忙しい毎日でも、家族の健康はしっかり守りたいですよね。日本の伝統食材には、手軽に栄養を摂れる知恵が詰まっています。薬に頼らず、日々の食事で体を整える「医食同源」の考え方を取り入れ、大切な家族と自分の健康を育みましょう。

医食同源という考え方

日本の伝統食品、医食同源、時短

「医食同源」とは、病気の治療も日々の食事も生命をやしない健康を保つためには必要なもので、起源は同じという考え方です。ここでは、この古来の知恵が現代の忙しい家庭でどのように役立つのか、具体的なポイントを見ていきましょう。

薬ではなく「毎日のごはん」で体づくり

私たちの体は、毎日の食事から作られています。病気になってから薬で対処するのではなく、日々の食事を通じた健康な体づくりの意識が、医食同源の基本です。

バランスの取れた食事は、体の機能を正常に保ち、病気に対する抵抗力を高めるもとになります。たとえば、旬の野菜や魚を取り入れることで、その時期に必要な栄養素を効率よく摂取できるでしょう。

忙しいとつい簡単な食事で済ませがちですが、少し意識を変えるだけで、食事は最高の予防薬になります。栄養バランスを考えた食事が、未来の健康を支える土台となります。日々の食事が体を作るという意識を持つことが、健康への第一歩となるでしょう。

子どもの「腸」から免疫力の強化

人類の免疫細胞の約7割が存在すると、言われているのが「腸」[1]です。

腸内環境を整えれば、ウイルスや細菌から体を守れます。発酵食品や食物繊維が豊富な食材などの伝統的な和食には、腸内の善玉菌を増やし、腸内フローラを良好に保つのに役立ちます。たとえば、味噌や納豆・漬物といった発酵食品は、生きた乳酸菌や麹菌を手軽に摂取できるすぐれた食品ですね。

また、ひじきや切り干し大根などの乾物に含まれる食物繊維は、善玉菌のエサとなり腸の働きを活発にします。おやつに市販の袋菓子でなく、ふかし芋や果物を選ぶだけでも、腸内環境への配慮につながるでしょう。

日々の習慣で「未来の病気」の予防

現代社会では、生活習慣病が増加傾向にあり、大半は日々の食生活と深く関わっています。毎日の食事に気を配ることは、将来の病気のリスクを減らすために最も効果的でしょう。

たとえば、塩分の摂りすぎは高血圧に、糖質の過剰摂取は糖尿病につながるかもしれません。だしを上手に使った伝統的な和食は、旨みが強く塩分を控えめにでき、野菜や海藻で血糖値の急上昇を抑える可能性が高いです。

また、魚に含まれるEPAやDHAといった良質な脂質は、動脈硬化の予防にも役立ちます。インスタント食品や外食に頼りがちな食生活を見直せば、家族全体の健康寿命を延ばすことにもつながるかもしれません。

伝統食材に秘められた栄養と効能

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「医食同源」という考え方にあう食とは、体を健康に保つための食事のことです。伝統食材は単においしいだけでなく、私たちの健康を支える栄養素が豊富に含まれています。そして、日本には古くから受け継がれてきた、素晴らしい伝統食材がたくさんあります。

干し椎茸:ビタミンDで骨強化

干し椎茸は伝統食材のひとつであり、栄養価の高さは特筆すべきものがあります。

とくに注目したいのが、日光に当たることで生成されるビタミンDの豊富さです。ビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、骨や歯を丈夫にする働きがあります。成長期の子どもたちの骨格形成はもちろん、大人の骨粗しょう症予防にも非常に重要な栄養素です。

干し椎茸は生椎茸に比べて保存性が高いだけでなく、乾燥させる過程で旨味成分であるグアニル酸も増加するため、料理に深い味わいを加えます。また、水から煮出した戻し汁にも栄養と旨味が出るので、捨てずに活用しましょう。日常的に干し椎茸を食事に取り入れれば、おいしく手軽に骨の健康をサポートできます。

ひじき:鉄分と食物繊維のかたまり

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日本の伝統的な海藻のひじきは、「鉄分と食物繊維のかたまり」といえるでしょう。鉄分は赤血球のヘモグロビンの材料となり、全身に酸素をはこぶ重要な役割を担っています。鉄分が不足すると貧血を引き起こし、疲れやすさや集中力の低下につながるため、とくに女性や成長期の子どもには積極的に摂ってほしい栄養素ですね。

