ハイカーにとって山開きは、登山シーズンのはじまりを告げる、楽しみな行事です。関西の山開きは、3月頃からはじまります。登山客の安全祈願が行われ、パレードを催したり、甘酒が振る舞われたり。山開きに参加してみたい人は、ぜひ参考にしてくださいね。

①日本三大夜景!摩耶山(まやさん)|兵庫県

2023年 山開きされる山 関西

六甲山地の中心部に位置する、標高702mの山です。日本三大夜景のひとつとして知られ、地元の人々から親しまれています。

摩耶山の山開き情報

摩耶山の山開きは、江戸時代以前からあった地元の風習に由来します。旧暦の2月初午(はつうま)の日に、馬を連れて天上寺に参詣(さんけい)し、馬の息災と一家の繁栄を祈る風習がありました。

現在はその風習をもとに、息災と山の安全を祈る、春の山開きとして行われています。六甲山牧場から招いた、飾り馬によるパレードは見ものですよ。

摩耶山の山開き 毎年3月の最終土曜日
開催場所 摩耶山天上寺境内と掬星台広場(摩耶ロープウェイ星の駅前広場)
アクセス 神戸公式観光サイト 摩耶山 掬星台「アクセス
参考 馬事畜産振興協議会「摩耶山春山開き 摩耶詣祭

摩耶山の見どころ

山頂の掬星台(きくせいだい)からは、1,000万ドルの夜景といわれる、日本三大夜景のひとつが眺められます。天候に恵まれれば、神戸から関西空港まで一望できますよ。

また、山頂エリアには、「六甲山牧場」などの施設が充実しているので、家族で一日中遊べます。

トレッキングに不安がある人は、「まやビューライン」で一気に山頂まで行きましょう。まやビューラインとは、ふもとから山頂までをつなぐ、交通ラインのことです。ケーブルカーとロープウェーを乗り継いで楽しめます。

 

②神戸のシンボル!六甲山(ろっこうさん)|兵庫県

2023年 山開きされる山 関西

神戸市内からも見える、標高931mの山です。山頂にはいくつもの観光スポットが集まっており、アクセスもよく人気があります。

六甲山の山開き情報

夏山シーズンの安全を祈願するために、恒例行事が行われます。六甲山を開拓した、イギリス人貿易商のアーサー・ヘスケス・グルーム氏にちなんで、「六甲山グルーム祭」と呼ばれていますよ。式典の終了後には、清酒鏡割りで、地元・灘の「福酒」が振る舞われるのも楽しみですね。

六甲山の山開き 6月3日土曜日
開催場所 六甲山記念碑台
アクセス 神戸・六甲山 公式おでかけサイト「アクセス
参考 六甲山ビジターセンター「六甲山の歴史・文化

六甲山の見どころ

さまざまな登山コースや、滝が魅力のロックガーデンがあります。山頂の「六甲ガーデンテラス」からは、大パノラマの絶景が眺められますよ。また、大人から子どもまで楽しめる「六甲山アスレチックパーク GREENIA」もあり、一日中遊べます。

 

③女人禁制の修験道!大峰山(おおみねさん)|奈良県

2023年 山開きされる山 関西

大峰山は、大峰山脈の総称ともされています。山上ヶ岳(さんじょうがたけ)や稲村ヶ岳などが連なり、標高1,915mの八経ヶ岳(はっきょうがたけ)が主峰です。ユネスコ世界文化遺産に登録され、日本百名山のひとつにも選ばれています。

大峰山の山開き情報

毎年5月3日の早朝に、大峯山戸開け式が行われます。頂上にある、大峰山寺の本堂の扉を開ける儀式です。

鍵を振りかざす人馬が、本堂前の広場を駆けめぐる様子は、見応えがあります。ただし、女人禁制の聖地内であるため、男性しか立ち会えません。

また、特別に、秘仏や秘密行者尊が御開帳されます。この日から9月23日の戸閉め式まで、多くの参拝者や登山客が訪れますよ。

大峰山の山開き 毎年5月3日
開催場所 大峰山寺境内(大峯山山上ヶ岳頂上)
開催時間 午前3時〜
アクセス 【電車】近鉄吉野線「下市口駅」からタクシー、または奈良交通バスで「洞川温泉」下車、徒歩で約1時間

【車】京奈和自動車道「御所南IC」から「大橋茶屋駐車場」まで約2時間

参考 奈良県観光公式サイト「大峯山戸開け式 (大峰山寺)

大峰山の見どころ

女性は立ち入り禁止の「大峰山女人結界」が今もあり、フォトスポットになっています。女性は、女人大峯と呼ばれる稲村ヶ岳に登るとよいでしょう。

また、大峰山は花の百名山のひとつとしても知られています。7月には、天然記念物のオオヤマレンゲに出会えるかもしれませんね。山頂の展望台からは、ユネスコ世界文化遺産「大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)」の稜線が、大パノラマで見渡せますよ。

