春から夏のレジャーに欠かせない日焼け止めは、実は海の生態系に影響を与えているといわれています。そこで注目を集めているのが、環境に配慮し肌にも優しい一石二鳥の効果があるもの。今回は、日焼け止めが環境に与える影響やその理由、環境にも人にも優しいおすすめの日焼け止めを紹介します!

日焼け止めは環境によくないの?

環境配慮 日焼け止め

海水浴やマリンスポーツを楽しむ際に、誰もが当たり前に使う日焼け止めですが、海の生態系に深刻な影響を与えています。

日焼け止めに含まれる特定の化学物質が、サンゴ礁の白化現象を引き起こしているのです。サンゴの白化現象とは、ストレスによってサンゴが体内で共生する藻類を放出し、白く変色してしまう現象。最悪の場合、サンゴは死にいたり、海の生態系全体に影響を及ぼします。

日本経済新聞によると、年間約14,000トンもの日焼け止めが世界中の海に流れ込んでいるともいわれています。

また、海に悪影響を与える成分は、私たちの肌にも負担をかけていることがわかっています。特に、多くの日焼け止めに使用されている紫外線吸収剤は、肌荒れやかぶれの原因になるケースが多いのです。

最近では、環境や肌によくない成分を含む日焼け止めを規制する動きも。パラオでは2020年から、ハワイでは2021年から、環境に有害な成分を含む日焼け止めの販売・持ち込みを禁止する法律が施行されています。

環境に優しい日焼け止めの特徴

環境配慮 日焼け止め

次に、環境に優しい日焼け止めの特徴を紹介します。

1.紫外線散乱剤を使用している

環境に配慮した日焼け止めの1つ目の特徴は、紫外線散乱剤を使用していること。紫外線散乱剤とは、名前のとおり紫外線を物理的に反射させる成分です。化学反応による分解や変質を起こさないため、サンゴ礁などの海の生態系に悪影響を与えにくく、環境への負荷が小さいといわれています。

環境に優しいのはもちろんですが、紫外線散乱剤を含む製品は肌荒れのリスクが低減されるともいわれるため、敏感肌の方にとってもおすすめです。従来は、紫外線散乱剤を含む製品は白浮きしやすいというデメリットがありましたが、最近の製品は肌馴染みのいいものが販売されていますよ。

ただし、日焼け止めを選ぶ際は、自分の肌質に合うかどうかをパッチテストで確認して購入しましょう。

2.紫外線吸収剤を使用していない

2つ目の環境に配慮した日焼け止めの特徴は、紫外線吸収剤を使用していないことです。紫外線吸収剤は海に流出すると、サンゴの成長を妨げ、白化現象の引き金となることも。

紫外線吸収剤を使用していない製品は、化学物質を含んでいないため「ノンケミカル」と表示して販売されています。化学物質がないことで、敏感肌の人や小さな子どもも安心して使えるのが魅力的なポイントです。

3.ナノ粒子を含んでいない

環境に配慮した日焼け止めの3つ目の特徴は、ナノ粒子を含んでいないことです。ナノ粒子とは、直径1〜100ナノメートルという極小サイズに加工された成分のこと。

ノンケミカルな日焼け止めの主成分である紫外線散乱剤は、白浮きしやすいという課題があるため、ナノ粒子化することで白浮き問題を解決できるメリットがあるのです。

しかし、ナノ粒子は肉眼で見えないほど小さいため、サンゴに簡単に吸収されてしまい、生態系にダメージを与えるリスクがあるといわれています。また、身体への影響についても、安全性が完全に確立されていないという側面も。

環境にも肌にもいい日焼け止めを選ぶ際は、「ナノ粒子不使用」と明記されたものを探してみましょう。

環境に配慮したおすすめの日焼け止め3選

環境配慮 日焼け止め
出典:STATICBLOOM ONLINE STORE

続いて、環境や肌に優しいおすすめの日焼け止めを3つ紹介します。

1.海で、日やけ止め。/森で、日やけ止め。(森海谷)

1つ目は、東京都あきる野市のアウトドア企業が手がける「海で、日やけ止め。」と「森で、日やけ止め。」。海と森で使うのにぴったりのアウトドア好きの方のために開発された日焼け止めです。

製品は、紫外線吸収剤ではなく、紫外線散乱剤である酸化亜鉛を使用。また、自然に分解される原料をできる限り採用しているため、海や森の生態系を守ることにもつながっています。

環境だけでなく肌にも優しいのがポイント。合成界面活性剤や防腐剤を使っておらず、石鹸で簡単に洗い落とせるため、敏感肌の人も安心です。

ナノ粒子不使用でありながら、紫外線散乱剤のデメリットである白浮きが抑えられているのもうれしいポイント。海や森でのアウトドア活動を楽しむ人や、敏感肌の人に特におすすめです。

2.サンスクリーンバター(ALL good(オールグッド)

2つ目は、オーガニック認証を取得した成分のみを使用している「サンスクリーンバター」。

日焼け止めの成分はたった6種類で、ナノ粒子やマイクロビーズなどの化学物質を一切使用していないため、環境への負荷は最小限。成分だけでなく容器もプラスチックフリーで、環境負荷を減らす工夫がなされています。

また、サンスクリーンバターは、オーガニックココナッツオイルをベースにしており、肌にも優しめ。SPF50+と日焼け止めとしての効果も期待でき、落ちにくいため、アウトドアにぴったりです。

強い日差しからしっかり肌を守りたい人や、オーガニック製品を好む方におすすめです。

3.ノンケミカルUVミルク(ママベビー )

3つ目は、100%自然由来の成分からつくられた「ノンケミカルUVミルク」。

ノンケミカルUVミルクは、紫外線吸収剤や石油系界面活性剤を一切使用していないため、海の生物やサンゴへの悪影響がほとんどありません。石鹸だけで簡単に落とせるので、クレンジング時の環境負荷も少なくて済みますよ。

また、ノンケミカルUVミルクは、環境だけでなく、肌への配慮もされています。ノンケミカルであるにもかかわらず、肌になじみやすく白浮きしづらいのがうれしいポイント。アトピー素因肌テストもクリアしているため赤ちゃんから大人まで安心して使用できます。

海のレジャーへ行く人や、敏感肌やアトピー肌の方などにおすすめの製品です。

化学物質が含まれる日焼け止めは環境負荷が大きいため、紫外線吸収剤の不使用、ナノ粒子を含まないなど、今回紹介したような環境に配慮した日焼け止めを選ぶことで、美しい海の未来を守ることにつながります。次回の海水浴やアウトドア活動では、ぜひ環境に配慮した日焼け止めを試してみてはいかがでしょうか。

参考サイト:
サンゴにやさしい日焼け止めは? 人も地球も守る選び方|日本経済新聞
その日焼け止め大丈夫? 海に優しいエコな日焼け止めの選び方。 | Vogue Japan
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エレナ

ライター

エレナ

フリーランスライター。学生時代の海外ボランティアをきっかけにSDGsやエシカルに興味を持つ。主にSDGs、英語学習、留学、旅行について執筆。リフレッシュには自然の中でのんびり過ごすのが好き。