韓国・済州島にあるハルラサン(漢拏山)のヨンシル(霊室)コースに登ってきました。このコースは四季折々の美しい景色が楽しめます。山道も整備されて登りやすいので、海外での登山に初めて挑戦する人にもおすすめです。筆者が訪れたのは6月上旬。山肌をピンク色に染めるツツジが咲き誇り、可憐で心癒やされる景色に出会えました。この記事では、アクセス方法や登山準備について、体験記をとおしてヨンシルコースの魅力を詳しく紹介します。
ユネスコ世界自然遺産の名峰「ハルラサン」
韓国・済州島の中央にそびえるハルラサン(漢拏山)は、標高1,950mで韓国の最高峰です。貴重な自然と地形が評価され、ユネスコ世界自然遺産に登録されています。
山全体が国立公園に指定されており、季節の移ろいが感じられる自然の美しさを満喫できます。山頂付近の神秘的な火口湖「白鹿潭(ベンノッタム)」も見どころです。
また、難易度や所要時間が異なる7つのトレッキングコースがあり、初心者から上級者まで自分の体力や目的に合わせて楽しめますよ。
城板岳(ソンパナッ/성판악)コース | 山頂まで行ける人気のあるルート |
観音寺(クァヌンサ/ 관음사)コース | 景色の変化が豊かで、山頂へと続くもうひとつのルート |
御里牧(オリモク/어리목)コース | ウォッセオルムを目指す短めのコース |
霊室(ヨンシル/영실)コース | ツツジと絶景が楽しめる人気の中距離コース |
トンネコ(돈내코)コース | 比較的静かで自然が豊かなコース |
御乗生岳(オスンセンアッ/어승생악)コース | 地元の人にも親しまれる短距離コース |
石窟庵(ソックラン/석굴암)コース | 歴史と自然が調和する静かなコース |
四季折々変化する!ヨンシルコース(영실탐방로)
ハルラサンの登山コースのひとつ、ヨンシルコースの基本情報や魅力を紹介します。
基本情報
距離(往復) | 11.6km |
コースタイム(往復) | 約6時間30分 |
ルート | ヨンシル駐車場→屏風岩(병풍바위)→ウォッセオルム(윗세오름)→南壁分岐点(남벽분기점) |
入山時間 | 夏季(4〜9月) 5:00〜 冬季(10〜3月) 5:00〜 |
ハルラサン天気情報 | 산악날씨(山岳天気) |
ウェブサイト | 한라산국립공원・영실탐방로 (ハルラサン・ヨンシルコース) |
電話番号 | 064-747-9950(霊室支所) |
ヨンシルコースの魅力
ヨンシルコースは山頂下の南壁分岐点まで行くルートですが、途中のウォッセオルムまでなら初心者にも比較的登りやすく、手軽にハルラサンの自然美を楽しめます。
4月下旬〜6月上旬にかけては、ツツジが斜面一面に咲き誇り、まさに絶景。それ以外の季節も、夏の深緑・秋の紅葉・冬の樹氷と四季を問わず変化に富んだ景色に出会えますよ。
ヨンシルコース登山口までのアクセス方法
ヨンシルコースの登山口へは、レンタカー・バス・タクシーのいずれかでアクセスできます。筆者はレンタカーを借りてアクセスしましたが、慣れない韓国での運転に不安がある人は、バスかタクシーを利用することをおすすめします。
レンタカー
韓国の道路は左ハンドル・右側通行です。標識は韓国語表記で交通ルールも異なるため、事前に確認しておきましょう。レンタカーの予約は、事前に日本から手配しておくとスムーズです。
なお、韓国ではGoogleマップの機能が一部制限されているのでナビゲーションには不向きです。代わりに「ネイバーマップ」または「カカオマップ」をあらかじめインストールしておきましょう。
必要書類 | 国際運転免許証・日本の運転免許証・パスポート・予約確認書 |
ナビの設定 | ネイバーマップまたは、カカオマップで「영실매표소(Yeongsil Ticket Office)」または「영실휴게소(Yeongsil Rest Area)」を設定 |
駐車場 | 第1駐車場の中のゲートを過ぎた先にある第2駐車場(영실 제2주차장)が登山口に近くて便利です。第1駐車場からは登山口まで徒歩約40分。 |
駐車料金 | 1,800ウォン |
バス
①済州市外バスターミナル「240番」のバスに乗車し(約50分)、「ヨンシル券売所(영실매표소・Yeongsil Ticket Office)」で下車
②登山口まで徒歩約2.5km(約40~50分)
バス停から登山口までタクシーでアクセスも可能です。(約5〜10分/約10,000ウォン)
タクシー
