コロナ禍でスケートボードが爆発的ブーム
コロナ禍をきっかけに2020年はスケートボードが一大ブームになっています。
実際に作品を紹介する前に、なぜスケートボードが今年世間的に大きな注目を浴びるようになったのかという背景から掘り下げていきましょう。
その原因はずばりコロナ禍にあります。
今年は3月から全国の学校が一斉に休校になってしまい、ソーシャルディスタンスを保つ意味でチームスポーツもセーブされてしまいました。
そこで個人で楽しむことができ、なおかつ他人との距離を気にせず遊べるスポーツとして、スケートボードへの関心が急激に高まったのです。
もともとスケートボード自体がオリンピック効果によって徐々に注目は高まりつつあったのですが、そこにこのコロナ禍が重なったことで、新たにスケートボードを始めてみようという人が爆発的に増え、学生年代を中心に盛り上がったことで一大ブームへと発展してきました。
さらに今夏は、『STAND STRONG』『mid90s』『行き止まりの世界に生まれて』といったスケートボードにまつわる映画も全国の劇場で次々と公開されています。
このように、大衆娯楽にまで登場するようになったスケートボードは、来夏に延期されてしまった東京オリンピックでもメダル獲得の有力種目と目されており、これからさらに注目が高まること必至です。
そんな中でも、今回は漫画というより身近な娯楽を使ってスケートボードの魅力を伝える作品『スケッチー』の魅力に迫っていきたいと思います。
誰もが共感してしまうストーリー展開『スケッチー』
スケートボードをはじめたばかりの頃は、誰もがこのような経験をしているのではないでしょうか?
この作品の大きな魅力がストーリー性の高さです。
いわゆる昔ながらのスポ根漫画とは一線を画しており、スケートボードにまったく興味がない人でも引き込まれてしまうほど練りこまれたリアルな人間ドラマと、驚きの展開がそこには待ち受けています。
物語は冴えない私生活を送るアラサーの女性が、スケートボードに出会い新たな人生の楽しみを見つけていくところからはじまっていくのですが、話が進むにつれて、さまざまな世代の立場も違う人物が登場していきます。
そんな彼女たちの共通点はただひとつ、スケートボードにハマってしまったこと。
物語を読み進めていくと、それぞれが抱えている人生の悩みや葛藤が絶妙に表現されていることに気付きます。
そこはどんな立場の人でも共感してしまうことでしょう。
それこそスケートボードをはじめたはいいけど、あまりの難しさにくじけてしまいそうな初心者の気持ちに寄り添うこともできますし、反対にスケートボードの選手としての気持ちに寄り添うこともできます。
はたまたスケートボーダーたちが織り成す恋愛模様!? も見逃せません。
”ライフスタイルとしてのスケートボード”の魅力が存分に詰まっていて、例えるならばテレビドラマ、それも民放で流れる連ドラともいえるでしょう。
単行本を一冊読みおえる頃には、思わず頭の中でエンディングテーマが流れてきそうです。これを読んだら、スケートボードをやめようか考えていた気持ちが嘘のように解消され、そのまま滑りに行きたくなることでしょう。
漫画の世界を実体験できるリアルロールプレイング作品
この絵を見れば、ここがどこのパークなのかすぐにわかる人も多いのではないでしょうか。
もちろん『スケッチー』の魅力はそれだけではありません。漫画に登場するスケートパークやストリートスポットが実在するものであるということも作品の価値を大いに高めているひとつの要素です。
有名どころでいうと、ムラサキパーク東京や駒沢公園、H.L.N.A SKYGARDENなどが最たる例で、ところどころに出てくるストリートのようすも全てスケートボードの映像作品に出てくる実在のスポットばかりなのです。
これらは作者さんや編集部による綿密な取材によるもので、実際にスケートパークや選手の元へ赴き、そこから得た情報をベースにして漫画の世界に絶妙に落とし込んでいるからこそ表現できているのです。
もちろんストーリー自体はフィクションですが、作中の登場人物にも実は題材となる人物がいたりと、作品を掘れば掘るほど、スケートボードにのめり込めばのめり込むほど、漫画の世界に自分を投影することができるでしょう。
それ以外にも登場人物の着ているアパレルや使っているデッキもすべて実在のものですし、ところどころに出てくるインスタ のアカウントも、よく見ると中には実在のプロスケーターが出ています。
このように、『スケッチー』には漫画を読むという楽しみだけでなく、スケートボードを始めれば漫画の世界感をそのまま実体験できるという二重の楽しみがあるのです。
自分が主人公のリアルロールプレイングゲームを誰もが楽しむことができるのです。
もしかしたら、10年後のプロスケーターにスケートボードを始めたきっかけをインタビューしたら「漫画の『スケッチー』を読んだから」という人も出てくるかもしれませんね。
リアルに出会えるガールズスケーターを紹介
今年のTAMPAという世界戦を制した関西の前田日菜さんなどトップ選手も登場。なぜ彼女が出ているのかは物語を読み進めていけばわかるかもしれません。
このように『スケッチー』は作品自体が魅力的であることは言うまでもないのですが、各ストーリーの合間で連載しているコラム「SHE MEETS SKATE!!」も見逃せません。
このコラムではライフスタイルとしてのスケートボードを楽しんでいる人から、バリバリの現役トップ選手まで素敵なガールズスケーターを紹介しています。
内容は、それぞれがスケートボードを始めたきっかけや、タイトルにちなんだスケッチーだった体験談(ドジッちゃった思わずクスッと笑ってしまう経験)が掲載されているので、まだまだ始めたての人や、これから始めてみようかなという人の気持ちに寄り添えるコーナーになっています。
掲載されている写真も素敵で、ポートレートではキュートな笑顔を振りまいているにもかかわらず、ライディングは男顔負けのカッコよさ。
そして特筆すべきところは、登場する女性スケーターが作中に出てくるスポットにも紐付いているところ。
例えば駒沢公園が出てくる回には駒沢公園によく来る方が紹介されていたりと、作品に登場するスケートパークに足を運べば、本当に出会ってしまう可能性だってあるのです。
それにコラムに出てくる女性と作中の登場人物をよ~く照らし合わせて見てみると…、いろいろと気づくことがあるかもしれませんよ。
もちろん全てを紐付かせているわけではありませんが、もし実際にコラムに出てくる方に会った際は、くれぐれも失礼のないようにしてくださいね!!
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。