人の石原悠希選手と小山智也選手が出走しました。
ちなみに、このチャレンジ・マヨルカは5日間のレースですが、5日間のステージレースではなく、1日で終わるレースが5日間続きます。
そのため、各チームは毎日出走選手を変更することも可能ですし、その日のレースを途中でリタイアした選手でも翌日のレースをまた走ることもできます。
島の西側がレースの舞台
今年のチャレンジ・マヨルカの主な舞台となったのは、マヨルカ島の西側でした。
マヨルカ島の西側には、セッラ・デ・トラムンターニャと呼ばれる、山岳地域が連なっています。
反対に、マヨルカ島の東側は、比較的地形が平坦な地域。
そのため、マヨルカ島の西側を主に走る今年のチャレンジ・マヨルカでは、5日間のレースの内、上りが得意なクライマー向きのコースが2日ある一方で、平坦な道を得意とするスプリンター向きのレースが3日ありました。
しかし、スプリンター向きのレースと言っても、全く上りのないコースというのは、『チャレンジ・マヨルカ』を始めとするスペインのレースではありえません。
スプリンターがマヨルカのレースで勝つためには、山も登ることができるだけの脚力を持っていることが必要条件となります。
そして、今年の『チャレンジ・マヨルカ』の目玉レースとなったのが、4日目のトロフェオ・ポリェンサ・ポート・アンドラチュのレースでした。
マヨルカ島の西側の山岳地帯をほぼ縦走する形でコースが設定され、選手たちはこの日だけでトータル3,000m以上も坂を上ることになりました。
この目玉レースで勝利したのは、今年限りで現役引退を表明しているアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)。
スペイン人スター選手の久しぶりの勝利に、ゴール前では観客から大きな拍手が送られました。
出走した日本人2選手の感想は
今回、『チャレンジ・マヨルカ』に出走した石原悠希選手と小山智也選手は、スペインを主な活動拠点とするUCIコンチネンタルチーム「ジャバ・キウィ・アトランティコ」に今年移籍したばかり。
スプリンター向きのレースとなった、初日のトロフェオ・カルビア(154km)、3日目のトロフェオ・セッラ・デ・トラモントゥニャ(159km)、最終日のトロフェオ・プラヤ・デ・パルマ・パルマ(169km)の3つのレースに、2選手とも出走しました。
比較的山が少なめとなったはずのこの3日間のレースでしたが、小山選手は「スペインに平坦なレースってあるんですか?」とチーム関係者に思わず質問するほど、上りが多いことに驚いた様子でした。
一方、石原選手も上りの多さに苦労するものの、最終日のスプリントステージではゴール前1kmまでメイン集団の中で走るなど、徐々にヨーロッパでのレースに適応している様子でした。
ライター
Greenfield編集部
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