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初心者でも簡単な飯盒炊飯のやり方
初心者も迷わずにできる飯盒炊飯の基本を解説します。飯盒炊飯は焚き火を使ってもできますが、今回は火力調節が簡単なバーナーでの炊き方をチェックしていきましょう。
①計量カップでお米を計量する
まずは計量カップでお米の量を計量します。お米用の計量カップがなく、シェラカップなどを使用する場合は、180mLでお米1合分と覚えておきましょう。
もし計量カップを持参していなかった場合は、一般的な「兵式飯盒」(そら豆のような形の飯盒)を利用してお米を計量できます。使用するのは飯盒の中蓋と外蓋です。中蓋すり切り1杯で2合、外蓋すり切り1杯で3合とされています。
- 外蓋にすり切り1杯のお米を入れ、外蓋に入ったお米を中蓋がいっぱいになるまで入れる。
- 3合-2合で、外蓋のなかに残ったお米1合分に。
あらかじめ炊飯する量が決まっているならば、家を出る前にジップロックなどに小分けにしておくと、計量の手間がかからず楽ですよ。
②お米を研ぐ
炊飯するお米を計量したら、飯盒にお米と水を入れてお米を研ぎましょう。水が少ないほうが研ぎやすいので、水量はお米が浸かるか浸からないかくらいにします。
米ぬかで白濁した水の色が薄くなるまで、2〜4回水を入れて研ぐ、水を捨てるを繰り返し、最後はしっかりと水を切っておきましょう。
③お米に水を入れる
お米を研ぎ終わったら、飯盒に炊飯用の水を入れましょう。お米1合~4合までの水分量は以下のとおりです。
- 1合:200mL
- 2合:400mL
- 3合:600mL
- 4号:800mL
飯盒によっては、内側に水分量の目盛りが2合と4合の位置に刻まれているものもあります。
④お米を浸水させる|夏:約30分・冬:約60分以上
お米の量にあわせた水を入れたら、夏場は30分ほど、冬場は60分以上お米を水に浸しましょう。お米の浸水スピードは水温が高いと早くなり、低いと遅くなる傾向があります。そのため、寒い時期ほど浸水時間が長くなります。
ただし、お米の浸けすぎは禁物。お米は浸けてから約2時間で水の吸収が飽和状態になります。それ以上浸けてもおいしくはならず、浸けすぎると傷むおそれがあるため、浸ける時間は2時間以内にとどめるようにしてください。
夏場は水に浸けた飯盒を日陰の風通しのよい場所に置きます。水に浸けたお米が外気であたたまると、雑菌が繁殖する原因になるので注意しましょう。
お米にしっかりと水を吸水させれば、ふっくらとおいしく御飯が炊けるでしょう。あせってすぐに炊飯をせず、じっくりと浸水時間を取ることが大切です。
⑤火をつけて炊飯する
お米を水に浸したら、いよいよ炊飯開始です!バーナーの火を弱火にして、上に飯盒をのせましょう。
登山用のシングルバーナーを使用する場合は、安定感が悪いので注意が必要です。炊飯中に飯盒が倒れないよう、五徳の上にしっかりと飯盒がのっているかを確認しましょう。
炊飯のポイント①沸騰するまでは弱火~中火
飯盒を火にかけたら、弱火で5分加熱して、お米にじっくりと火を通しましょう。
途中で中火にして5分加熱し、ぐつぐつという音がしはじめてしばらくすると、外蓋から蒸気が噴き出します。それが沸騰の合図です。
沸騰したら、飯盒の上に石などの手頃な重しを乗せることも忘れずに。そのまま放置すると、吹きこぼれて外蓋が外れてしまうことがあります。重しをのせたら、強火にしてさらに5分加熱しましょう。
