キッチンで役立つ食品用ラップですが、プラスチックごみを増やすことに抵抗を感じている人もいるのでは?自然由来の素材で作られた蜜蝋ラップは、洗って繰り返し使えるサステナブルなアイテム。食品の保存に便利なうえに、使い捨ての食品用ラップの代わりになるエコな選択肢です。この記事では、蜜蝋ラップの使い方やお手入れのコツ、長く愛用するためのポイントまでを、実体験を交えて紹介します。

蜜蝋ラップとは?

蜜蝋ラップ

蜜蝋ラップは、コットンなどの布に蜜蝋(みつろう)を染み込ませて作られた、繰り返し使える食品用ラップです。

手の温もりでやわらかくなり、冷えるとピタッと密着する性質があるため、食材を包むのに便利。また、洗って繰り返し使えるため、使い捨ての食品用ラップに代わるサステナブルなアイテムとして注目されています。

蜜蝋ラップで何を包む?暮らしの中の使い方いろいろ

 蜜蝋ラップ

蜜蝋ラップは、「包む・覆う・持ち運ぶ」といった使い方で、幅広い用途に使えます。ここでは、日常で取り入れやすい蜜蝋ラップの活用法を紹介します。

野菜や果物の保存に

蜜蝋ラップは抗菌性・保湿性・通気性に優れているため、カットした野菜や果物を包むのにぴったりです。乾燥や変色を防ぎ、みずみずしさをキープしてくれます。また、形に合わせて包めるので、保存袋よりもスペースを取らず、冷蔵庫内がすっきり整うのもうれしいポイントです。

お弁当やおやつにも

蜜蝋ラップは、サンドイッチやおにぎりなども直接包めます。ほどよく湿度を保ってくれるため、パンやご飯がパサつかず、しっとりおいしい状態をキープしてくれます。日々のランチタイムにはもちろん、ピクニックのお供にもぴったりです。

お皿にかぶせて蓋の代わりに

食べかけのおかずや、作り置きのお皿にかぶせれば、乾燥やにおい移りを防ぎながら保存できます。手の温もりでやさしく包むと蜜蝋が柔らかくなり、どんな形のお皿にもフィット。ぴったり密着できますよ。調味料や瓶の蓋代わりにも便利です。

食べ物の持ち運びにも活躍

パンやクッキー、ナッツ、ドライフルーツなど、おやつの持ち運びにもぴったり。端をひねったり、折りたたんだりすれば、封をするように包めます。広げればそのままお皿代わりにもなるので、外出先で子どもと一緒におやつ時間を楽しむときにも重宝します。

使わないときは折りたためるため、かさばらず、お弁当箱や保存容器よりもコンパクト。食べられなかった分を包んで持ち帰るのにも便利で、シーンを選ばず活躍してくれる万能アイテムです。

蜜蝋ラップで避けたい食材

蜜蝋ラップ

蜜蝋ラップはとても便利なアイテムですが、すべての食品に使えるわけではありません。衛生的に長く使い続けるためにも、「避けたい食材」を事前に知っておくことが大切です。

蜜蝋ラップには、天然の抗菌作用がありますが、食中毒など衛生面のリスクを考慮し、生肉や生魚の保存には使用しないようにしましょう。とくに直接食品に触れる場合は、加熱調理済みのものや、カットした野菜・果物などが安心です。

また、蜜蝋は熱に弱いため、温かい料理を包んだり、熱湯で洗浄したりすると、表面の蜜蝋が溶けてしまう可能性があります。さらに、水分が多いものや液だれしやすい食材は、包んだときに中身が漏れてしまうことがあります。食材の特徴に合わせて、蜜蝋ラップとほかの保存方法を上手に使い分けるのがおすすめです。

蜜蝋ラップのお手入れ方法

蜜蝋ラップ

蜜蝋ラップは使ったあとのお手入れ次第で、長く愛用できるサステナブルアイテムです。特別なメンテナンスは不要ですが、基本的なケアを習慣にすることで、より心地よく使い続けられます。

やさしく水洗いが基本

使い終わったら、水またはぬるま湯で「やさしく手洗い」が基本です。

においや汚れが気になる場合は、中性洗剤を少量使って洗います。ポイントは「こすりすぎないこと」。ゴシゴシ洗ってしまうと、表面の蜜蝋が剥がれてしまうことがあるため、やさしくなでるように洗いましょう。

