ロードバイクとは一味違うMTBの長距離サイクリング
ロングライドとは、数十kmから何百kmという長距離を自転車で走りぬけるスポーツです。
ほかでは味わえないような達成感があり、最近ではフィットネス目的で挑戦するかたも増えていますね。
ロングライドは、一般的にロードバイクで行うものだと思われています。
ロードバイクはロードレースを前提に、長距離をハイスピードで走行できるように開発されているからです。
いっぽう、MTBはオフロードを走るためにつくられています。
一見すると相反するように見えますが、最近、ロングライドにあえてMTBを用いるライダーが増えているんです。
とくに、泊まりを挟むような超長距離を走る場合は、MTBが選ばれるシーンが多いです。
2018年の平昌オリンピックでは、応援に行くためにスイスから韓国へ自転車で向かった人がいましたが、そこでもMTBが使用されました。
理由は、ロードバイクの弱点を長所に変えたようなMTBの設計にあります。
MTBでロングライドに挑む魅力
MTBは、スピードこそロードバイクに敵いませんが、それ以外ではロードバイクにないメリットをたくさん持っています。
より過酷な超長距離サイクリングでは、とくにそのメリットが活きてくるのです。
路面状況に左右されず楽しめる
ロードバイクは、路面状況のいいオンロード(舗装路)がもっとも走りやすく、スピードが出しやすいよう設計されています。
このためオフロードになると制御がむずかしく、オンロードでも雨で濡れたりすると注意して走らなければなりません。
MTBは舗装路の乗りごこちやスピードはロードバイクにかないませんが、オフロードや濡れた路面でこそ性能を発揮できます。
ロングライドでは、距離が長くなることで走行時間も長くなります。
このため天候の変化に見舞われることも多く、そういったシーンではMTBにメリットがあります。
目的地への最短ルートを通りたい場合にも、ロードバイクの走れない砂利道でもMTBは走れるので、ショートカットすることもできます。
マシントラブルのリスクが低い
ロードバイクはスピードを重視するために、ハイエンドモデルではパーツの強度もギリギリを攻めて設計されます。
もちろん、通常使用の範囲であれば十分耐えられるレベルですが、長距離を走るシーンも多いのでトラブルは少なくありません。
MTBは、より過酷な状況を想定しているので、タイヤからホイール、ブレーキやハンドルにいたるまで高い耐久性が求められます。
このためロングライドのような状況では、トラブルが起こりにくくなっています。
改造の幅が広い
300kmを超えるような超長距離の場合、泊まりを想定して着替えやアメニティなどの荷物を乗せる場合もあります。
多くの荷物を載せるためには改造が必要ですが、MTBは改造しだいであらゆるところに荷物が載せられます。
フレームはもちろん、シートポストなどの強度も十分に確保されているので、荷物を積載するための改造がかなりしやすくなっているのです。
このため泊りを挟むブルベのような楽しみ方をする場合は、MTBが適しているといえます。
ロングライド用に改造してみよう
ロングライドにもメリットがあるMTBですが、本来はオフロード専用に設計されています。
このため、ある程度改造することでよりロングライドに快適な相棒をつくることができます。
タイヤをスリック化
マウンテンバイクには、緩いぬかるんだ道や濡れた路面でも滑りにくくするために、ブロックタイヤが採用されています。
ブロックタイヤはオンロードでは凹凸が抵抗になり、スピードに乗りにくく減速しやすくなってしまいます。
このため、舗装路を走る場合にはブロックのないスリックタイヤがおすすめです。
ぬかるみには弱くなりますが、舗装路では太さによってグリップ力が維持しやすいです。
ハンドルをブルホーンバーに
MTBにはフラットハンドルが採用されていますが、同じ体勢で握り続けていると腕が疲れてしまいます。
ハンドルを「ブルホーンバー」と呼ばれる前方に突き出た形に交換することで、乗りごこちを改善できます。
突き出た先端部分を握ることで体勢を変え、腕はもちろん体幹の疲労をためにくくできます。
フロントサスペンションをリジット化
MTBの最大の特徴とも言えるサスペンションですが、オンロードを走るならほとんど作動しません。
高い段差や凹凸路面を走らなければ重りになってしまうので、いっそ交換してしまうのもおすすめです。
予算はかかりますが、重量が軽くなりスピードにも乗りやすくなるので、ロングライドにはおすすめの改造です。