加熱時間はトータルで15分程度です。ただし、沸騰するまでの加熱時間は時間通りにはいかない場合もあるので、目安として捉えてください。お米の量・当日の気温・風の状況により、5分以上かかるケースがあります。
炊飯のポイント②飯盒を下ろすタイミング
沸騰後、弱火から中火くらいの火力にしたら、そのあとは目と耳と鼻を使って、飯盒の様子をしっかりと観察しましょう。時間通りにはいかないこともあり、自分の感覚を頼りにするのも大切です。
はじめのうちは飯盒のなかからぐらぐらと水が沸騰する音がし、外蓋の隙間からは蒸気が多く立ち上り、米が炊けるよい匂いがします。この段階は飯盒のなかにまだ水分が多く残っている状態です。
飯盒のなかの水が蒸発すると、立ち上る蒸気が白煙になり、煙の量が減っていきます。ちりちりとした音が飯盒のなかから聞こえ、しばらくして焦げた匂いがしはじめたら頃合いです。
このまま放置するとお米が必要以上に焦げてしまうため、火を止めて飯盒をバーナーから下ろしましょう。おこげを作るときは、最後に10秒ほど強火にかけてみてください。
飯盒を火から下ろすタイミングは経験が必要ですが、何度か炊飯をするうちにコツがつかめてくるでしょう。序盤にじっくりと弱火で火を通しておけば、火から下ろすタイミングを逃してしまっても、そうそう失敗しないはずです。
⑥火から下ろして蒸らす
皮手袋などの耐熱グローブをはめ、飯盒を逆さにして地面に置き、お米を15分程度蒸らします。しっかりと蒸らすことで余熱でお米の芯に熱が伝わり、おいしくふっくらとお米が炊けますよ。
⑦天地返しをして完成
蒸らしが終わったら、天地返しをしましょう。天地返しとはご飯を底のほうから返し、ご飯に全体の水分をなじませる作業です。
しゃもじやスプーンなどを水に濡らし、端から垂直に入れて、底からご飯を返してほぐしましょう。ご飯がつぶれないように手早く混ぜるのがポイントです。これでおいしいご飯ができあがります。
飯盒炊飯についてはこちらの記事もぜひチェックしてみてください。
飯盒炊飯で必要な道具
飯盒炊飯に必要な道具を紹介していきましょう。
飯盒
飯盒炊飯はこれがなくてははじまりません。一般的な飯盒は飯盒本体・中蓋・外蓋のパーツで構成されており、蓋と本体の素材はアルミ製です。アルミは熱伝導率がよく、ご飯がおいしく炊けますよ。
飯盒には大きく分けて3種類の形状のものがあります。それぞれの特徴は以下の通りです。
兵式飯盒
ヨーロッパで軍の装備品として使われていた飯盒ですが、日本ではそれに改良を加え、兵式飯盒が生まれました。別名、戦闘飯盒とも呼ばれます。
兵式飯盒はお米をうまく炊くのに適した飯盒です。一般的なものは米4合炊きの容量があり、本体の内側に米2合・米4合で炊飯する際の水量の目安が刻印されているため、水の計算が簡単にできます。
また、そら豆のような形が特徴で、火力にムラのある焚き火での炊飯でも、対流効率を上げてお米全体に均一に熱を伝えられます。上部に付属したつるは、加熱調理の際に飯盒を動かしたり、焚き火の上に吊るしたりする際に便利です。
角型飯盒
角型飯盒は名前の通り、角型の飯盒のことです。兵式飯盒のように上に吊るすためのつるが付属しており、本体・中蓋・外蓋の3つのパーツにわかれます。
ただし、現在主流のタイプは、長方形の形状でフライパンのような柄がついているものです。こちらは本体と外蓋の2つのパーツで構成されるシンプルな形状になっているのが特徴で、キャンパーに人気のメスティンなどがこれにあたります。
ご飯を炊けるだけでなく、煮る・焼く・揚げるなどの調理もしやすいのが魅力です。メスティンタイプの角型飯盒は、ダイソーなどの100円ショップでも手に入るので、はじめて購入する飯盒としてもおすすめです。
