じつは、マクロビは日本発祥の食事法?
マクロビの正式名称はマクロビオティックといい、MACRO(長い)・BIO(生命)・TIQUE(術、学)の3つの単語からできた言葉で、長く生きるための術を意味しています。
トム・クルーズが実践していることでも知られ、海外で火がつき、その後日本でも人気になったため、海外発祥と思う人も多いかもしれません。
しかし、その起源は日本にあります。
マクロビの基本は陰陽論
マクロビとは、明治時代の思想家であった桜沢如一氏によって、日本古来からの食事法である食養生と東洋の陰陽という世界観をもとに提唱されている思想です。
日本では古来から、栄養を考えた食事で自然の治癒力を高め、健康に生きる食養生という考え方がありました。
陰陽論というのは、「あらゆる物に陰と陽のどちらかの性質がある」という考え方のことで、マクロビは食養生と陰陽論を取り入れたライフスタイルのことです。
マクロビを知るのに大切な3つの理念
マクロビは、「陰陽調和」「身土不二」「一物全体」を3大理念として掲げていて、食生活もこの理念を基礎としています。
「陰陽調和」は、食材にも陰と陽があり、どちらに偏るわけでなく、その中間である中庸の状態が最適という考え方です。
私たちは暑い夏は陰性である冷たい食材を取り入れて、無意識に陰陽のバランスをとっています。
「身土不二」は、その土地でとれた、季節のものを食べるのがよいという意味です。
近年、食材は季節に関係なくいつでも購入できますが、体には住んでいる土地で育った旬の食材をとることが大切としています。
「一物全体」は、食材をまるごと摂取するという意味です。
野菜の皮や魚の骨など捨ててしまう部分にも、多くの栄養が含まれ、それを食べることで、すべての栄養を取ることができ、バランスがとれるということです。
NG食品はない、マクロビの食生活
マクロビは玄米や野菜を基本とした食事法ですが、基本的に、食べてはいけないという食品はありません。
しかし、状況によっては肉製品や砂糖などなるべく避けたいものがあり、それは「陰陽調和」の考えがもとになっています。
ヴィーガンが生まれたのはイギリス
ヴィーガンという言葉は、1944年のイギリスで生まれ、語源は諸説ありますが、Vegetarian(ベジタリアン)ではなく、ラテン語のVegetus(活気のある、健全な)という言葉に由来しているといわれています。
ヴィーガンの基礎は「命を尊重すること」
正式名称をヴィーガニズムといい、「人間は動物を搾取することなく生きるべき」という定義を持って、はじまった思想です。
最近では多くの有名人たちがヴィーガンになっていることから、言葉だけが先行しているイメージですが、その基本思想は、動物の命や環境を大切にすることです。
そのため、食物だけでなく、皮や毛皮などの衣服や動物実験を行う化粧品なども取り入れてはいません。
しかし、すべてのヴィーガンが、食事や生活のなかの動物製品を使用しないわけではありません。
食品も含めあらゆる動物製品を使用しないエシカル・ヴィーガニズム、動物性の食品だけを食さないダイエタリー・ヴィーガニズムがあります。
また畜産業によって環境破壊を起きているとするエンバイロメンタル・ヴィーガニズムなどもあり、思想によっていくつかの種類があります。
また、ヴィーガンは、環境問題とも深い関わりがあります。
牛を育てることで増えると言われる温室効果ガスや、食肉用の牛を育てるために森林伐採が行われるなど、肉食が世界の環境を脅かしているという思想も根底にあります。
はちみつもNGなヴィーガンの食生活
ヴィーガンは肉や魚のほかに、乳製品や卵、そしてはちみつさえも、取り入れていません。
肉や卵は理解できますが、なぜはちみつがNGなのかと疑問に思った人もいると思います。
蜂によって作られたはちみつを搾取しているということ、そして養蜂方法が残酷であるとの見解で、はちみつも取り入れないのです。
マクロビとヴィーガンの違いは?
マクロビとヴィーガンの根本的な違い
根本的な違いは、その目的です。
マクロビは、日本の伝統食と陰陽論を基礎として、食生活を通じた精神的な安定と長寿を目指しています。
それに対してヴィーガンは、動物の肉や毛皮などいかなるものも搾取してはいけないという動物愛護の精神と、畜産業などによって引き起こされる環境汚染を食い止めることを目指しています。
摂取できない食品も違う
摂取できないものも大きく異なっています。
マクロビは、肉類など積極的に摂取すべきでない食品はありますが、健康維持や長寿を目的としているので、基本的に禁止食品はありません。
それに対してヴィーガンは、動物を守ることを目的としているので、動物性の食品を摂取することはありません。
マクロビとヴィーガンが似ていると思う人が多い背景には、この2つの違いが日本であまり浸透しておらず、深く知るチャンスも少ないことも原因のひとつではないでしょうか。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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