より快適にアクセスしたい場合はタクシーの利用がおすすめです。
行きの手配方法 | ・ホテルで配車を依頼 ・カカオタクシーアプリ(Kakao T)のアプリで呼ぶ |
帰りの手配方法 | ・下山後、登山口にタクシーがいればそのまま乗車 ・いない場合は、カカオタクシーで呼ぶ |
ツツジが広がる6月のヨンシルコース体験記
韓国・済州島にあるハルラサン(漢拏山)の人気ルート、ヨンシルコースを6月の上旬に歩いてきました。この時期はツツジが咲き誇る季節。日本で事前にYAMAPの地図をスマホにダウンロードして準備万全にします。
飛行機での移動だったため、登山道具はできるだけ軽量・最小限にしました。持参した装備は以下のとおりです。
運動靴・20mLザック・登山ウエア(Tシャツ・長ズボン・長袖シャツ)・レインウエア・折りたたみ傘・必要最低限の救急セット・ヘッデン・手ぬぐい
飲み物と行動食は、現地のコンビニで購入してから出発しました。
ヨンシル第2駐車場〜屏風岩(병풍바위)
済州空港に到着後、シャトルバスでレンタカー会社へ向かい、ヨンシル第2駐車場に着いたのは11:30頃。快晴の日曜日だったため駐車場は混雑していましたが、運よく駐車できました。
トイレと売店があり、装備を整えて12:00に登山スタートです。最初は、よく整備された木道を歩きます。道の脇には小川が流れ、涼しく爽やかな雰囲気。イラスト付きの標識が細かくあり、道の脇にロープも張られているので、道迷いの心配はほぼありません。道中には展望台もあり、広がる山々の風景を楽しめます。
屏風岩〜ウォッセオルム(윗세오름)
手すり付きの木道階段が現れ、登っていくと右手に「屏風岩」と呼ばれる奇岩群が見えてきます。まるで屛風のように広がる岩々の姿は圧巻です。その周辺には、ちょっと見頃は過ぎていましたが、ツツジが一面に咲き誇っていました。
この区間の景色が素晴らしく、写真を撮りながら歩いているとあっとゆう間に時間が過ぎます。途中に展望台(전망대)へ向かう分岐がありましたが、14時までにウィッセオルムのゲートを通過する必要があったので、ひとまずスルーして帰りに立ち寄ることにしました。
ウォッセオルム→南壁分岐点(남벽분기점)
ウィッセオルムには13:35分に到着。無事に時間内にゲートを通過できました。ここから先はゆるやかな木道が続き、視界の先にはハルラサンの頂が見え気分も上がりますよ。
木道を下った先には再びツツジの大群生!鮮やかなピンクに染まる斜面と堂々とそびえる南壁のコラボは見事です。こんな絶景の中で食べるご飯は格別でしたね。
帰路と展望台
南壁分岐点から少し散策をして下山を開始。行きそびれた展望台にも立ち寄り、山肌をピンクに染めるツツジの大パノラマを堪能しました。この日は予想以上に暑く、水分が足りなくなりましたが、途中にあった湧き水で補給できたのはありがたかったです。
登山時の注意点
通過制限時間に注意する
ハルラサンでは安全確保と自然保護のため、コースや季節によって入山・通過・下山の時間に制限時間が設けてあります。時間を過ぎると通過できない場合もあるので注意が必要です。
とくに、ヨンシルコースでは南壁分岐点まで行くには、「ウォッセノルム」を規定時間内に通過する必要があります。時間に余裕をもって、早めのスタートを心がけましょう。
区間 | 冬季(10〜3月) | 夏季(4〜9月) |
登山口入口締め切り | 12:00 | 15:00 |
윗세오름(ウォッセオルム)通過締め切り | 13:00 | 14:00 |
윗세오름(ウォッセオルム)下山締め切り | 15:00 | 17:00 |
天候の急変に備える
ハルラサンは標高が高く、霧が発生しやすい山です。晴れていても天候が一変することもあるので、防寒着やレインウエアは必ず持参しましょう。
水と行動食は事前に準備する
登山口付近の売店で水や軽食を購入できますが、途中にはないので事前に購入しておくとよいでしょう。
ライター
yuki
幼少期からキャンプや釣り、スキーなどを楽しむアウトドアファミリーで育つ。10代後半は1人旅にハマりヨーロッパや北米を中心としたトラベラー期となる。現在もスキー、スノーボード、ダイビングなど海や山で活動中。「愛する登山」は低山から厳冬期の雪山まで季節問わず楽しむhike&snowrideなスタイル。お気に入りの山は立山連峰!Greenfield登山部/部長の任命を受け部活動と執筆活動に奮闘中。