クジラやイルカの集団座礁の原因は?

出典 Wikimedia
クジラやイルカの集団座礁は別名「マス・ストランディング」あるいは「ライブ・ストランディング」と呼ばれています。
ストランディングは世界中の海で時折発生しており、2017年にニュージーランド南島のゴールデン湾では観測史上最悪となる600頭以上ものクジラが打ち上げられ大きな話題となりました。
日本では平均すると毎年100頭くらいのクジラやイルカのストランディングが報告されています。
クジラやイルカの集団座礁の具体的な原因に関しては未だ解明されていないのが現状ですが、専門家達の間では多くの異なる意見が交わされています。
一体、どのような原因が考えられているのか見てみましょう。
病気や怪我
クジラやイルカには自らが出す音波の反響を受け止め、周りの物体との距離や位置を把握するエコーロケーション(反響定位)という能力があります。
しかし、寄生虫や怪我などの影響でエコーロケーションが正常に機能しなくなり、浅瀬に迷い込んでしまい、押し寄せる波と引き潮によって海岸に打ち上げられてしまうという説です。
地理的な要因
海岸線や海底の特徴がクジラやイルカの方向感覚を失わせる場合があり、とくに半島や岬の先端のような場所は座礁のホットスポットになる可能性があるといいます。
餌となる小魚などを追いかけ浅い水域に入り込んでしまい、その結果、打ち上げられてしまったという説です。
リーダーに従う
クジラやイルカの群れにはリーダーがいますが、その1頭のリーダーが何かしらの問題に遭遇すると、グループ全体に影響を与える可能性があるといいます。
たとえば1頭が浅瀬に迷い込み救援信号を発すると、助に来た他のクジラも迷い込んでしまい集団で座礁してしまったとする説です。
船のソナー
現在、ストランディングの最も有力な原因として考えられているのが、実は船が発する「ソナー」なのです。
ソナーは音波の反響によって水中の捜索をするための装置で、多くの船や潜水艦に装備されています。
しかし、ソナーが発する強力な電波によってクジラやイルカのエコーロケーションが正常に働かなくなり、集団のまま最終的には浅瀬に打ち上げられてしまうとする説です。
地震の前兆
クジラやイルカのストランディングは地震の前兆であり、海底プレートの活動によって生じた大きな音波が影響しているとする説もあります。
この説は都市伝説的に語られることも多く、実際にクジラやイルカの集団座礁は日本周辺でも高い頻度で発生していますが、それに続く大きな地震はまったく確認されていないのが現実です。
そのため、ストランディングと地震の関係性は無いとする説が有力です。
この記事を書いた人
Greenfield編集部
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