アニマルトラッキングってなんだ?
冬の真っ白な雪原に、動物の足跡が残されているのをご覧になったことはないでしょうか。まっすぐ森の中に消えていく足跡もあれば、いくつかの足跡が入り交じり雪が蹴散らされていることもあります。
このような、足跡や動物の残した痕跡から、野生動物がどのような行動をしたか読み解くことをアニマルトラッキングといいます。
冬の雪原は、まさにアニマルトラッキングの宝庫で、足跡から野生動物の休憩場所や巣に帰る道順、そして獲物を狩る様子などもわかります。
しかも、雪原ならではの方法で、冬の野生動物の隠された姿に近づくことができます。そのやり方と、楽しみ方をご紹介します。
スノーシューで行くアニマルトラッキング
アニマルトラッキングで雪原を歩くとき、おすすめしたいアイテムはスノーシューです。だれでも気軽にできることと、足元が安定し動物の足跡をじっくり観察できるので、雪原のアニマルトラッキングに最適です。
冬のアクティビティなので、きちんとした装備と準備は必要ですが、大自然に隠された野生動物の気配を探ることは、冬のアウトドアの大きな楽しみとなります。
雪原のアニマルトラッキングに必要なアイテム
初心者の場合、スノーシューや歩行時に必要なポールは、レンタルから始めると良いでしょう。また、スノーシューを装着するシューズは、防水性と防寒性の高いスノーブーツやスノトレがおすすめです。
さらに、裾から雪が入らないように、スパッツもあると便利です。
ウエアは、歩くと暑く止まれば寒くなるので、着脱可能で体温調節のしやすいタイプがおすすめです。
そして、冬のアクティビティだけに、万が一に備えて携帯食料や温かい飲み物も用意します。
また、フィールドによっては、痕跡に近寄れないこともあるので、双眼鏡やカメラがあると遠くから観察できます。
雪原の足跡の正体は?
雪原に残された足跡は何種類もあります。生息する野生動物はエリアによって異なるので、ここでは代表的な野生動物の足跡や痕跡を解説します。
森に帰る野うさぎの足跡
野うさぎの足跡は、冬のアニマルトラッキングでもっともよく出会う足跡です。奥に2つ広がるのが後ろ足で、手前の前後の足跡は前足と、全体でT字型になる特徴があります。
T字に見える向きが進行方向で、夜行性のため朝早く森に帰る途中で、足跡の間隔があまり開いていないので、ゆっくりした移動と読み取れます。
狭い胸幅のキツネの足跡
野うさぎや野ねずみを獲物にしているのがキツネです。キツネは犬に似た足型ですが、胸幅が狭いので並足で歩くと前足と後ろ足がほぼ一直線に重なります。
くっきりした足跡と、丸くぼんやりした足跡が並んでいますが、形や歩幅が似ているので同じ個体と考えられ、雪が積もったのは昨晩の足跡で、くっきりした足跡は今朝のものと読み取れます。
雪をかき分けて進むタヌキの足跡
タヌキも犬とよく似た足型ですが、犬やキツネより足が短いため、雪が積もるとラッセルしながら歩くため雪をかき分けた跡を残します。
タヌキは、つがいや家族単位で行動することもあり、大きさの異なる複数の足跡でその様子がわかります。
フクロウの食べ残しとは?
フクロウなどの猛禽類は、獲物の小動物や魚の骨など消化できないものを口から吐き出す習性があり、これをペリットといいます。
見た目は野生動物の糞のようで、灰色や焦げ茶色で球状や楕円形をしており、大きなものは3~5㎝ほどになります。このペリットが、森の中の雪面に落ちていたら、頭上の枝にフクロウなどの猛禽類がいた証拠です。
フクロウは夜行性のため、日中に見かけることは滅多にありませんが、木の洞で寝ている姿を見せてくれることがあります。
アニマルトラッキングが教えてくれること
雪原の足跡は、野生動物の種類だけでなく、彼らが人に見せない姿を垣間見せてくれます。それは、大自然の厳しさと生命の営みであり、動物たちがそこにいるような臨場感を与えてくれます。
野うさぎとテンの命をかけた競争
2つ並んだ足跡は、右側がテン、左側は野うさぎのものです。野うさぎの足跡の幅が広いのは、テンに追われ走って逃げている状況です。
しかも、右上に行くにつれ2匹の足跡が接近していることから、テンは飛びかかる寸前と推測できます。
アニマルトラッキングは、狩りや食餌の痕跡に出会うこともあり、冬の自然界の厳しさを見せてくれます。
クマの足跡と春の訪れ
春先の残雪で、この足跡を見たら要注意です。
人の素足のような足型は、冬眠から覚めたヒグマのもので、雪解けの残雪にくっきりと刻まれていることから、最近の足跡だとわかります。
本州以南に生息するツキノワグマも、春先のトレッキングコースに冬眠明けの足跡を残します。
クマの足跡は、季節の変わり目を告げる印ですが、見かけたときは足跡の進行方向から逆方向へ、ゆっくり遠ざかることをおすすめします。
フィールドガイドと行くアニマルトラックツアー
スノーシューは、だれでも簡単に楽しめる冬のアクティビティですが、本格的なネイチャースノートレックを体験したいなら、スノーシューツアーの参加をおすすめします。
スノーシューツアーが盛んなエリアでは、アニマルトラッキングのガイドも含めたフィールドガイド付きツアーもあります。
現地を知り尽くしたガイドがいれば、アニマルトラックのツボを見逃すこともなく、スノーシューの正しい扱い方も習熟できます。
冬のアクティビティは、楽しむことに加えて安全確保を心がければ、楽しみはさらに広がります。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。