丸型飯盒
円筒の形状をした飯盒です。つるが上部に付属しており、本体・中蓋・外蓋の3つのパーツでできています。
熱が均一に伝わる形状で、初心者でも炊飯しやすいのが魅力です。
計量カップ
お米用の計量カップがあれば、お米1合分を正確に計量できます。キャンプでは計量カップの代わりにシェラカップを使用すると便利です。シェラカップを使う際は、100mL・200mLなどの目盛りがあるタイプを選びましょう。
シングルバーナー
飯盒炊飯には、ガス缶を使用して、アウトドアでお湯を沸かしたり、調理に使ったりするシングルバーナーがおすすめです。
炊飯には、五徳が大きく、高さは低めのものがよいでしょう。少々かさばりますが、家で鍋をするときなどに使用するカセットコンロが適しています。
もちろん、山岳用のコンパクトなシングルバーナーでもOKです。ただし、軽量化のため五徳が小さいものが多く、安定感が悪くなりがちです。使用の際は、炊飯中に飯盒が上から落ちないよう注意する必要があります。
耐熱グローブ
キャンプで火を扱う際に使用するグローブは欠かせません。耐熱グローブは、牛革やアラミド繊維などの熱を通しにくい素材が使用されているのが特徴。熱や汚れから手を守るため、焚き火やBBQの際に便利なアイテムです。
飯盒炊飯中は、飯盒の位置を変えたりバーナーから飯盒を下ろしたりする際に、耐熱グローブを使えば作業中の火傷のリスクを減らせるでしょう。
ウインドスクリーン
ウインドスクリーンとは、バーナーや焚き火の炎を風から守るアイテムです。おもにステンレスやアルミなどの素材でできており、折りたたんで収納が可能です。
アウトドアで調理をしていると、風が強く吹いてバーナーの火が消えてしまったり、火が風にあおられたりで思うように調理できないことがあります。ウインドスクリーンをバーナーの周りに設置すれば、風が遮られ、調理に集中できますよ。
大きめのタオル
炊飯を終え、お米を蒸らす際に大きめのタオルがあると便利です。飯盒をそのまま放置して蒸らすと、冬場などはなかのお米が冷たくなってしまうからです。
火からおろした飯盒をタオルでくるんでおけば、飯盒の内側の熱を逃がさず、あたたかいご飯が食べられます。飯盒の外側には煤や吹きこぼれた米汁がついているので、汚れてもよいタオルを用意しましょう。
飯盒炊飯の際の注意点
飯盒炊飯をする上での注意点をお伝えします。
必ず耐熱グローブをつける
火にかけた飯盒は非常に高温です。炊飯は必ず耐熱グローブをつけて行いましょう。火から下ろす、蓋をあけるなどの作業は、火傷をしないように十分注意してください。
使用後はきれいに掃除する
使用した飯盒は毎回、きれいに掃除しましょう。内側についたお米を放置すると、こびりついて頑固な汚れになり、雑菌が繁殖する原因になります。
こびりついたお米は、時間がたつほどに落としづらくなってしまいます。炊飯が終わったら、なかのお米をほかの容器に移し、できるだけ早く水を入れるようにしてください。
水を入れておけば、こびりついたお米がふやけてはがれやすくなります。そのまま再度火にかけてぐつぐつと煮込めば、たいていの汚れは落ちるでしょう。
もし炊飯の際に焦がしてしまい、内側が真っ黒になってしまったら、大さじ1〜2杯の酢を水に入れて沸かすのもおすすめです。火をとめて冷めるまで放置しておけば、焦げつきがとれやすくなりますよ。
また、炊飯中に吹きこぼれたお米の汁が表面に焦げつくことや、薪を使えば真っ黒な煤が付着することもあるでしょう。以下では、飯盒の外側の汚れの防ぎ方を紹介します。
- 飯盒の外側にあらかじめ石鹸水や水で溶いた洗剤を塗っておく
