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最近キャンパー同志の交流アイテムとして、ひそかにブームとなっているのが「キャンプステッカー」通称キャンステす。今回はその人気の背景と楽しみ方、作り方のコツなどについて、レポートいたしました。

キャンパーたちが築き上げたキャンステの聖地

ソロキャンパーのコミュニティで広がる「キャンステ」の輪

西湖津原キャンプ場の管理棟受付入口

山梨県にある西湖津原キャンプ場の受付入口の扉には、ところ狭しとステッカーが貼ってあります。色とりどりのステッカーは、個性豊かで同じデザインは1つとありません。

津原キャンプ場の管理人である渡辺学さんにお話をうかがったところ、数年前から訪れたキャンパーたちが『コレ貼ってもいいですか?』と声をかけてくれるようになったとのこと。

その後1つ2つと増えていき、気がついたときには扉がステッカーで埋め尽くされ「キャンステの聖地」と呼ばれるようになっていたとのお話です。

「キャンステ」=キャンパーオリジナルの名刺

ソロキャンパーのコミュニティで広がる「キャンステ」の輪

キャンパーたちの個性が光るキャンステ

このステッカーは「キャンプステッカー」通称「キャンステ」と呼ばれているもので、キャンパー1人ひとりが制作したオリジナルステッカーです。

かなり前から存在したアイテムのようですが、お気に入りのギアに貼ってキャンパー固有の世界観を効果的に演出したり、クルマに貼って楽しんだりすることで使われるのが定番でした。

それが、ソロキャンパー同士の交流に場で使う名刺代わりのアイテムとして、コロナ禍でのソロキャンブームで急速に広がったのです。

個人のアイデンティティにもなっているキャンステ

SNSのアイコンにもなっている「ジムパパ」さんのキャンステ

このブームのはじまりについて教えてくれたのは、西湖津原キャンプ場をホームにしているキャンパーの1人、ジムパパさん(通称ジムさん)。毎年開催(2024年は年2回を予定)されている100人規模のグループキャンプ「さいキャン」の主幹でもある人です。

『西湖津原キャンプ場を盛り上げたいという思いから、「さいキャン」のキャンパーたちみんなで考え、キャンプ場に訪れたときに管理棟入口の扉にキャンステを貼ったのが始まりです』(ジムさん)

「さいキャン」に集まるキャンパーの多くは、XやInstagramを利用してキャンプの情報を発信しながら、個人で活動しているキャンパーたちが中心でした。彼らがネットの世界を超えてキャンプ場でリアルに出会い、友情の証としてキャンステを名刺代わりに交換をはじめ、急速に広まったのです。

ジムさんがキャンステに出会ったのは、コロナ禍よりも少し前、他の人のSNSの投稿を通してのことです。そのとき「これは今後ブームになるかもしれない」と感じ、自分も作ってみたいと思ったのがきっかけでした。

『当時ジムニーに乗っており、名前はSNSでのアカウント名の「ジムパパ」で作ってみようと考え、ビジュアルもジムニーにしました。ジムニーからデリカに乗り換えた今でもこのジムニーのアイコンを継続して使用しています』(ジムさん)

ジムさんがSNSをきっかけにリアルに知りあった仲間たちと交換したキャンステは、今や200枚以上にのぼります。最近ではジムさんのキャンステを見るだけで「あっ、ジムさんだ!知ってる!」と声をかけられることも。キャンステはジムさん個人やSNS上でのアイデンティティになっているとのことです。

「キャンステ」デザインの特徴は?