ひじきは水溶性と不溶性の両方の食物繊維をバランス良く含んでおり、腸内環境を整える効果も期待できます。便通を改善するだけでなく、血糖値の急上昇を抑えたり、コレステロールの吸収を抑制したりする働きもあるそうです。筆者がよく料理する煮物や炊き込みご飯などでも、栄養分が手軽に摂取できますね。

昆布:血圧を整える天然ミネラル

昆布には、カリウムやカルシウム・ヨウ素といったミネラルが豊富に含まれており[2]、体の調子を整えるのに不可欠です。とくにカリウムは体内の余分なナトリウムを排出し、血圧を正常に保つ働きがあるため、高血圧の予防に役立ちます。

また、昆布特有のぬめり成分であるアルギン酸やフコイダンといった水溶性食物繊維も豊富です。糖質の吸収を穏やかにしたり、コレステロール値を下げたりする効果が期待できるほか、腸内環境を整えるのにも貢献します。

取り入れやすい調理法と楽ちん活用術

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伝統食材が体によいとわかっていても、忙しい毎日の中で取り入れるのは難しいと感じるかもしれません。しかし、ちょっとした工夫で、手軽に伝統食材を食卓に登場させられます。

「市販の乾物」で簡単活用テクニック

干し椎茸や切り干し大根・乾燥ひじきといった乾物は、日本の伝統食材の中でも特に保存性に優れ、常備しておくと非常に便利な食材。水で戻すだけで使える手軽さが魅力です。

生の野菜が不足しがちなときにも、食物繊維やミネラルを補給できるでしょう。乾物を戻すときは、戻し汁にも栄養が溶け出しているので、捨ててはいけません。最近では、そのまま使えるタイプの乾物も市販されているので、簡単に調理できますね。

「味噌玉」を使用した具だけ日替わり作戦

忙しい家庭にとって、毎日の献立を考えるのは大変ですよね。そこでおすすめなのが、「味噌玉を使用した具だけ日替わり作戦」です。

味噌汁は、日本の伝統的な発酵食品である「味噌」を使い、栄養満点で手軽に作れます。味噌をラップで包み、乾燥わかめやお麩など簡単な具材を入れれば味噌玉のできあがりです。

お椀に味噌玉とゆで野菜や豆腐・火を入れたきのこ類などを入れれば、日替わりで具材を変えるだけで毎日楽しめます。具材や味噌玉を入れたお椀に、お湯を注ぐだけで、簡単に味噌汁が完成します。具材を複数入れることで、一度にたくさんのビタミン・ミネラルを摂取でき、栄養バランスも整いやすくなるでしょう。まさに医食同源!

冷凍可能な「戻し食材」で週末仕込み術

平日の調理時間を少しでも短縮したいと考えるなら、「冷凍可能な戻し食材で週末仕込み術」がおすすめです。

干し椎茸や切り干し大根・乾燥ひじきなどの乾物は、週末にまとめて水で戻しておき、使いやすい量に小分けして冷凍保存できます。解凍するだけで調理に取りかかれるので、大幅な時短につながりますね。筆者は土日にかならず自炊をするため、ストックを常備しています。

ほかにも、きのこ類や刻んだネギ、油揚げなども冷凍保存に適しています。これらの下ごしらえ済みの食材を保存しておけば、忙しい日でも手早くバランスの取れた食事を準備可能です。週末の少しの時間を使って仕込みをしておくだけで、平日の夕食準備が格段に楽になり、心にも余裕が生まれるのは間違いありません。

忙しい日々の中でも、医食同源の知恵と伝統食材を活かせば、家族の健康を守れます。干し椎茸や乾燥ひじき、昆布などの伝統食材を上手に取り入れ、無理なく続けられる食習慣を築きましょう。日々の小さな選択が、あなたと大切な家族の未来を明るくします。
 
参考元:

pei3

ライター

pei3

1990年生まれ。海が大好きで、宮古島によくいます。幼い時からスキーを主にしたファミリーキャンプに出かけ、大学時代には川下りや登山・西表島の縦走など47都道府県に行った経験あり。

料理が好きなので、平日は食品メーカーで開発し、週末は身体に優しいマクロビオティックの食事を研究中です。食品表示検定中級・発酵食品マイスターの資格を持つ。