- 炊飯後は表面を水で流しつつ、スポンジでさっと洗う
通常、焦げつきや煤は、金たわしなどでゴシゴシと時間をかけてこすらなければ落ちません。そこで、あらかじめ飯盒の外側を石鹸水や洗剤でコーティングしておけば、汚れはコーティングの上に付着することになります。このひと手間で掃除の時短になるのでぜひお試しください。
新品は使用前に火にかける
新しく購入した飯盒を使う場合、炊飯をする前に濃い目のとぎ汁を入れて、1時間ほど沸かしておきましょう。沸騰させたあとは、全体が冷めきってから内側をしっかりとゆすぎます。
炊飯前にこの作業を行っておくと、内側が目に見えない膜でコーティングされます。これにより、焦げ付きと金属臭がお米に移るのを防止できますよ。
ちなみに、あらかじめアルマイト加工やテフロン加工が施されているタイプの飯盒は、焦げ付き防止の機能があるため、購入してすぐに使用しても問題ありません。
慣れるまではバーナーで炊飯する
飯盒炊飯は焚き火とバーナーのどちらを使ってもできますが、炊飯に慣れるまではバーナーを使用したほうが失敗が少ないでしょう。バーナーは焚き火と比べて火力調節が簡単に行えます。
焚き火での炊飯はよりキャンプ感を味わえるのが魅力。薪の量を調節したり、飯盒を置く位置を変えたりと火力調整の手間がかかる分、炊き上がったときの感動も格別です。飯盒炊飯に慣れてきたらぜひトライしてみてくださいね!
飯盒炊飯を利用したおすすめ料理
飯盒を利用したおすすめ料理をご紹介します。
イワシの炊き込みご飯
イワシの缶詰と調味料を一緒に炊飯するだけで、絶品のイワシの炊き込みご飯に!手間がかからない簡単レシピです。
- お米:2合
- イワシの缶詰:1缶(サバの缶詰やサンマの缶詰でもよい)
- 酒:小さじ1
- 醤油:小さじ1
- みりん:小さじ1
- 顆粒だし:小さじ1
- あさつき:お好みで
- 水:400mL
作り方
- お米を研いで水を切る
- お米と水400mLを飯盒に入れ、浸水させる
- 酒・醤油・みりん・細粒のだしの素・缶詰の中身を加える
- 普通の炊飯と同じようにご飯を炊く
- 炊飯中に万能ねぎを小口切りして細かくしておく
- でき上がったご飯に万能ねぎを散らして完成
海苔・ゴマ・シソなどをトッピングしてもよくあいます。お茶を注いでお茶漬けにするのもおすすめです。
たこめし
たこの風味と食感、生姜のさわやかさが食欲をそそるレシピです。飯盒で炊いた際にできるおこげも絶品ですよ。
- たこ:適量(100g以上がおすすめ)
- お米:1合
- 生姜:適量
- 顆粒だし:小さじ半分
- 醤油:大さじ1
- 酒:大さじ1
- みりん:大さじ1
- 水200mL
作り方
- お米を研いだら一度水けをきり、分量の水を加えて浸水させておく
- たこは一口大のぶつ切り、生姜は千切りにする
- すべての材料をお米と水に入れる
- 普通の炊飯と同じ要領でお米を炊いたらでき上がり
白ご飯とシュウマイ
中蓋を鍋のように使って、水蒸気調理できるのも飯盒の魅力のひとつ。シュウマイや肉まんもふっくらと仕上がります。ここでは、ご飯を炊きながらシュウマイを調理する方法をお伝えします。
- お米:1合
- 水:200mL
- 市販のシュウマイ:適量
- クッキングシート:適量
作り方
- お米を研ぎ、水を加え浸水する
- 中蓋にクッキングシートをしき、上にシュウマイを並べる
- 本体に中蓋をセットする
- 外蓋をして普通の炊飯と同じ要領でお米を炊いたらでき上がり
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。