南伊豆ロングトレイル2日目は、テント泊した子浦~松崎までの約25kmのコースを歩きました。自然と人の暮らしが調和する南伊豆らしい魅力を満喫できる行程です。変化に富んだ海岸線や、のどかな里山の風景を楽しめますよ。ルートの途中に崩落箇所があり、事前の情報収集と地図をしっかり確認することの大切さを改めて感じた山行でもありました。2日目の詳細とロングトレイルをして感じた注意点などを紹介します。

1日目の様子はこちらから

【南伊豆ロングトレイル(テント泊)①】石廊崎~松崎町へジオの鼓動を歩く44kmの冒険
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【day2】歩くほどに深まる南伊豆の魅力!子浦漁港~松崎

南伊豆ロングトレイル2

南伊豆ロングトレイルの2日目は小休憩・昼食込みで約11時間半を歩く長い行程です。

2日目ルート

子浦漁港~落居口(子浦日和山遊歩道)→高通山→千貫門海岸遊歩道→烏帽子山→雲見海岸→三浦歩道(さんぽほどう)→岩地歩道→松崎

子浦漁港~落居口(子浦日和山遊歩道)

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前日は歩き疲れて22時前には爆睡。朝は5時30分に、朝焼けに照らされながら出発しました。漁港では早朝から釣りを楽しむ人がいて、海を覗いて見ると透明度が高く、魚が泳ぐ姿も見られました。

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漁港の端から登山道の入り口があり、子浦日和山遊歩道へ。歩き始めて5分ほどのところに『子浦三十三観音』と呼ばれるさまざまな表情をした石仏が並んでいます。浸食で崖がえぐられてできた半洞窟や、海底火山の噴火によって発生した土石流の地層も見どころです。

日和山へ続く芝生の道は気持ちよく、妻良(めら)湾や漁港が一望できます。ベンチがあったので絶景のなか小休憩しました。慈母(じぼ)観音を通り過ぎ坂を下りきるとロードに出ます。

落居口~高通山遊歩道入り口

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本来は落居(おちい)~波勝崎(はがちざき)遊歩道の山道を歩く予定でしたが、波勝崎~高通山(たかとおりやま)へ縦走する道が崩落により完全に通行止めになっていたため、『マーガレットロード』を歩いて登山口まで向かうことにしました。

登山地図でしっかりチェックしていたおかげでスムーズに別ルートを確認できましたが、見落としていたらかなりの時間ロスになっていたと思います。標識だけに頼らず、事前の確認や地図でのチェックが大切だと実感しました。

マーガレットロードは名前のとおり、いろいろな色のマーガレットで彩られていた道です。高通山遊歩道に入るまでは、ロードも山道も整備され歩きやすい行程が続きます。途中で畑を耕している地元の方から、伊豆の名産サマーオレンジと甘夏をいただきリフレッシュできました。南伊豆最南端を過ぎ、ほどなくして高遠公園に到着です。

高通山遊歩道入り口~千貫門遊歩道(雲見)

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登山口は公園になっており、きれいなトイレや休憩する場所もあるので出発前にの準備を整えるに便利です。高通山は標高519mと低山ですが、山頂からは西伊豆の海岸や富士山も眺められます。

山道は常緑樹に覆われ、途中に猿岩と呼ばれる巨石が点在し、自然の造形を楽しみながら歩けますよ。

千貫門遊歩道(雲見)~鳥帽子山

南伊豆ロングトレイル2

川沿いにある橋を渡ると、千貫門(せんがんもん)歩道の入り口です。200mほどの階段を登りさらに200mほど下っていきます。高台から見下ろす景色は海の美しさが際立ち、何度も足を止めたくなる眺めでした。途中には崩落箇所があり、落石に注意しながら通過しました。

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ごろごろした石が広がる海岸を左手に進んでいくと、高さ30mくらいある千貫門の『海蝕洞門(かいしょくどうもん)』が姿を現します。『海の鳥居』とも呼ばれ、浅間神社の門に見立てられています。

右手にはこれから登る標高164mの烏帽子山(えぼしやま)が聳え立っています。地殻変動などでマグマの通り道が隆起したもので、尖った山容が特徴的です。これからあの頂を目指すと思うと、ワクワクした気持ちが込み上げてきました。

鳥帽子山~雲見海岸

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烏帽子山の登り口は、雲見浅間神社(くもみせんげんじんじゃ)駐車場の横です。まずは、目の前に見える130段の階段を上ります。途中には立派な『夫婦松の御神木』と呼ばれる巨大な松の木が見られ、自然の力強さを感じました。階段を上がりきると『雲見浅間神社の拝殿』に到着。まずはここでお参りをします。

その後にはさらに、320段の階段が続きます。石段は急で不安定なうえに、落ち葉などが覆いかぶさり滑りやすい箇所もあるため、手すりにつかまりながら上がりました。登った先には、風情のある中之宮が静かに佇んでいます。

