4月の下旬、1泊2日で約50kmある南伊豆ロングトレイルを歩いてきました。静かな山道とダイナミックな海岸線をつなぐ、自然豊かなルートです。途中の民泊利用も可能ですが、今回はテント泊で挑戦。装備や1日に歩いたコースの詳細について紹介します。アップダウンもあるものの道はよく整備され、チャレンジしやすいルートなので、ぜひ参考にしてみてください。
南伊豆ロングトレイルとは?
静岡県・伊豆半島の南端エリアを縦走するロングトレイルです。とくに松崎町~石廊崎までの約50kmのルートが人気で、多くのハイカーが訪れます。ルートは体力によって歩く日数を決め、スタートやゴール、宿泊地などを選択するとよいでしょう。
南伊豆エリアは「伊豆半島ユネスコ世界ジオパーク」に認定されており、火山活動によって形成された独特の地形・地層など魅力がいっぱいです。
【1泊2日テント泊】南伊豆ロングトレイル
南伊豆のトレイルは、体力や経験に応じてロングにもショートにも楽しめます。今回はロングトレイルを歩いてみたくて、石廊崎~松崎の約50kmをテント泊で挑戦しました。途中、崩落による通行止め区間があり一部ルートを迂回したため、実際に歩いた距離は約44kmです。
スタートとゴールはどちらからでもOKですが、きれいな夕日が見たかったことと立ち寄りたいお寿司屋があったので、松崎をゴールに選びました。
基本情報
1日目 | 2日目 | |
距離 | 20km | 24km |
コース | 石廊崎→中木→入間漁港→千畳敷→富戸の浜→吉田→妻良漁港→子浦漁港宿泊 | 子浦漁港→落居→高通山→千貫門海岸遊歩道→烏帽子山→雲見海岸→石部海岸→岩地遊歩道→萩谷海岸→松崎 |
コースタイム | 約9時間 | 11時間30分 |

※ヤマレコのアプリで作成
アクセス
公共交通機関で行くと時間に制限がかかるため、今回は車2台で松崎に集合。1台はゴールの松崎港の無料駐車場にとめ、もう1台をスタートの石廊崎駐車場にとめました。
スタート | 石廊崎駐車場(1日500円) |
ゴール | 松崎港(無料) |
テント場
各漁港でテント泊が可能ですが、1泊2日の行程なら小浦漁港でテントを張るのがおすすめです。ただし、6月1日〜9月30日の間はキャンプ禁止となるため民泊を利用しましょう。
テント泊装備
初めてのロングトレイルだったので、できるだけ荷物を軽くし不要なものは持たないようにしました。ビストロ風の山飯はあきらめて、ドライフードやパン、ラーメンなど軽量で手軽な食事をチョイス。ラーメンの容器などかさばるものなどはすべてジップロックに移し替えて、軽量化とゴミを削減します。
また、南伊豆ロングトレイルは漁港ごとに自動販売機があり、水の補給に困ることがなかったため最低限の水だけ持ちました。合計重量は約8,5kg。主な荷物は以下のとおりです。
幕営用 | テント(ゼインアーツ・ヤール2)・シュラフ(モンベル#3)・エアーマット・ランタン |
ごはん用 | 食料(2日分:昼1・夕1/朝1・昼1)・行動食(2日分)・水1.7L・コッヘル・シェラカップ・カトラリー・ガスバーナー・ガス・ライター |
ウエア | 着替え・フリース・レインウエア・手袋 |
ギア | 55Lザック・ヘッドライト・予備電池・手ぬぐい・地図・スマートフォン・モバイルバッテリー・ティッシュペーパー・トイレットペーパー・ゴミ袋・お金・サコッシュ・日焼け止め・化粧品・ストック1本・熊鈴・歯ブラシ・ファーストエイドキット・ココヘリ・常備薬・携帯トイレ・折りたたみ傘・汗拭きシート |
【体験記day1】潮風とともに歩く石廊崎~子浦漁港
1日目に歩いた石廊崎~宿泊地の子浦漁港までのルートを紹介します。この区間にはコンビニや商店がないので、食事や行動食はしっかり準備しておきましょう。
石廊崎~中木(長津呂歩道)
7時半に松崎港の無料駐車場で同行者と待ち合わせをし、1台の車で石廊崎駐車場へ向かいました。約50分で到着し、準備を整え9時にスタート。
石廊崎オーシャンパークを経由し、石室神社と熊野神社で、無事に2日間歩きとおせるようにお参りをして出発です。曇り空でしたが、壮大な大海原を眺められ気持ちいい朝でした。
ロードを経て長津呂歩道へ。標識や看板が細かく設置されているため、道迷いの心配はほとんどありません。この区間は比較的歩きやすく、途中には東屋や石切場跡もありました。
中木~入間
中木港には公衆トイレと自動販売機があります。案内板に従い進んでいくと、宝永軒寺院を抜けた先から急な登り坂が出てきます。途中には航海を祈って念仏を唱えたとされる「念仏堂」や、見晴らし抜群のベンチがあるので、野鳥の声を聴きながらひと休みするとよいでしょう。
入間漁港に着いたところでお昼をとりました。
入間~吉田
この区間は1日目のなかでも最も高低差があり、体力的には1番キツく感じますが、その分ダイナミックな自然の景観が広がります。
目指すは「千畳敷」。海底火山が生み出した地層や独特の地形が美しく、自然の造形美に圧倒されます。風が穏やかであれば、ここでのランチもおすすめです。のんびりしたいところでしたが、明るいうちにテントを張りたかったため先を急ぎました。
富戸の浜へ下る山道は視界が開けており、海の山の大パノラマが楽しめます。ただし、富戸の浜はゴロタ石が多く、海から流れてくる漂着物やゴミもあり歩きにくいので注意しましょう。
アップダウンの一本道を抜けると吉田の浜に到着。分岐点にはトイレがあります。沢を渡ると、正面に白鳥神社が見えてきます。樹齢約800年の天然記念物「ビャクシン」が静かに出迎えてくれますよ。
吉田~妻良〜小浦漁港
「ジャングルコース」と呼ばれる樹林帯を歩きます。倒木や茂みが深い場所もあり、ピンクテープが見当たらない区間もあるため、登山アプリなどでルートを確認しながら進みましょう。
眼下に伊豆西南海岸の景色が広がってくれば、残りも半分ほどです。丸太の階段や橋を渡り抜けると妻良漁港に到着します。ロードに出て、東條トンネル、田面トンネル、白崎トンネルを通過。17時20分、子浦漁港に到着しました。
漁港の脇にある芝生のスペースに、なんとか日が落ちる前にテントを設営完了。芝生は平らで設営しやすく、すぐ横にウッドデッキがあったので、食事やお茶をしてのんびり過ごせますよ。1日目を無事に終えられました。
ライター
yuki
幼少期からキャンプや釣り、スキーなどを楽しむアウトドアファミリーで育つ。10代後半は1人旅にハマりヨーロッパや北米を中心としたトラベラー期となる。現在もスキー、スノーボード、ダイビングなど海や山で活動中。「愛する登山」は低山から厳冬期の雪山まで季節問わず楽しむhike&snowrideなスタイル。お気に入りの山は立山連峰!Greenfield登山部/部長の任命を受け部活動と執筆活動に奮闘中。