第6回目の親子登山インタビューは、娘さんと一緒に6カ国も登山している@adventure_azusaさんにお話を伺います。海外での衛生面や登山のコツなど、気になることがいっぱいです。親子で海外登山をしてみたいと思っている方は必見ですよ。
生後7ヶ月で海外登山デビュー!
-自己紹介をお願いします。
母のazusaです。3歳になる娘と親子登山をしています。
-登山歴はどのくらいになりますか?
登山歴は14年になります。夫婦でアルプスの山を歩いたりテン泊したりしていましたが、新婚旅行でマレーシアの最高峰キナバル山に登頂してから海外登山にはまりました。
それからは年に3〜4回、格安航空券で海外登山をしていました。
-海外登山には慣れているんですね。
そうですね。4年前に夫がドバイへ駐在になり、あとから私も生後半年の娘を連れ、約1年半ドバイで生活していました。
今は家族で帰国して1年になりますが、海外で歩いた国は17カ国になります。娘の海外登山は2022年4月から2023年2月の間で、アラブ首長国連邦・スペイン・アンドラ・オマーン・ジョージア・ヨルダンで6カ国目になりました。
-3歳にして6カ国はすごいですね。何歳くらいから一緒に登り始めたのでしょう?
生後2カ月が初登山です。抱っこ紐で低山をハイキングしたのですが、気持ちよさそうに寝ていました。海外登山デビューは生後7ヶ月です。
3歳未満の子連れ登山!水が不安な国での山食事情
-中東など海外での親子登山に不安はありませんでしたか?
海外登山では水など不安があり、衛生面に気をつけて登山していました。娘が1歳だったので、哺乳瓶でミルクを飲んだり離乳食を食べたりするため、哺乳瓶の洗浄やお湯などに気を遣いましたね。
-登山中は哺乳瓶の洗浄・殺菌など、どのようにされていたのですか?
水がない砂漠エリアではジャバラ式ボトルの使い捨て哺乳瓶を使用していました。洗えるエリアでは、使い捨て袋タイプを哺乳瓶に入れて、哺乳瓶の口だけをお湯で消毒しました。インナーバッグ(使い捨て袋)を取り替えれば哺乳瓶の洗浄不用なので便利です。
-砂漠エリアはとくに気を遣いそうですね。
そうですね。暑かったり、日差しが強かったり、砂嵐があるなど……日本とは気候が全然違うので。日焼けや保湿などに気をつけ、日焼け止めとワセリン、リップクリームは必ず持参していました。
-使い捨て哺乳瓶以外にもこれがあると便利!といったアイテムはありますか?
液体ミルク缶は、お湯がなくなったり作れなかったりしたときや、ミルクを作る時間がないときの緊急用に重宝します。専用のアタッチメントと乳首があれば、缶から直接飲ませることもでき助かりましたね。
粉ミルクのときは、山専ボトルにお湯を入れて運びました。飛行機内で山専ボトルにお湯を入れてもらってミルクを作ったり、離乳食を作ったりできて便利でしたよ。山専ボトルの保温力は素晴らしいです!
-普通食になる前のお子さんには役立ちますね。
あとNritタオルは海外、国内の登山を問わずにおすすめです!濡れてもザックにぶら下げておけばすぐ乾くし、海外登山で洗濯できない環境になったときなど、何日も洗濯しなくても生乾きの生臭い匂いになりませんでした。本当に感激しますよ!
海外で親子登山するときのコース選び
-日本で親子登山をしている方は、ヤマップやヤマレコ、ブログなどを参考にしているそうですが、海外での親子登山情報はなにから収集していましたか?
海外で日本人が歩いている記録がほとんどなく、親子登山情報はあまりないんですよ。それで私達が海外登山するときは行きたい国をピックアップし、ハイキングコースがあるか検索します。
インスタで山を検索して外国の方が歩いているのを参考にしつつ、ネットでハイキングコースの地図があるかも検索します。
-海外登山といっても国によって難易度が変わりますよね
国立公園には公園内にハイキングコースがあるのでわかりやすいです。入り口にハイキングコースの地図があるので、ゆるいコースを探して歩いています。
アウトドア観光が盛んな国では観光案内所に行くとハイキングコースについて教えてくれますし、地図も販売されていますよ。
-紙地図だけでなく、国によって使用する地図アプリなどもありますか?
アプリは「ALL TRAILS」を使用してハイキングしていました。ピークを踏まなければ、だいたいのハイキングコースを歩けると思います。
オーストラリアはヤマップが対応していて記録できました!
-ガイドはつけなくても大丈夫なのですか?
6国すべてハイキングコースを歩きましたが、ヨルダン以外はガイドをつけなくても大丈夫です。標識がしっかりあったので、道迷いもありませんでした。
ヨルダンでは砂漠ツアーを申し込んでいて、そのガイドさんにハイキングコースのガイドをお願いしたんです。本当はヨルダン最高峰を歩きたかったのですが子どもが小さいため、ヨルダン最高峰を眺められるゆるいハイキングコースを歩きました。
-ガイドさんがいれば安心感はありますよね
そうですね。モロッコ、マレーシアなど最高峰の海外登山など国によってはガイドが必要ですね。子連れ登山だとなかなか最高峰には行けませんけど(笑)
-治安が悪いなどで、登山中に怖い思いをしたことはありますか?
