伊吹山について
伊吹山の標高は1377mで、滋賀県で最も高い山です。
岐阜県と滋賀県の県境、東海道新幹線や東名高速道路のすぐ北側にそびえています。
麓の岐阜県側には、古戦場として有名な「関ケ原」があります。
伊吹山がある場所は、西日本と東日本のちょうど境目。
伊吹山を構成しているのはおもに石灰岩で、西側の中腹には石灰岩を採掘する伊吹鉱山があります。
近畿でも有数の良質な石灰岩が採れる鉱山として知られています。
石灰岩層の伊吹山に降った雨や雪は長い年月をかけて浸透し、ろ過され、麓にミネラル分の多い湧水の恵みをもたらしています。
伊吹山の麓にある泉神社や醒ヶ井宿(居醒の水)の湧水は、名水百選に選ばれています。
伊吹山の歴史など
伊吹山が歴史にはじめて登場するのは、天武天皇の時代、西暦673年のことです。
この年、近畿と東国の往来を監視するため、伊吹山の麓に「不破関」とよばれる関所が設けられたと記されています。
当時は「不破関」より東を東国または関東と呼んでいました。
1558年から1570年頃には、織田信長が伊吹山に薬草園をつくらせて、南蛮のポルトガル商人から入手したハーブや薬草を栽培していたという記録があります。
そのためか、現在も伊吹山は薬草の宝庫と呼ばれ、伊吹山の麓には薬草を使用した温泉施設や、「伊吹もぐさ」で知られるセネファ株式会社などがあります。
伊吹山の植物
伊吹山には日本では珍しい貴重な高山植物をはじめ、伊吹山にしかない固有種がたくさん生息しています。
また、ヨーロッパ原産の薬草(民間薬草200種以上・局方薬草数10種)がたくさん自生していますが、これは織田信長の時代に薬草園で栽培されていたものが残っているのだと思われます。
イブキジャコウソウやオオバギボウシ、メラカラコウ、サラシナショウマ、フジテンニンソウ、シモツケといった花をつける高山植物が多く、交代で花をつけて登山客を楽しませています。
伊吹山の登山ルート
伊吹山ドライブウェイが開通して車やバスで9合目まで登れるようになり、伊吹山の山頂を訪ねる観光客が増加しました。
麓から登山ルートを使って登山する登山客の数も増加し続けています。
伊吹山の登山ルートはたくさんありますが、おもに3つのルートが多くの登山客に利用されています。
上野ルート
上野ルートは、伊吹山登山でもっともオーソドックスなルートです。
登り口は、伊吹山ゴンドラの乗り場付近、三之宮神社にあります。
周辺には駐車場があり、大規模なトイレも設置されています。
上野ルートは、琵琶湖を背後にして登る登山ルートです。
さえぎるもののない琵琶湖の絶景と美しい高山植物の花々が登山客を出迎えてくれます。
登りはじめはうっそうと茂る林の中を行きますが、標高500mの1合目付近からは、低木帯に変わり眺望がひらけてきます。
1合目付近に伊吹高原荘があるので、ここでトイレを済ませておきましょう。
このあと3合目と頂上までトイレがありません。
上平寺ルート
上平寺ルートは「上平寺」という場所から尾根つたいに登ります。
少し登ると上平寺城の城跡があります。
上平寺城は足利尊氏の家臣京極高清が築いた城で、天守とその南側に二の郭があり、さらにその南に三の郭がありました。
3つの曲輪群で構成された大規模な戦国山城だったとか、そのため歴史ファンに人気の高い登山ルートです。
上平寺ルートは5合目あたりで上野ルートと合流します。
北尾根縦走ルート
北尾根縦走ルートは、国見峠から国見岳に登り、大禿山、御座峰などの岐阜と滋賀の県境を南北にのびる連峰を縦走するルートです。
かつては通行不可能なルートでしたが、大垣山岳協会が3年の月日を費やして復活させました。
伊吹山登山の注意点
春から秋にかけては、一般的な1000m級の山に登る装備で十分です。
冬季は多いときで5mから10mほどの積雪があるので、しっかりとした冬山登山の装備が必要です。
ピッケルやアイゼン、防寒具など万全の体勢で登るようにしましょう。
冬の伊吹山は初心者向けではありません。
雪山登山の経験豊富なガイドと登るようにしてください。
たまに、熊が出没するので熊よけの鈴があると安心です。
伊吹山アクセス情報
車で麓の駐車場まで移動して登山する場合は、東名高速道路の関ケ原インターチェンジか米原インターチェンジでおります。
電車を使う場合は、新幹線の米原駅からJR東海道本線に乗り換えて近江長岡駅で下車してください。
近江長岡駅から上野ルートの登山口まで約4㎞、近江長岡駅から上平寺ルートの登山口までは5.5㎞ほどです。
ライター
Greenfield編集部
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