さて、たくさんのキャンステを見ていると、キャンステ作りの傾向がわかってきます。ここでは、筆者が気づいた「キャンステの特徴」を3点、順番に紹介していきたいと思います。

①キャンステには「キャンプネーム」が書かれている

1番大きな傾向は、キャンステには本名以外の名前が書かれているという点です。キャンパー同士の交流に使われる「キャンプネーム」(子どもたちの林間学校や自然体験教室などの組織キャンプで使われている自分で決めた「ニックネーム」のようなもの)が書かれているものが大半です。みなさん、自分の気に入った名前をつけている様子です。

②キャンステには「SNSアカウント情報」が書かれている

2つ目の傾向は、匿名性の高いSNSのアカウント名や、アクセス情報が入っている点です。ネットで知り合い、名刺代わりに使われるのですが、そこに記入される連絡先は携帯電話メールアドレスなどの個人情報ではなく、XやInstagramなどのアカウント情報です。SNSのDMを使ったやりとりなら初対面の人とも気軽に交換できますね。

③キャンステには自分を表現する「イラスト」が入っている

3つ目の傾向は、ビジュアルデザインとして写真ではなく、自分のキャンプスタイルを伝えるために、何かしらのイラストをステッカーに取り入れている方が多いということです。ジムさんは、愛車のイラストを取り入れていましたね。似顔絵などを入れている方も複数いらっしゃいました。

キャンステを実際に作ってみよう!

ソロキャンパーのコミュニティで広がる「キャンステ」の輪

「ふぃすデザイン」Instagramで紹介されているキャンステの数々

最後に「キャンステの作り方」について、解説していきたいと思います。ここでは、ココナラやInstagramで活躍中のステッカーデザイナー「ふぃすデザイン」さんにキャンステ制作のポイントを教えていただきましたので、ぜひ参考にしてみてください。

①キャンステに入れる文字を決める

キャンステに入れるキャンプネームやSNSのアカウント情報を準備します。PCや携帯のメモアプリなどでテキストにまとめておくと、あとで貼り付けが簡単にできます。

『キャンステのデザインで人気があるのがSNSに直接アクセスできる「QRコード入り」ですが、その場合は自身のSNSページも準備しておく必要があります。ぜひ取り入れてみてくださいね』(ふぃすデザインさん)

②キャンステのコンセプトを考える

自分のキャンプスタイルをどのようなイメージにしたいか考えてコンセプトをまとめます。

『コンセプトがまとまらないときは「主役」を決めるといいと思います。たとえば、ワンコと一緒のキャンプスタイルだったら、ワンコを主役にコンセプトをまとめ、デザインするといいですよ』(ふぃすデザインさん)

③キャンステのデザインを考える

手書きでもいいので自分のキャンステのイメージを実際に描いてみよう。ある程度、イメージができたら、実際にPCのイラストソフトなどを使ってデザインします。

『「絵が苦手」「デザインがよくわからない」人は、スキルマーケットなどを利用してザイナーに依頼し、相談しながら自分の好きな絵柄を考えるといいですよ』(ふぃすデザインさん)

④シール素材に印刷しステッカーを作成

デザインデータが完成したらシール素材を選び、プリンターで印刷し、ステッカーを作成します。

『雨にぬれても大丈夫なように、水などに強いラミネート素材を選ぶことをおすすめします』(ふぃすデザインさん)

自分でも実際にキャンステのイメージをイラストに書いてみましたが、まったくうまく書けませんでした。そういう人は、最初からデザインのプロに依頼をした方がよいかもしれません。

ソロキャンパーのコミュニティで広がる「キャンステ」の輪

西湖津原キャンプ場では公式HPにも「キャンステ広場」を開設

今回の「キャンステ」レポートいかがでしたでしょうか。私も取材を通して、キャンステの使い方をいろいろ知り、自分専用のキャンステを作って、キャンプ場で知り合った方々と気軽に交換してみたいと思っています。私の場合は絵があまり得意ではないので、イラスト作成の段階からデザイナーさんにお願いしようと考えています。自分専用のオリジナルキャンステができたら、もう一度キャンステの聖地へ出かけて貼ってみたいと思います。みなさんもぜひ素敵なデザインのキャンステを作ってみてくださいね。

取材執筆:上野佳代子 ジャーナリスト
取材協力:西湖津原キャンプ場

ライター

Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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