サンゴ礁の白化現象
沖縄の石垣島を中心とする八重山列島周辺で、数年前からサンゴの白化現象が大きな問題になっていることをご存知の方も多いのではないでしょうか?
2017年に環境省が実施したモニタリング調査では「(一部の地域で)生きているサンゴが海底を覆っている面積が半分になっている」と発表がありました。
【モニタリングサイト1000サンゴ礁調査】
国内約1000か所で生態系の変化を長期に調査しています。
サンゴ礁調査のサイトの補足調査を行った結果、石垣島周辺でサンゴが海底面を被っている割合の減少が確認されました。
詳しくは↓https://t.co/hcAYSI8ufq pic.twitter.com/QIhXo11o0A— 環境省 (@Kankyo_Jpn) 2017年7月20日
環境省は20日、大規模な白化現象が昨年起きた沖縄県の海でサンゴの状態を調査した結果、一部の海域で生きたサンゴが海底を覆っている面積が昨年に比べて激減していたと発表した。
驚くことに、80%以上の高い白化率を示している海域もあったそうです。さらに環境省は「このままの状態が続けば、過去最大規模の被害が出る恐れがある」とまで示しています。
また、こうしたサンゴの白化現象は日本に限ったことではなく、世界中の海で起こっています。
世界最大規模のサンゴ礁を誇るオーストラリアのグレートバリアリーフでもサンゴ礁の白化現象が深刻で、サンゴ礁を守るための規制や対策が厳しく取られていますが、気候変化によるダメージを防ぐ有効な手立てが無いのが現状のようです。
学者らによると世界にあるサンゴ礁の60%近くが危機的状態にあるという見解もあるほどです。
サンゴ白化の原因
サンゴ白化の原因は、世界中で起きている予測不可能な気候変動が引き金になっていると考えられています。そのひとつが「海水温度の上昇」です。
海水温が高い状態が続くと、サンゴの健康に必要な「褐虫藻(かっちゅうそう)」と呼ばれるプランクトンの働きが低下し、この褐虫藻を失うとサンゴの白化現象が起こるのです。
また、サンゴを食べてしまう「オニヒトデの大量発生」も原因のひとつです。
これまでもオニヒトデは周期的に大量発生しているのですが、河川からオニヒトデの栄養源となる農業肥料や排水が大量に流れ込み、オニヒトデが増えてしまったと考えられています。
地域によっては漁業関係者やボランティア達の手によってオニヒトデの駆除が定期的に行われていますが、オニヒトデの大発生はあとを絶たないのが現状なのです。
生態系に与える影響
サンゴ礁には多くの水中生物が生息しており、海の生態系の基盤になっています。
このままサンゴの白化現象が進みサンゴ礁に暮らす生物がいなくなれば、それを捕食する生物も同時に消えてしまい、海の生態系に大きな影響が出る可能性があります。
また、サンゴは刺胞(しほう)動物という動物に分類されますが、サンゴと共生している褐虫藻の働きによって、植物と同じように二酸化炭素を吸収し酸素をつくり出すメカニズムをもっています。
つまり、サンゴ礁が無くなると、地球全体の二酸化炭素濃度のバランスが崩れることにもなるのです。
海は年間に排出される二酸化炭素の約10分の1を吸収しますが、なかでもサンゴが最も二酸化炭素を吸収すると考えられています。
二酸化炭素が吸収されなくなると地球の温暖化がさらに進み、亜熱帯地域に多い伝染病や疫病の拡大が懸念されています。サンゴの白化が、やがては私たちの生活にまで大きな影響を与えることになるのです。
水中世界の危機
海に生息する生物たちがとてつもないストレスにさらされていることは疑いようもない事実で、将来はさらに厳しいものになることは確実です。
サンゴの白化現象は「海水温の上昇」や「オニヒトデの大量発生」が直接的な原因とされていますが、その根本にあるのは「人間が水中世界に与えるプレッシャー」です。
たとえば、世界の主要な漁場では自然の生産力に対して漁獲が上限に達している、あるいは超えてしまっていると言われており、深刻な漁獲量の減少がおきています。
こうした乱獲は淡水域も同様で、すでに自然を維持するギリギリのレベルまで達しており、地球上の川、湖、海の魚を穫りすぎるほど穫ってしまっているのです。
これらは世界人口の増大が影響していると考えられ、過剰な開発、汚染、魚の穫りすぎ、地球の温暖化といった問題も、すべて人口増加による結果とも言えるでしょう。
最近の異常気象は予測しにくく今後も大きな問題になると言われていますが、もとを正せば人的災害と考えることができるでしょう。すべての根源は人間の自然環境への要求が大きすぎることなのかもしれません。
ライター
Greenfield編集部
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