アウトドアブランドとしてシンボリックであり、パイオニア的存在でもあるPatagonia(パタゴニア)。今回、2025秋冬の展示会に参加してきました。そのプロダクトカテゴリーはスキー&スノーボード、アルパイン、トレイルランニング、マウンテンバイク等、多岐にわたります。筆者はトレイルランニングやトレッキングを通じ、パタゴニアのギアを10年以上愛用してきたこともあり、旧モデルとの比較などを踏まえて、独自目線で気になったギアをピックアップしました。
心地よい通気性と保温性を合わせ持った「R1エア」シリーズ

テクニカルフリースの代表格のひとつ「R1 エア」シリーズから、ついにフードがないフルジップのジャケット「R1 エア・ジャケット」が登場。詳しく紹介する前に、初めての人も多いと思うので、大前提としてお話しすると、パタゴニアのテクニカルフリースは頭文字に「R」が付いています。
この「R」は「Regulator(レギュレーター)」を意味し、直訳すると「調整役」。フィールド上で体温を調整してくれる役割を担っているテクニカルフリースなのです。他にも「R2」や、かつては「R3」も存在しており、数字が大きくなるほど保温力が高く、より暖かいフリースを示しています。
とりわけ「R1」についてはより細分化されているので、簡単に説明します。
「R1」…通気性と吸湿発散性を備え、さまざまなテクニカルな用途に使えるグリッド構造。
「R1 エア」…中空糸をジグザグ構造で仕上げられたニットが保温性をキープしながらも、余分な熱は発散し、最も通気性に優れる。
「R1 テックフェイス」…耐摩耗性に優れ、プロテクションが強く、頑丈。
「R1 サーマル」…内側にソフトなマイクログリッドを備え、最も保温性が高い。
筆者はかねがねトレイルランニングを愛好してきました。文字通り、“山を走る”スポーツ。登山よりも汗をかきます。ですので、おおむね通気性に優れた「R1 エア」を選択してきました。
今まで、「R1 エア」にはフルジップ・フーディやクルー(ジップがないモデル)などは存在していたのですが、フードなしで前面が開放できるモデルがなかったために「R1 テックフェイス」のジャケットを愛用してきたというわけです。
ありそうでなかった「R1 エア」のジャケットが登場!

筆者の場合ですが、「R1 エア」は冬のトレイルランニングでは直接地肌の上に着て、第二の肌のごとく、絶妙な保温性と吸湿発散性を保ってくれて、パフォーマンスをキープしてくれるのです。(なので、「R1 エア」のジャケットは個人的には待ってました!的な心境です)
それでは、改めて「R1 エア・ジャケット」を紹介します。「R1 エア」の特徴は先ほど説明した通りですが、まず、フルジップであるために前面を開放し瞬時に通気してくれる点が使い勝手が良いポイント。もちろん、重ね着してミッドレイヤーとしても活躍してくれます。フードがないため、かさばることもありません。
また、既存の「R1 エア」よりもフィット性が改良され、着心地が向上しています。 袖口には速乾性に優れたバインディングが配置されており、手首に優しくフィット。保温効果も期待できます。左胸には小物を収納できるチェストポケット。フロントにはハンドポケットが左右に備わっています。
フィールドや天候にもよりますが、適度な保温性のみならず、吸湿速乾性や通気性に優れているので、3シーズン、オールマイティに使える1着ではないでしょうか。
こだわり抜かれた進化系スノーパック「パウスレイヤー・パック」

スキー・スノーボードのカテゴリーからは、バックカントリースキー等におけるスノーツールコンパートメントに特化したスノーパック「パウスレイヤー・パック」をピックアップします。実は10年程前に、後継品にあたるスノードリフター・パック 30Lの初期モデルを愛用していたこともあり、その進化は眼を見張るものがありました。
メインコンパートメントは背面のバックパネルから全面的に開放して、アクセスすることができます。また、ジッパー付きセキュリティポケットと、ハイドレーションリザーバーや予備の手袋を入れるためのドロップインスリーブも配置。
広めのスノーツールコンパートメントには、シャベル、スノーソー等、スノーツールをしっかりと収納でき、スムーズにアクセスできるようにスリーブも細分化されています。ジッパー付きのトップポケットは、ゴーグルや大型無線、行動食を収納できるほどのゆったりとした大きさです。

腰の2つのヒップベルトポケットには素早くアクセスしたい小物を収納できます。ソリッドボードスノーボードやスキークロスキャリー用ストラップ、ヘルメットホルダー等も完備しています。様々なギミックが盛り込まれた「パウスレイヤー・パック」。スノーシーンで実際に使ってみて、機能性やそのポテンシャルが理解できるスノーパックといっても過言ではないでしょう。
可動域がさらにアップした冬の定番防寒着「ナノ・パフ」
パタゴニアの冬の定番アイテム「ナノ・パフ」がジャケット、フーディ共によりフィット感を増してアップデートされました。悪天候で濡れても保温性、防風性をキープし長年の使用にも耐えられる、軽量な60グラム・プリマロフト・ゴールド・インサレーション・エコを採用している「ナノ・パフ」。今期バージョンは袖と肘の関節部分、アームホールのフィットが改良され快適性と可動性がアップされています。
また、フーディでは、フードはヘルメットの下でスムーズに着用できる構造に改良されています。前面の左右には定番のジッパー式ハンドウォーマーポケットを備え、内側のジッパー式チェストポケットには本体を収納できるパッカブル仕様となっています。

軽さを重視したいときや、標高が高く肌寒いところで活躍する「マイクロ・パフ・フーディ
個人的には「ナノ・パフ・ジャケット」、「マイクロ・パフ・フーディ」、「ダウン・セーター」と気温やフィールドの状況にあわせて使い分けているのですが、やはり出番が多いのは、「ナノ・パフ・ジャケット」。
信頼できる耐久性や保温性もありますが、冬の気温的にもちょうどいいのがこの製品で、もちろん、インサレーションとしてもそうですが、ひざ掛けとして活用できるだけでなく、シュラフの保温強化に駆り出すこともできます。防寒着として不動の人気を誇り、「魔法のジャケット」とも賞賛される「ナノ・パフ」。機動性が増した今期モデルが楽しみです。
初心〜上級者まで、幅広くアウトドアスポーツを愛する人にファンの多いアウトドアブランド「パタゴニア」。定番アイテムでも、ユーザー目線ならではのマイナーチェンジを繰り返しています。今回、展示会に訪れ、ふと、1年を通じて愛用しているソフトシェル「フーディニ・ジャケット」が袖口のフィット感や縫製が、ある年から変わっていて、脱ぎ着がとてもスムーズになっていたことを思い出しました。
ほんの細やかな点でもアップデートし続けるマインドには脱帽です。また、新アイテムには、フルレングスサイドジッパーで手軽に着脱ができる防寒ショーツ「DAS ライト・ショーツ」やクロスボディバッグ「テラヴィア・サコッシュ」なども展示されていました。いろいろと発売まで待ち遠しい限りです。
撮影協力:パタゴニア日本支社