スキューバダイビングの基本スキルをご紹介します。ライセンスを習得してから一度もダイビングをしていないという方も少なくありません。そんな時は、スキューバダイビングに出かける前に基本をおさらいしておきましょう。ぜひ参考にしてください。

 

スキューバダイビングの基本スキル

スキューバ ブランク
 
スキューバダイビングは経験をどんどん積まないとスキルは上達しません。しかも、時間が空けば覚えたダイビングスキルも忘れてしまいます。

久しぶりにダイビングに行くときは、スキューバダイビングの基本スキルをもう今一度、しっかりとおさらいしておくことが大切です。

 

器材セッティング

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スキューバダイビングは、器材依存型のレジャースポーツです。

それゆえ、正しい器材のセッティングや使い方ができていないと命に関わることさえもあります。

とくに器材セッティングは忘れがちだからこそ、しっかりとおさらいをしておきましょう。

 

1.タンクにBCをセット

タンクバルブの空気の出口がBCと背中合わせになるようにタンクにBCのベルトをかけて、タンクがずり落ちないようにベルトでしっかり固定します。

2.レギュレーターをセット

セカンドステーは右、ゲージは左が基本なので、向きを間違いないように確認してセットします。

ヨークノブは、指3本程度で軽く締めるようにします。

 

3.中圧ホースをつなぐ

BCのインフレーターに中圧ホースをつなぎます。

カチっと音がするのを確認しましょう。

 

4.バルブを開ける

タンクバルブを手前にゆっくり回して、エアをスクーバユニットに通します。

バルブを全開にしたら、半回転だけバルブを戻しておきましょう。

 

5.最終チェック

レギュレーターでちゃんと呼吸ができるか、パワーインフレーターで空気の出し入れができるか、最終チェックを行います 。

 

エントリー

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器材セッティングが終わったら、いよいよダイビングです。

スーツを着たらブーツやウエイトの装着も忘れずに行い、最後にスクーバユニットを背負ってバディチェックを行います。

海に潜る緊張感で心拍数が最も上がりやすいときです。

もし、緊張しているなと感じたら、深呼吸をして気持ちを落ち着かせるようにしましょう。

 

ビーチエントリー

ビーチエントリーでは、目に水が入ったりしないように最初にマスクを装着してから海に入ります。

水深1メートル前後の足場が安定した場所で、バディ同士ささえ合いながらフィンを履きます。

波があるときは、バディと向き合いお互いの両腕を持って支えながら横歩きで進みましょう。

 

ボートエントリー

ボートエントリーはおもに「ジャイアント・ストライドエントリー」と、「シッティング・バックロールエントリー」 の2通りの方法があります。

ジャイアント・ストライドエントリーは、プラットホームのあるボート向けのエントリー方法で、マスクを押さえたまま足を前方に大きく一歩踏み出す方法です。

また、シッティング・バックロールエントリーは、プラットホームがなくボートのヘリが低い場合、ボートのヘリに座った状態で後ろ向きにエントリーする方法です。

ボートのタイプによってエントリー方法が変わりますので、インストラクターまたはボートキャプテンの指示に従いましょう。

 

潜降

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初心者ダイバーが苦手意識を持つスキルのひとつが、「潜降」です。

潜降の合図があったら水中の集合地点まで潜るのですが、最初のうちはBCや肺の空気が抜けきらずに沈まなかったり、耳抜きが追いつかずに沈めなかったりするものです。

まずは気持ちを落ち着けて、呼吸を整えてから潜降を開始するようにしましょう。

耳抜きは、耳が痛くなってからするのではなく痛くなる前に行うと抜けやすくなることも覚えておきましょう。

 

ロープ潜降

ブイやアンカーロープを使用すれば、流されることなく目標地点まで潜降できます。

まずは、潜降する前に耳抜きをしていつでも潜れようにしておくのが良いでしょう。

BCのエアを抜くときは、インフレーターを上げるタイプと下に引っ張るタイプがあるので、使い方を間違えないようにしましょう。

また、肺に空気がたまったままだと沈まないので、こまめに耳抜きもしながら、肺のなかの空気を吐き出すように潜行するのがポイントです。

 

フリー潜降

フリー潜降の場合、基本は「フィートファースト」で、水底を確認しながらフィンを前後に開き抵抗をつけてゆっくりと潜降します。

足をバタバタさせると沈みにくいため、バランスをとるようにフィンを使うのがポイントです。

また、流れのあることが想定されるポイントでは、エントリー後すぐにヘッドファーストで素早く潜降し水底で集合するようにしましょう。

 

