マルチな才能を持つ「ハードテイル」
MTBには大きくわけて2種類あり、基本的な設計がハードテイルです。
フロントフォーク(ハンドルから繋がる前輪のユニット)のみに、サスペンションがあります。
サスペンション付きMTBの発祥はハードテイルで、その後、フルサスが登場しました。
走破性だけで比べると、前後にサスペンションがあり、どちらのタイヤの衝撃も吸収できるフルサスの方が有利です。
しかし、ハードテイルは、シンプルだからこそ実現できたマルチな才能を持ち合わせています。
そのマルチな才能が愛され、フルサス登場後の現在にいたるまで、ハードテイルはユーザーに支持され続けています。
ハードテイルの魅力
初心者から見ると、前後にサスペンションがあるフルサスの方が能力は高いように見えるでしょう。
しかし、MTBにかぎらず自転車はすべて適材適所で、競技や利用方法によってはフルサスよりもハードテイルが圧倒的に有利な場合もあります。
まずは、ハードテイル特有の魅力を考えてみましょう。
フレーム剛性が高い
フルサスはフレームの中央から二分割し、稼動させることでリアサスペンションを機能させています。
これによって走破性は上がりますが、ギミックが多い分、故障も増え、強い衝撃が加わると破損のリスクがあります。
ハードテイルはギミックが少ない分、フレームを強固に設計できます。
このため、衝撃吸収性能のあまり必要ないオフロードコースにおいては、ハードテイルのほうが長く付き合える相棒になります。
価格が安い
フルサスのギミックはたしかに効果があるものですが、その分パーツも増え、製造にもコストがかかります。
ハードテイルはシンプルな分、製造コストが安く、パーツも少ないので価格がかなり抑えられます。
同じメーカーの完成車で比較すると、ハードテイルはフルサスの3割ほどの価格で購入することも可能です。
競技用ならある程度のスペックのある高価なモデルも視野に入りますが、トレイルライドなどファンライドに使用するなら安価な選択肢もあるのは大きなメリットです。
また、本体価格を安く上げられる分、カスタマイズに予算がかけられるのも魅力ですね。
フルサスに比べて軽量
ハードテイルのMTBはギミックが最低限で、パーツも少ないため、フルサスに比べてかなり軽量な設計が可能です。
素材や技術の進歩で、近年フルサスもかなり軽量化されていますが、それでもハードテイルはフルサスに比べると1割から2割程度軽量化が可能です。
とくに上りのセクションがある競技では、この重量差は無視できないタイムの差として表れるでしょう。
ファンライドにおいては、とくにロングライドや、長距離のトレイルライドでもメリットになります。
ハードテイルMTB(マウンテンバイク)の選び方
上記したようなメリットから、ハードテイルはおもに4Xやダートジャンプ(DJ)、クロスカントリー(XC)系競技で使用されます。
同じハードテイルでも競技や利用方法別に設計が違うので、購入前にそれぞれどういったモデルが適しているか考えてみましょう。
4X・ダートジャンプならコンパクトなモデルを
4Xは短距離コースを複数台で走る競技で、ダートジャンプはジャンプ台でトリックを決める競技です。
一見すると共通点のない2つの競技ですが、使用するフレームは共用されることが多いです。
4Xは数百メートルの短距離コースに、ところ狭しと凹凸やバンクセクションがあるので、座って漕ぐ暇がありません。
ダートジャンプもトリックをきめるために、座って漕ぐことはほとんどありません。
また、4Xではスラロームなど小回りのため、ダートジャンプではトリックを決めるために短いフレームが有利です。
こういった共通する目的から、4X、ダートジャンプでは26インチタイヤのコンパクトなハードテイルがおすすめです。
クロスカントリー系は軽量さ重視
MTB競技は、山肌を下る競技がほとんどなので、マシンの軽さは重視されません。
しかし、クロスカントリー系競技だけは別で、長距離のコースのなかには長い上りのセクションもあります。
マシンが重いと上りでスピードに乗らず、体力も消耗します。
このためクロスカントリー系競技ではマシンの軽さは重要で、フルサスよりも軽くできるハードテイルを好むライダーが多いです。
なかでも、クロスカントリー用に設計されたマシンは、タイヤは27.5インチもしくは29インチの大径で、座ったままでも漕ぎやすい設計になっています。
ファンライド・通勤通学用は低価格モデルをカスタマイズ
競技以外の、ファンライドや通勤通学用では緻密な設計や軽さはあまり重視しなくても問題ないでしょう。
このため、高価な競技用ではなく、低価格モデルを各所カスタマイズして対応しても十分楽しめます。
メーカー品で、ハードテイルの低価格モデルは5万円台からあります。
こういった安価なモデルのホイールやタイヤ、ハンドルなどをカスタマイズすれば十分ファンライドや通勤通学に快適なマシンをつくることができます。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。