自然を楽しむだけでなく、農漁業体験や、地域の人との交流も楽しめるグリーンツーリズム。この記事では、グリーンツーリズムとは何かを具体的に解説し、実際に自治体が提供しているプログラムの事例を紹介しています。

グリーンツーリズムとは

グリーンツーリズム

グリーンツーリズムとは農山漁村で休暇を過ごしながら、農漁業体験をしたり、自然や人々との交流を楽しむことです。

滞在の形は、日帰りから長期滞在、さらには一定期間自宅と滞在先を往復するという形までさまざま。

都市住民は日頃の生活では得られない経験や自然と触れあう機会を得られ、地方都市にとっても経済的な活性に役立つためWIN-WINの関係が成立します。

ヨーロッパでは1970年代頃から休暇を農村で過ごす人が多くいました。それが観光へと発展したものがグリーンツーリズムです。日本国内でも1994年頃から発展してきています。

都市住民の自然に囲まれた田舎への憧れを叶えるものとして人気を集めており、現在では、子どもの体験学習や企業研修にも使われるようになりました。

 

グリーンツーリズムに参加すると実際に何ができるの!?

グリーンツーリズム

おもに都市住民を対象に田舎で自然を満喫できるグリーンツーリズム。実際に参加するとどんな体験ができるか、くわしくみていきましょう。

グリーンツーリズムのプログラムは体験プログラムと食を楽しむプログラムの大きく2つに分けられます。また、ひとつのプログラムに体験と食の両方を組みあわせたものもあります。

体験プログラム 食プログラム
・山菜採り
・田植え
・野菜の収穫体験
・鮎釣り
・養殖場の見学
・山野草の観察
・トレッキング
・郷土料理作り体験
・蕎麦打ちなど調理法の伝授
・特産品の購入(直売所など)

「里の物語」というwebサイトには、多くのグリーンツーリズム情報が掲載されています。自分にあったプログラムをチェックしてみましょう!

里の物語

日本のグリーンツーリズムの課題 

グリーンツーリズム

日本では四季の変化にあわせて「旬」を楽しめるため、日本ならではのグリーンツーリズムが海外からも注目を集めています。

いっぽうで、日本のグリーンツーリズムの課題としてインバウンドへの対応が挙げられているのも事実です。具体的には、以下のような課題があるといわれています。

グリーンツーリズムの課題①宗教やベジタリアン等の食事制限への対応

世界には他宗教の国も多くあります。日本では、宗教や主義で食事制限をしている人が世界と比べると少ないため、そうした人への食事の対応が遅れています。

東京オリンピックに向け、都心を中心にベジタリアンやヴィーガンの人に対応した飲食店が増えてきた背景があります。

しかしグリーンツーリズムが開催されるような地方都市では、まだまだ対応がじゅうぶんではないという状況です。

グリーンツーリズムの課題②地域の人の外国人の受け入れ体制

地方都市は都心に比べて海外の方と接する機会が少ない傾向にあり、グリーンツーリズムの目的のひとつでもある地元民との交流が難しい地域も多くある現状です。

農漁業体験をするうえで、地元民との関わりは必ず必要になってくるため、言語や文化などの壁がある海外からの観光客にじゅうぶんに楽しんでもらえるかという課題があります。

グリーンツーリズムの課題③地方への公共交通機関でのアクセス改善

地方都市では、電車やバスなどの公共交通機関がじゅうぶんに整備されていません。場所によっては、車がないと生活ができないという地域もあるでしょう。

交通が不便になると海外旅行客にとっては旅行での移動が困難になるため、地方都市への交通アクセス改善も急がれます。

 

グリーンツーリズムとアウトドア

グリーンツーリズム

農業や漁業はアウトドアとは切っても切り離せない関係にあります。

グリーンツーリズムでは、農漁業体験はもちろんのこと、四季によって大きく変化を見せる自然と、その季節のよさを活かした大自然の中で行えるアウトドアアクティビティもプログラムの一環として楽しめます。

なかでも川で楽しめるカヤックや、森林散策の一環としてのトレッキングなどが盛んです。

全国的にグリーンツーリズムの面白い取り組みがされていますが、今回は3地域で行われているグリーンツーリズムの事例を紹介していきます。

青森県 鯵ヶ沢町

青森県では、グリーンツーリズムが盛んに行われており、受け入れ地域が170施設あります(21年8月時点)。

鯵ヶ沢町は世界遺産にも登録されている白神山地の自然を楽しめる地域です。

広大な山やそこから流れる美しい川、海などの全てを楽しめる鯵ヶ沢町ではそんな自然を活かしたプログラムがあります。りんごの収穫体験や白神山地のトレッキングが含まれたものもあります。

「白神自然学校一ツ森校」では、白神アロマを満喫できる珍しいプログラムが楽しめるのが魅力です。

白神自然学校一ツ森校

三重県 大杉地区

三重県の大杉地区は、日本一の清流とも名高い「宮川」が流れる地域です。

元々、過疎高齢化が激しかった大杉地区は、恵まれた自然を活かし、環境教育プログラムを提供しており「持続可能な社会の創造」を理念に、地域の自然観を子どもたちに伝えています。

体験をとおして火おこしや、アウトドアクッキングなど、自然で楽しむスキルが身につけられます。

大杉谷自然学校

千葉県 農園リゾート THE FARM

千葉県香取市にある「THE FARM」は農を中心とした複合施設で宿泊、カフェ、温泉、BBQなどが楽しめます。

さらには、アウトドアアクティビティを楽しめる施設もあり、カヌーツーリングやジップライン、季節の野菜の収穫体験なども楽しむことが可能。

貸農園のサービスもしており、手ぶらで気軽に農業に携わる体験ができるのも大きな魅力のひとつです。

THE FARM

農漁業体験を通し、自然や地域の人々との交流を楽しめるグリーンツーリズムについて解説してきました。グリーンツーリズムは都心に住んでいる人と地方都市の両方のニーズを満たすことでも注目を集めています。また、インバウンド観光客に対する課題はありますが、今後のさらなる発展も期待されています。今まで農漁業体験をする機会がなかったという方もぜひ気軽に参加してみてはいかがでしょうか。

ライター

Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。