④原生林の秘境!大台ヶ原(おおだいがはら)|奈良県・三重県

2023年 山開きされる山 関西

標高1,695mの日出ヶ岳を最高峰とし、雄大な自然が残る山です。日本百名山や日本の秘境100選のひとつに選ばれています。

大台ヶ原の山開き情報

4月の下旬に、登山客や観光客の安全を祈る山開きが開催されます。それと同時に、粟谷小屋(あわだにごや)も開かれ、本格的な登山シーズンがはじまりますよ。

大台ヶ原の山開き 4月下旬
開催場所 大台ケ原ドライブウェイゲート入り口
アクセス 吉野熊野国立公園 大台ヶ原「交通アクセス
参考 粟谷小屋

大台ヶ原の見どころ

複数のコースがあるため、見どころが豊富です。正木峠では樹木の立ち枯れが広がり、絶景。断崖絶壁の先端にある大蛇嵓(だいじゃぐら)は、スリル満点です。

また、エメラルドグリーンの渓谷や、迫力のある滝、ミズナラの巨木なども見られます。眺望のよい展望デッキにも、ぜひ立ち寄ってみましょう。

登山の初心者から楽しめますが、しっかりした装備が必要になります。下記の記事を参考にして、準備を整えましょう。

登山初心者が必要な服装とアイテムの確認リスト

 

⑤大パノラマの草原!生石高原(おいしこうげん)|和歌山県

2023年 山開きされる山 関西

長峰山脈の中央に位置する、標高870mの県立自然公園です。キャンプサイトがあるため、ハイキングだけでなく、キャンプも人気があります。

生石高原の山開き情報

4月の下旬に、登山客の安全祈願と、自然への感謝の意味を込めて、山開き式が開催されます。迫力ある太鼓の演奏や、餅投げも行われますよ。

生石高原の山開き 4月下旬
開催場所 生石高原(笠石付近)
アクセス 有田川町 生石高原「アクセス
参考 和歌山県公式観光サイト「生石高原山開き

生石高原の見どころ

一面に広がる、緑色の高原が壮観です。とくに、秋のススキ野原は有名で、関西随一と呼ばれるほど。山頂の生石ヶ峰からは、360度の素晴らしい景色が見渡せます。和歌山湾や紀伊山地の山々が望めるだけでなく、天気に恵まれれば、六甲山や四国も一望できますよ。火上げ岩・笠石の祠(ほこら)など、フォトジェニックなスポットもおすすめです。

 

⑥日本の仏教の聖地!高野山|和歌山県・奈良県・三重県

2023年 山開きされる山 関西

標高約900mの、山々に囲まれた山上盆地に広がる山です。平安時代のはじめに、弘法大師空海によって開かれました。真言宗の聖地で、日本有数のパワースポットとしても知られています。

高野山の山開き情報

春の訪れを告げる恒例行事として、「高野の火まつり」が、毎年3月の第1日曜日に開催されます。霊場開きとともに、1年の家内安全や、厄よけなどを祈る儀式です。

太鼓や錫杖(しゃくじょう)が打ち鳴らされるなかで読経(どきょう)が行われ、護摩木(ごまぎ)が炎をあげる姿は迫力があります。当日は、甘酒が振る舞われますよ。

高野山の山開き 毎年3月の第1日曜日
開催場所 金剛峯寺前駐車場
開催時間 午後12時半~
アクセス 高野山真言宗 総本山金剛峯寺「交通アクセス
参考 高野山 別格本山 清浄心院「高野の火まつり 柴燈(さいとう)大護摩供

高野山の見どころ

金剛峯寺など、117もの寺院が現存しています。高野山の二大聖地である壇上伽藍(だんじょうがらん)と奥之院は見逃せません。また、ほかにも仏教に由来する歴史的な見どころが豊富ですよ。

※この記事の情報は2023年5月時点のものです。内容が変更される場合もありますので、最新の情報はリンク先のHPでご確認ください。

関西エリアで山開きが行われる山を6つ紹介しました。登山の安全を祈願する、年に1度の山開きは、春から初夏にかけて開催されます。時期を見逃さないように、事前に日程をチェックしましょう。また、開催時期によって、登山の装備は変わります。季節にあった装備を整えてくださいね。それぞれが見どころにあふれた、魅力のある山ばかり。家族や友人と一緒に、ぜひ登ってみてくださいね。

ライター

yuki

幼少期からキャンプや釣り、スキーなどを楽しむアウトドアファミリーで育つ。10代後半は1人旅にハマりヨーロッパや北米を中心としたトラベラー期となる。現在もスキー、スノーボード、ダイビングなど海や山で活動中。「愛する登山」は低山から厳冬期の雪山まで季節問わず楽しむhike&snowrideなスタイル。お気に入りの山は立山連峰!Greenfield登山部/部長の任命を受け部活動と執筆活動に奮闘中。