水中ツアー

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無事に潜降ができたら、いよいよ水中ツアーに出かけます。

ただし、水底には着底せずに、フィンで生物を傷つけたり海底や砂地を蹴ったりしないように正しい姿勢で泳ぐことが大切です。

そのために、必ず身につけておきたいスキルが「中性浮力」と「フィンワーク」です。

 

中性浮力

中性浮力は、水中で浮きも沈みもしない状態のことです。

ダイビング中に中性浮力が取れていないと思いのまま行動が取れず、不安定な状態が続くと不安を誘いパニックに繋がることもあります。

そのためにも中性浮力は早いうちにマスターしておきたいのですが、やはり初心者ダイバーにとってはむずかしいスキルでもあります。

中性浮力が上手くできないというダイバーによく見かけるのは、呼吸による浮き沈みをあまり意識せずにBCだけで浮力調整をしようとケースです。

中性浮力にとって呼吸は重要なスキルとなるので、肺に空気をいっぱい入れたらどれくらい浮くか、その逆はどうかの感覚をつかんでおくことが大切です。

また、潜降ができないためウエイトを重めに設定してしまう、水中でバランスが取れなくなっているケースも少なくありません。

講習では体重の1/10ぐらいが適正ウエイトと習ったかもしれませんが、使用タンクや保温スーツのタイプ、海の塩分濃度によっても適正ウエイトは異なります。

まずは自分のウエイト適正量をしっかりと把握しておくことが大切です。

 

フィンワーク

水中では三次元で動くことができますが、そのためには正しいフィンワークをマスターしておくことが大切なポイントです。

思うように進まないのは効率的なフィンワークができていない可能性があります。

基本となる2つのフィンワークをしっかりとマスターしておきましょう。

 

アップ&ダウンストローク

フィンワークの基本は「アップ&ダウンストローク」です。

左右交互に足を振り上げておろすフィンワークですが、ポイントはストリームラインを意識しながらフィンのしなりを足先で感じながらキックすることです。

穏やかなポイントではできるだけ大きくゆっくり、流れのあるポイントでは細かく早くキックするのがコツです。

 

あおり足

水泳の平泳ぎに近いフィンワークが「あおり足」です。

フィンの裏側を使って両足で水を後ろに押し出すように蹴るようにするのがポイントです。

中性浮力がしっかり取れていれば、一度蹴ればそのまま前進するので、進むのが止まってから再びキックをすれば無駄な労力を使わずに効率的なフィンワークができます。

 

浮上

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誰でも簡単にできますが、じつはもっとも気を付けなければいけないのが「浮上」です。

なぜなら、体内に蓄積された窒素が大きな気泡になって潜水病を引き起こしかねないからです。

早すぎる浮上は肺の体積にも影響してくるので、18m/min以下または9m/minを目安に浮上速度をコントロールすることが大切です。

自分の吐いた泡の小さな粒と同じぐらいの速度で浮上するのがベストです。

また、浮上する前に水深3~5メートル外で3分以上の安全停止をすることで、体内に蓄積された窒素を少しでも排出することができ減圧症のリスクを減らせることができます。

 

エグジット

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ダイビングが終了したらビーチやボートに戻ってエグジットしますが、ここで気を抜かないことです。

ビーチの場合は波を受けたり足場が悪くて、滑って転んで怪我もしてしまうこともあります。

ボートでもラダーから落ちたりすることもあるので、とにかく最後まで細心の注意が必要です。

また、何が起こるかわからないので、マスクは完全にエグジットするまで必ず身に付けていましょう。

 

ビーチダイブ

水深1mぐらいのところまで戻ったら、いったん立ち上がりバディと助け合いながら片足ずつフィンを脱ぎましょう。

手すり付きのスロープがあるポイントなら、無理をせず手すりにつかまってフィンを脱げば簡単です。

 

ボートダイブ

自分からボートに近づき、ラダーに近い人から順番にボートに上がるのがルールです。

この時、ラダーを登っている人の真下に入らないように注意し、少し離れた位置で待機しましょう。

自分の順番が来たらラダーに捕まってフィンを脱いで船上のクルーに渡します。

ただし、体力のない人は水面でウエイト→BC→フィンの順番で脱いで、ひとつずつクルーに渡してから船に上がりましょう。

 

スキューバダイビングの基本スキルをご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?ダイビングスキルを思い出すきっかけになれば幸いです。また、各ダイビングショップではブランクのあるダイバーのためにリフレッシュコースなどのプログラムも開催しています。最後のダイビングから時間が空いてしまい完全にダイビングスキルを忘れてしまったという方は、無理をせず必ずリフレッシュコースを受講してからダイビングを楽しみましょう。

ライター

Greenfield編集部

自然と向き合い、環境に配慮しながらアウトドアスポーツを楽しむ人に向け、自分や周囲のウェルビーイングの向上につながる情報をお届けします。