ダイビング用ボートコートは、頻繁に使用しないダイバーにとっては「持っているもので代用したい」「類似品で安く済ませたい」と思うアイテムの筆頭かもしれません。もちろん役に立つ代用品もありますが、結論から言えば、やはり専用のボートコートが最もおすすめです。この記事では、代用品の限界や専用品の真価、そして後悔しない選び方についてお伝えします。
ダイビング用のボートコートとは?役割と必要性

ダイビング用ボートコートとは、ウェットスーツやドライスーツの上からでも羽織ることができる、防風・防寒・防水性を兼ね備えた上着のことです。
その主な役割は以下の3点に集約されます。
- 気化熱による体温の低下を防ぐ
水から上がった直後の体は、表面の水分が蒸発する際に熱を奪う「気化熱」によって、急激に冷やされます。特に、ボート走行中の風はこの蒸発を加速させるため、風を遮断することが防寒対策の第一歩となります。 - 身体を保温する
多くのボートコートは保温性の高い素材(ネオプレンなど)で作られており、濡れた水着やスーツの上から着ても身体の熱を逃さず、体温の低下を防ぎます。 - 疲労軽減
寒さはダイバーにとって最大の敵です。身体が冷えると、足がつりやすくなったり、呼吸が速くなったり、極度の疲労やトラブルにつながります。ボートコートは次のエントリー(水に入る)まで体力を温存するためにも必須装備と言えます。
ダイビング用ボートコートの「代わり」になると言われるアイテム

筆者がこれまで現場で見てきた「代用しているもの」のメリットと限界を紹介します。
ポンチョ
・メリット
安価で手に入れやすく、ダイビング以外にも使用できます。
・限界
素材によりますが保温性がほとんどありません。何もないよりはマシと言う程度です。
薄いダウンジャケット
・メリット
乾いている状態であれば保温力は高いです。
・限界
ダイビングでの使用は最もおすすめしません。羽毛は濡れるとカサが減り、保温力を失います。海水がつくと潮噛みし、クリーニングも大変です。たった一度のダイビングで台無しになるリスクが高いです。
ウィンドブレーカー
・メリット
軽く、持ち運びが楽です。
・限界
防風性はありますが、保温力が不足しています。また波しぶきを被ると中まで浸透してしまうことが多く、濡れてしまうと逆に体を冷やす原因になります。
サーフ用防寒コート
・メリット
ダイビング用と構造が近く、ネオプレン素材を使用しているものが多いため、代用品としては非常に優秀です。
・限界
動きやすさを重視して丈が短いものだったり、ダイビングの厚手のウェットスーツの上から着ることを想定していないタイトな作りだったりすることがあります。
代わりで済む人と済まない人の違い

「代用品で十分だった」という意見もあれば「専用品を購入すべきだった」という意見もあります。この差はどこにあるのでしょうか。
代用品でも十分なケース
真夏の沖縄など、気温が非常に高い場所でのダイビング
風さえ防げれば十分な場合、薄手のポンチョやウィンドブレーカーでも事足ります。
移動距離が極端に短いダイビング
ビーチや港からポイントまで数分で到着し、すぐに陸に上がれるような環境であれば、薄いポンチョを羽織る程度でも耐えられるかもしれません
非常に寒さに強い人
個人差の話になってきますが、寒さにとても強い人であれば簡易的なもので過ごせます。
代わりでは厳しいケース
春、秋、冬のダイビング
気温が25度を下回ったり、水温が高くても北風が吹いたりする時期は、代用品では限界があります。
1日2〜3本ダイビングする予定の人
1本目で身体が冷えてしまうと、2本目以降の楽しさが半減してしまいます。最後まで快適に潜るには、確実な保温対策が必要です。
寒がりの人、女性ダイバー
冷えを感じやすい人は、専用の厚手のコートがあるだけでダイビングの快適度が劇的に変わります。
ダイビング用ボートコートがおすすめな理由

なぜ、ダイビング経験が多い人やインストラクターは専用のボートコートをすすめるのでしょうか。そこには「専用品ならでは」の理由があります。
- 素材
専用品の多くは、ネオプレンやスキン、ラジアルといったウェットスーツと同じ素材で作られています。これらの素材は濡れたまま着用しても保温力を失いにくいです。また、風を遮断し、生地自体の厚みが断熱材の役割を果たします。 - 耐久性
海水にさらされていることを前提に作られているため、ファスナーが潮噛みしにくい大型のプラスチック製であったり、生地や縫製が丈夫だったりします。 - ダイバー向けの設計
スーツの上から、もしくはスーツを腰まで下げた状態で羽織るシチュエーションが多く、大きめのサイズ展開です。筆者のおすすめは、袖口に面ファスナー付きのベルトがあるもの。器材のセッティングや食事の際に、袖口が邪魔にならず重宝します。
ダイビング用ボートコートの選び方

自分に合ったボートコートを選ぶ際には、以下のポイントをチェックしましょう。
持ち運び優先か、防寒優先か
持ち運びと防寒対策は相反するところがあります。軽量で抜群の保温を持つボートコートもありますが、高額なものが多く手が出にくいです。何を優先するか決めてから選ぶことが重要です。
*持ち運びを優先 → ネオプレンやスキン素材の薄手のもの
*防寒対策を優先 → ラジアル素材など丈夫なもの
丈の長さ
もし丈で迷ったら、お尻が隠れるロング丈がおすすめです。座った時に太ももまでカバーでき、体感温度が大きく変わりますよ。
袖口調節ベルト
筆者が最も重視しているポイントでもあります。ボートコートはダイビング器材のセッティングや洗う時に役立ちますが、袖が邪魔になることがほとんどです。袖口を止められる面ファスナー付きの調節ベルトか、袖口が下がりにくいものを選びましょう。
おすすめのダイビング用ボート4選

数あるボートコートの中でも特に信頼性が高く、多くのダイバーに愛用されている4つのアイテムを紹介します。
【防寒&軽量最強】SHARK SKIN 防寒フード付きジャケット
筆者が長年愛用しているボートコートです。軽量でありながら保温性に優れ、撥水性が高いため、水の染み込みによる冷えや重量感を感じさせません。
【防寒最強】Word Dive スキンフード付きコート
水を弾き、風を通さないスキン生地のボートコートです。切り口のカラーを19色から選べるところが、ダイビングオーダースーツの老舗World diveならではです。
【軽量特化】Bism クルーコート
軽さ重視で、持ち運びを楽にしたい人におすすめのコートです。裏地のフリースが心地よく、着心地も抜群です。
【価格優先】The standard 1.7mmボートコート
コストパフォーマンスを重視する人には、The Standardのマリンコートがおすすめです。学生やレンタル用として広く利用されているため、他の人のコートと取り間違えないよう、目印を付けるなど工夫が必要です。
ライター
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マリンスポーツのジャンルを得意としたwebライター。海遊びの楽しみ方やコツを初心者にも伝わるよう日々執筆活動中。スキューバダイビング歴約20年、マリンスポーツ専門量販店にて約13年勤務。海とお酒と九州を愛する博多女です。
