南アルプスへ行くために準備しておくこと
南アルプスは高山が主体なので、念入りな準備が必要です。初心者の場合は、経験者と一緒に行くなどのリスク管理をしましょう。
この章では、南アルプスの登山において準備しておくものなどを紹介していきます。
詳しい地形が書かれた地図を用意する
南アルプスは登山道によって難易度が変わります。事前に地図を用意して、自分が登るルートをチェックしましょう。地形を把握し、休憩ポイントも調べてください。
厳しい自然環境に対応できる登山装備を用意する
南アルプスの高山地帯は、天候が変わりやすく、気温も乱高下します。環境の変化にも対応できるように、装備を整えましょう。必要な装備は下記のとおりです。
・レインウェア…急な雨から体が濡れるのを防ぎます。
・防寒具…冬並みに下がる気温から体を守ります。
・登山用ザック…荷物の持ち運びによる体の負担を軽減します。
・ヘッドライト…日暮れ後の行動に役立ちます。
無理のないルートを作成する
南アルプスは深い森の先にあります。登山口に到着する時間を加味して、登山計画を立ててください。また、コースタイムが長い山では余裕を持って目的地に到着するようにしましょう。
南アルプスで最初の一歩におすすめなルート
南アルプスのなかでも難易度が低めの山々をご紹介します。いずれも3,000m級の高山なので、油断せずに登ってください。
北沢峠~仙丈ヶ岳
■所要時間:約7時間10分
■難易度:★★☆☆☆
仙丈ヶ岳は南アルプスの女王とも言われ、穏やかな山容が特徴的な山です。出発時間によっては日帰りも可能です。
北沢峠から出発し小仙丈岳を経由して登っていくと、美しい小仙丈沢カールと大仙丈沢カールが同時に見えてきます。山頂からは鋸山や甲斐駒ヶ岳、北岳など南アルプスのさまざな山を楽しめるでしょう。
北沢峠~甲斐駒ヶ岳
■所要時間:約7時間10分
■難易度:★★☆☆☆
甲斐駒ヶ岳は、仙丈ヶ岳と対照的な山容から南アルプスの貴公子と呼ばれています。森林限界を抜けた先は、白い花崗岩の山肌が露出した幻想的な世界が広がっています。
山頂手前に崖を登る直登ルートと、難易度の低い巻き道ルートの分岐があるので注意してください。巻き道ルートにある分岐の先には、摩利支天と呼ばれる遺物が残っています。
広河原~北岳
■所要時間:約10時間45分
■難易度:★★★☆☆
日本で2番目に標高が高い北岳は、高山植物の宝庫です。6月下旬〜7月上旬に咲く、北岳固有種のキタダケソウを見に登る人もいます。
最初は危険箇所が少なく、草すべりを経由するルートがおすすめです。ルート中にはテント泊ができる山小屋が点在しているので、自分に合った宿泊計画を立てられます。
中級者向け!南アルプス南部のおすすめルート
南アルプス南部の登山口は奥深く、アクセスしにくい場所もあります。事前に登山口への行き方をよく調べておきましょう。
槇島~赤石岳
■所要時間:約15時間15分
■難易度:★★★☆☆
南アルプス南部のなかでも登りやすいのは赤石岳です。指定の小屋に宿泊しないと、登山口近くの槇島ロッジへのバスに乗車できないので注意してください。樹林帯を抜けた先にある山頂は、360度の展望が広がっています。
聖岳登山口~聖岳
■所要時間:12時間5分
■難易度:★★★☆☆
静岡県と長野県の県境に位置する聖岳は、南アルプス最南の3,000m峰です。森は深い緑に覆われていて、ヨーロッパの雰囲気を思わせる場所がいくつもあります。
登山口は一般車両通行止め区間内にあるため、椹島ロッジから徒歩で向かうか、井川観光協会登山バスを利用しましょう。
茶臼岳登山口~茶臼岳
■所要時間:約12時間5分
■難易度:★★★☆☆
茶臼岳は山頂が森林限界の境界にあるため、ダケカンパとハイマツの混生が見られます。
登山口にある畑薙大吊橋は高度感のある長い吊り橋なので、揺れに注意して渡ってください。樹林帯の途中にあるウソッコ沢小屋は、無人の山小屋なので補給は横窪沢小屋でおこないましょう。
易老渡~光岳
■所要時間:約14時間45分
■難易度:★★★☆☆
光岳は山頂付近にある巨大な花崗岩が、夕日に照らされ光って見えることから付いた名前です。途中の分岐から行けるイザルヶ岳はパノラマ風景が広がります。
スタートの芝沢ゲートから易老渡までは、マイカー規制されているため徒歩かタクシーで向かいましょう。
鳥倉~塩見岳
■所要時間:約14時間
■難易度:★★★☆☆
塩見岳は南アルプスのほぼ中央に位置し、周りに高い山がないので、山頂からは北アルプスや中央アルプスの絶景が見られます。鳥倉登山口は夏季限定でバスがでていて、登山道も難所が少ないので、塩見岳に初めて登る方におすすめです。
南アルプスでおすすめな縦走ルート
南アルプスは縦走ルートも豊富です。その中でも人気の高い縦走ルートをご紹介します。
鳳凰三山
■所要時間:約13時間25分
■難易度:★★★☆☆
鳳凰三山は薬師岳と観音岳、地蔵岳の総称です。甲斐駒ヶ岳と同じように、山頂付近は白い花崗岩の世界が広がっています。地蔵岳のオベリスクと呼ばれる巨岩は圧巻です。1泊2日の行程で考えると、コースタイムも短く縦走初心者でも登りやすいでしょう。
白根三山
■所要時間:約18時間36分
■難易度:★★★★☆
北岳と間ノ岳、農鳥岳の3つの山々の連なりを白根三山(白峰三山)と言います。間ノ岳は北岳に次ぐ日本で3番目に高い山です。行程が長いので自分の体力と相談しながら、宿泊日程を組んでください。農鳥小屋は到着時間が遅いと夕食に間に合わないので、宿泊する際は注意しましょう。
荒川三山
■所要時間:約20時間5分
■難易度:★★★★★
前岳と中岳、東岳(悪沢岳)の3つの山の総称を荒川三山と呼びます。縦走は槇島ロッジを起点に周回するコースです。前岳付近はヤセ尾根の岩稜地帯となるので、岩場に慣れていない人は注意してください。