いかにも観光客といった服装で街中に出るとスリなどに遭ったり、夜遅くに外出したら危険があったりすると思いますが、山歩きについての治安は全く問題ありませんでした。
-さまざまな国で親子登山をしていて、日本との違いを感じたことはなんでしょう?
ゆるい山歩きでも絶景が見えるところですね。日本では「山頂を踏んでこそ登山」といったイメージがありますが、海外の山は山頂のないハイキングコースがたくさんあり、子連れハイキングにはぴったりなんです。海外でこそ、親子ハイキングがしやすいと思います。
あとは、海外だとすれ違う人たちがほんとにフレンドリーなんです!みんな子どもが好きなのか声をかけてくれました!あとは日本に比べ、ベビーキャリア率が高いですね。
-日本でも少しずつ増えてきていますが、ベビーキャリアで登山しているハイカーさんのなかには、男女兼用でサイズ感が合わずに独自で調整している方や、お子さんがなかなか乗ってくれず困ったなどといったお話がありました。ベビーキャリアで困ったことや、むしろよかったエピソードなどがあれば教えてください。
私が使っているオスプレーポコプラスはサイズ調整ができるので、全く問題なかったです。夫と私でサイズを簡単に変えられました。
-サイズ調整できるのはいいですね。娘さんはすんなり乗ってくれましたか?
娘は1歳3ヶ月ぐらいまでは全く嫌がらず、お利口さんに乗っていました。1歳3ヶ月~2歳前ぐらいまでは、初めは嫌がりますが揺られて気持ちよくなりいつの間にか昼寝しちゃう感じで。
ただ、我が家も2歳からはベビーキャリアに乗ってくれず、抱っこを求められ本当に苦労しました。
ヒップシートか抱っこ紐が必要と感じたので、サコッシュに荷物を入れ膨らませ、ヒップシート代わりに対応しました。一番大切なのは親の体力ですね!笑
-その後、ベビーキャリアは使わなくなったのですか?
ベビーキャリアを隠して何ヶ月ぶりかに出したら物珍しいと思ったのか、大好きになり、3歳4ヶ月は気に入って乗ってくれるようになったんです。
今は3歳5ヶ月になり歩いたり走ったりして、1時間以内の山なら自分の足で登頂できるようになりました。
-成長を感じますね。
最近感じたのですが、家族3人でハイキングすると甘えているのかつまらないのか抱っこを求めてきます。年齢が近い子どもとハイキングすると、子ども同士で競い合って走ったり歩いたりして、楽しみながら自力でハイキングできました。
何組かで親子登山をすると子どもがすごく楽しんでくれるし、自分で歩いてくれるのでおすすめです!
いつかは娘とキリマンジャロへ
-azusaさんは登山歴が長いですが、親子登山をするようになって楽しみ方がどんな風に変わりましたか?
子どもが一緒だと低山ばかりになるので、キャンプを絡めて地方の山に登ったり、お手軽山ごはんやご当地グルメを食べたりしています。低山ハンター気分で楽しんでいますよ!笑
-親子登山をしてよかったと思うことは?
「子どもがいるから登山はできない」といった制限をすることなく、家族一緒に楽しめること、子どもにいろいろな経験をさせられること、五感で楽しんでもらえるのがよかったです!
-今後親子登山での目標などがあれば教えてください
いつかキリマンジャロに登山したいです!
あとは、海外旅行した際は必ずその国の最高峰に登りたいと思っています!近い目標でいえば、アルプスの山をテン泊したいですね。
-これから親子登山をしてみたい方や海外での親子登山をしてみたい方へのアドバイスがあればお願いします。
ベビーキャリアに乗る時期は大人が楽しめる山歩きができました。当時は初めての子育てでミルクや離乳食の事前準備など、いろいろ大変だと思っていたんですよね。
今、3歳児の世話をして振り返ると、2歳未満は子どもの体重が軽いからベビーキャリアで背負いやすく、ぐずりが単純なので楽だったなと。そのときは楽と思えなかったのですが…(笑)
2歳未満は飛行機代が安いし、3歳のイヤイヤ期に比べたらあやしやく海外に行きやすいはず。
ハイキングを考えているパパさんママさんがいたら、その時期にぜひたくさん行ってほしいです!海外登山は、日本では見られない景色が見えるので。
ライター
yuki
幼少期からキャンプや釣り、スキーなどを楽しむアウトドアファミリーで育つ。10代後半は1人旅にハマりヨーロッパや北米を中心としたトラベラー期となる。現在もスキー、スノーボード、ダイビングなど海や山で活動中。「愛する登山」は低山から厳冬期の雪山まで季節問わず楽しむhike&snowrideなスタイル。お気に入りの山は立山連峰!Greenfield登山部/部長の任命を受け部活動と執筆活動に奮闘中。