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ここからはいよいよ山道の始まりです、ゴツゴツした火山岩が転がっているので慎重に登ります。10分ほどで本堂と山頂に到着。展望台からは360度の美しい絶景が広がります。千貫門や歩いてきたルート、駿河湾越しの富士山も見え感動しました。

下山の途中、拝殿から分岐ポイントの先には海が見えるビューポイントがあります。芝生に腰を下ろせるスペースもあったので、昼食をとってから雲見海岸へ向かいました。

雲見海岸~三浦歩道~岩地歩道

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雲見海岸の見どころである『牛着岩(うしつきいわ)』を通り過ぎると、三浦歩道(さんぽほどう)のスタートです。三浦とは岩地・石部・雲見の3浦を総称した呼び名で、バスが開通するまでは生活路として利用されていました。

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途中には『三競展望台』や『黒崎展望所』があり、展望デッキからは黒崎や荻谷崎などが一望できます。雲がなければ富士山も見えるスポットですよ。

岩地歩道~松崎

荻谷トンネルを抜けると岩地歩道の案内が現れます。1.1kmの周回コースで右回り・左回りと回り方は自由です。筆者たちは茂みにザックをデポして左回りでスタートしました。

南伊豆ロングトレイル2

中間地点には『荻谷海岸』があり、透明度の高い海と岩礁の造形美に癒やされ疲れも吹き飛びました。東屋の周りには花が咲き誇り、思わずのんびりしたくなるような場所です。天気に恵まれれば富士山も望めますよ。その先にある展望台からは、烏帽子山や黒崎などが一望でき素晴らしい眺望です。

南伊豆ロングトレイル2

ここからは松崎港までロードをひたすら歩きます。ほぼ下り坂なので、最後の力を振り絞って進みました。松崎の漁港が見えてくると「あと少しだ!」と気持ちが高まります。

駐車場へ向かう途中に立ち寄った『松田甘泉堂』のイチゴ大福は、疲れた体に染みわたるおいしさでした。松崎の駐車場に到着したのは午後5時。『伊豆まつざき荘』でゆっくり温泉につかり、歩ききった疲れを癒やしました。夕方の松崎の空は赤く染まり、美しい夕日が広がっていました。

もともと松崎でお寿司を食べて締めくくる予定でしたが、満場一致で「焼肉が食べたい!」ということになり、帰り道に見つけた『焼肉食堂』へ。初めてのロングトレイルを無事に歩ききった達成感も相まり胃も心も満たされました。

ロングトレイルをして感じた注意点

南伊豆ロングトレイル2

初めてのロングトレイルで下調べや準備はしっかりしていたため、困ったことはありませんでしたが「きちんとやっておいてよかった」と思う点がいくつかあったので共有します。

水・食料の補給場所とトイレの確認をする

テント装備の長距離は体力的に不安があったため、食料や水は普段食べる量を計算して最低限にとどめて持っていきました。しかし実際に歩いてみると、いつも以上にお腹が空き、少しですが2日目の行動食を1日目に食べてしまいました。2日目は行程が長かったため、事前に調べておいた商店で買い足しました。水と食料の補給場所の大切さを身をもって感じましたね。

また、トイレは地図上にのっている以外でも公衆トイレがありました。事前にブログなどで調べておくとより余裕をもって行動できるでしょう。

最新のルート情報と登山アプリはチェックする

トレイルのルートは、土砂崩れなどの自然災害や工事でルートを変更しなければいけない場合があります。今回も通行止めにより別ルートを余儀なくされました。

もし、標識だけに頼っていたら大幅なタイムロスとなり日が暮れていたでしょう。出発前には必ずネットなどで最新の情報を確認し、地図やアプリでルートのチェックをしておくことが大切です。

南伊豆ロングトレイル2日目のレポートと注意点を紹介しました。初めてテン泊装備で長距離を歩いたことで、体力面での自信がつきました。また、日帰りや通常の登山テン泊とは異なり、荷物の重さや持ち物の配分など多くの学びがありました。今回は1泊2日の行程でしたが、次回はさらに日数を伸ばしてチャレンジしたいと思います。南伊豆ロングトレイルは歩きやすいコースなので、ぜひ挑戦してみてくださいね。

yuki

ライター

yuki

幼少期からキャンプや釣り、スキーなどを楽しむアウトドアファミリーで育つ。10代後半は1人旅にハマりヨーロッパや北米を中心としたトラベラー期となる。現在もスキー、スノーボード、ダイビングなど海や山で活動中。「愛する登山」は低山から厳冬期の雪山まで季節問わず楽しむhike&snowrideなスタイル。お気に入りの山は立山連峰!Greenfield登山部/部長の任命を受け部活動と執筆活動に奮闘中。