「アメリカでサーフィンを楽しみたいけれど、どこへ行けばいいかわからない」「中級者でも満足できるスポットを知りたい」―そんな人に向けて、筆者の体験をもとにアメリカのおすすめサーフポイント3選を紹介します。エコサーフの始め方もお伝えするので、サステナブルにサーフィンを楽しみたい人必見です。

アメリカのサーフスポットの魅力

アメリカのサーフスポットの魅力は、やっぱり「バリエーションの豊かさ」にあります。筆者が住んでいるカリフォルニアだけでも約1,300kmの海岸線が広がり、一年を通して安定したうねりが届くため、初心者から上級者までレベルに合わせて楽しめます。ロングボードでのんびり練習したい人も、バレルに挑戦したい人も、きっと自分に合った波が見つかるはずです。

日本だと台風シーズンに限られるような波も、ここでは「ほぼ毎日どこかでサーフィンできる」のが当たり前。まさにサーファーにとって夢のような環境です。

さらに魅力的なのは、サーフカルチャーと環境意識がしっかり結びついているところ。サーファーたちは一年を通してビーチクリーンアップを企画したり、サーフスクールでは初心者レッスンの中に環境保護のプログラムを取り入れたりしています。つまりアメリカでは、海を楽しむことと自然を守ることが当たり前のようにセットになっている文化が息づいているのです。

アメリカでおすすめのサーフスポット3選

今回は、筆者がおすすめするアメリカの3つのサーフスポットを紹介します。

1.ハワイ・オアフ島/ハレイワ・ビーチ・パーク

ハレイワ・ビーチ・パークは世界でもトップクラスのサーフスポットとして知られ、冬のシーズンには「ハワイアンプロ」が開催される聖地です。湾の地形により極端に大きな波は少ないものの、迫力あるブレイクを楽しめます。

中級者にとって魅力的なのは、2〜6フィート(約0.6〜1.8メートル)のミドルサイズであれば、波が掘れすぎず、テイクオフもスムーズなので気軽に楽しめる点です。岸に近いインサイドでは初心者も練習可能です。ただし、コンディションによってはサイズアップ時に強いカレントが発生します。十分に注意してセッションを楽しみましょう。

駐車場やファミリー向けの設備も整っており、サーフィンをしなくても楽しめます。近くにはウミガメが見られる「アリイビーチ」や、パワースポットの「バランスロック」もあり、観光とサーフィンをあわせて満喫できますよ。

2.カリフォルニア・サンタクルーズ/プレジャーポイント

プレジャーポイントを含む7マイル(約11km)の海岸線には、世界レベルの波を生む20以上のポイントが点在しています。そのなかでもプレジャーポイントは、リーフの上で割れるロングライトのポイントブレイクとして有名です。

最大の魅力は、1本の波で300メートル以上も乗り続けられるロングライドができること。波は複数のセクションに分かれてブレイクし、テイクオフから始まり次々とセクションを抜けながら、最終的にはインサイドまで滑り込むことができます。ダイナミックで飽きのこないライディングを楽しめるスポットです。

ここは地元サーファーも多く集まる場所。ローカル色が強いので、ルールを守り、フレンドリーな姿勢を心がけましょう。

崖の上で犬と散歩したり、波を眺めながら過ごしたりする人の姿もあり、サーフィンが人々の暮らしに溶け込んでいます。

3.カリフォルニア・ベンチュラ/ベンチュラポイント(Cストリート)

ベンチュラは「ハードコアなサーファーの街」として知られています。ここにはアウトドアブランド「パタゴニア」の本社もあり、社員が仕事の合間に海へ行けるほど、サーフィンと生活が密接に結びついています

Cストリートは北からうねりが入るとロングライドが可能で、ロングボード、ショートボード、SUPまで幅広いサーフィンが楽しめます。小さいときはロング向きのメローな波、大きくなると上級者向けの力強い波に変わるのも魅力です。

また、このエリアは環境保護の取り組みでも有名です。パタゴニアは自社の駐車場の舗装を目の細かい透水性コンクリートに置き換え、雨水を地面に浸透させることで泥や油などの汚れをフィルター層で取り除き、きれいになった水だけが地下に戻る仕組みにしています。

 

アメリカの海を守りながら波乗り!今日から実践できるエコサーフ3選

サーフィンしながら環境に配慮する「エコサーフ」は難しくありません。これらの実践法は、日本はもちろん世界中のビーチでも応用できる内容です。今日からすぐに実践できる方法を紹介します。

1. サステナブルな移動を選ぶ

サーフスポットへ行くときは、公共交通機関を使ったりCO2排出量の少ない手段を選ぶことで移動による環境への負担を減らすことができます。

レンタカーを使うなら、EVやハイブリッド車を選ぶのもおすすめです。カリフォルニアやハワイの主要レンタカー会社では、充電ステーションを併設。かつサーフボードラック付きの車両も提供しています。

また、ノースショア(オアフ島)やサンタクルーズでは路線バスにサーフボードラックが装備されており、ローカルにも人気です。宿泊施設によっては、自転車を貸し出しているところもあります。

我が家では、サーフポイントが近い場所に数日滞在する際は、車に自転車を積んで出かけます。現地では、ビーチへの移動だけでなく、自転車で街を散策するのも楽しみのひとつです。

2. “Leave No Trace”を海で実践

自然を傷つけない原則をサーフィンにも応用しましょう。

  • ゴミは必ず持ち帰る(特にワックスの削りカスに注意)
  • 岩場やリーフの生き物を踏まない・持ち帰らない
  • 混雑時は人数を抑えて譲り合う
  • 海洋生物や海洋動物を尊重する

カリフォルニアの海では、サーフィン中にアシカやオットセイ、イルカなどと出会うことが珍しくありません。私も何度か彼らがすぐそばまで寄ってきたことがありますが、いつも干渉せず静かに眺めるようにしています。

3. 海にやさしいアイテムを使う

エコサーフを始めたいなら、まずは海にやさしいサーフアイテムに切り替えることから始めてみましょう。

ハワイではオキシベンゾンやオクチノキサートなどを含む日焼け止めは販売禁止です。リーフセーフ製品*を選びましょう。

※リーフセーフ製品:サンゴ礁を傷つける成分(オキシベンゾンやオクチノキサートなど)を含まず、海に優しいミネラルだけで紫外線を防ぐ海洋環境への負荷を最小限に抑えた日焼け止め

私のおすすめは 「Thinksport Zinc Oxide Sunscreen SPF 50」。EWG(米国環境ワーキンググループ)の認証済みで安全性も高く、ハワイ州で承認されているリーフフレンドリーな日焼け止めです。

また、多くの市販ワックスは石油が由来ですが、大豆ベースや生分解性素材のものに切り替えれば環境負荷を減らせます

今回は、アメリカ西海岸とハワイからおすすめのサーフスポットを3つ紹介しました。次の旅のプランにぜひ取り入れてみてください。
あわせて紹介したエコサーフの実践法は、今日からでも始められるものばかりです。あなたの小さな一歩が、未来のサーフカルチャーと美しい海を守る大きな力になります。

Kazumi Kawagoshi

ライター

Kazumi Kawagoshi

大学で国際文化・環境を学び、卒業後、小笠原父島で5年間の島暮らしを経験。現在、世界一高いレッドウッドの森と太平洋を望む米カリフォルニア州で21年目の生活を送る。休日は家族とサーフィンやキャンプを楽しんでいる。一児の母。ライター活動を通じ持続可能なくらしや地域文化の魅力を発信中。