風通しのよい場所に吊るして乾かす

洗ったあとは、水気を軽く拭き取り、風通しのよい場所に吊るして自然乾燥させます。乾燥機や直射日光は蜜蝋の劣化につながるため避けてください。

しっかり乾かないまま保管すると、カビやにおいの原因になることも。完全に乾いてから保管することが大切です。

蜜蝋ラップの寿命はどのくらい?交換のタイミング

蜜蝋ラップ

蜜蝋ラップは、使用を重ねるうちに少しずつ劣化していくため、しっかりお手入れしていてもいつかは寿命がやってきます。状態を見ながら交換のタイミングを見極めることが大切です。

一般的な寿命の目安は半年〜1年ほど

蜜蝋ラップの寿命は、使い方や使用頻度、保管環境によって変わりますが、目安としては半年〜1年程度。毎日使っていても、基本的なお手入れを続ければ、1年以上使えることもあります。

ただし、使用状況によっては早めに劣化することもあるため、期間だけで判断せず、「見た目」「使い心地」の変化をよく観察するようにしましょう。

ベタつき・はがれが出てきたら交換のサイン

次のような変化が見られたら、そろそろ交換のサインです。

・表面がベタベタしてきた
・蜜蝋がはがれて布地がむき出しになってきた
・手で包んでもぴたっと密着しにくくなった

ベタつき、はがれが出てきたら、機能が十分に発揮されず、衛生面の心配もあります。気持ちよく使うためにも、早めの交換を検討しましょう。

布を再利用して、新しい蜜蝋ラップを作るのもおすすめ

蜜蝋ラップが古くなってしまっても、表面に新しく蜜蝋を染み込ませる「再ワックス」をすれば、また快適に使えるようになります。

手仕事が加わった蜜蝋ラップは、より一層愛着がわくもの。お気に入りの蜜蝋ラップをまだまだ長く使い続けたい、という人はぜひ試してみてくださいね。

蜜蝋ラップのある暮らしへのファーストステップ

蜜蝋ラップ

「使ってみたいけど、難しそう」「使い続けられるかわからない」と感じる人は、まずは1枚から試してみるのがおすすめです。繰り返し使う中でコツがわかり、無理なく使える方法が見えてきます。

最初は1枚から気軽に始めてみる

市販の蜜蝋ラップには、サイズ違いのセットや柄が選べるものも多くありますが、まずはお試しで1枚だけ取り入れてみるのがおすすめです。

私自身も、最初はきちんと使いこなせるか不安があり、小さめサイズのものを1枚だけ購入してみました。すると、その使い勝手の良さにすっかり魅了され、気づけばいくつものサイズやデザインをそろえるように。使っていく中で、自分の暮らしに合った形や大きさが自然とわかってきました。

初めて選ぶなら、S〜Mの小さめサイズがおすすめ。カットした野菜や果物、おにぎりなどを包むのにちょうどよく、使い方の幅も広いため、初心者でも扱いやすいサイズ感です。まずは、さまざまな食材・使い方で試してみましょう。

お気に入りの布で手作りすれば、愛着もひとしお

布を選んで、自分好みに作るのもおすすめです。市販でも素敵なデザインが数多く販売されていますが、手作りならサイズも自由に調整でき、家族や友人と一緒に作るのも楽しい時間になります。

専門的な技術が必要に思える蜜蝋ラップ作りは、実は材料も手順もシンプル。お気に入りがなかなか見つからないという人は、手作りもぜひ視野に入れてみてくださいね。

繰り返し使える蜜蝋ラップは、日々の中で無理なく取り入れられるサステナブルなアイテムです。使い方の幅も広く、簡単なお手入れで、長く使えます。私のお気に入りの使い方は、おにぎりやサンドイッチ、ナッツなどを包んで、公園やアウトドアに持っていくこと。自然の中でのびのびと食事を楽しみ、食べ終えたあとにゴミがひとつも出ないという気持ちよさも、蜜蝋ラップならではの魅力です。あなたの生活にも蜜蝋ラップを取り入れ、ちいさな「脱プラ」の一歩を始めてみませんか?

AYA

ライター

AYA

静岡県出身。海と山に囲まれた自然豊かな環境で育ち、結婚後に、タイ・バンコクへ移住。病気がきっかけで、ヴィーガンのライフスタイルに目覚める。現在は、2児の母として子育てに奮闘しながら、人と環境にやさしいサステナブルな暮らしを実践中。自身の経験をもとに、ヴィーガン、環境問題、SDGsについて情報を発信している。