異常気象や熱中症などの話題から、年々注目が増している地球の温暖化。さまざまなアウトドア・レジャーにも大きな影響をもたらしています。私たちもこの地球の危機的な状況に無関心ではいられません。この記事では温暖化がもたらすアウトドア・レジャーへの影響や、対策、事例などを紹介します。
地球温暖化の現状とは?
近年、地球温暖化によって、気温が上昇したり異常気象が多発したりと、世界各国で大きな影響が見られています。そんな温暖化の原因とされているのが、温室効果ガス(CO2)の排出量の増加です。世界中で経済発展が進んでいることもあり、今後はさらに温暖化の動きが加速するともいわれています。
以下の記事では、温暖化に関して詳しく説明していますので、ぜひチェックしてみてください。
地球温暖化がアウトドア・レジャーにもたらす影響
地球温暖化がさらに進むと、アウトドア・レジャーに以下のような影響をもたらすと考えられます。
- ウィンタースポーツ施設の減少
- 屋外イベントの運営方法の見直し
- 旅行先の変更
アウトドア・レジャーへの影響について、それぞれ説明しますね。
ウィンタースポーツ施設の減少
まず、地球温暖化の影響として予想されるのは、ウィンタースポーツ施設の減少です。現在でも、とくに冬の一大レジャーであるスキー場への影響が大きくなっています。たとえば、地域によっては暖冬で積雪量が減ったり、雪質が悪くなったりするなどです。
また、2031年以降には、北海道と本州の内陸の一部地域を除き、降雪量や積雪深が減少するといわれています。そのため、スキー場への来客数の減少や、営業期間の短縮、場合によっては施設閉鎖の可能性もあるかもしれません。
出典:
国立研究開発法人国立環境研究所「雪上レジャー」
気象庁「第4章 積雪・降雪の将来予測 」
屋外イベントの運営方法の見直し
温暖化が進むと、屋外イベントを運営するうえで、これまでとは異なる対策が必要となることも予想されます。
オーストラリアにあるニューサウスウェールズ大学のハガニ上級講師によると、2023年は世界で少なくとも29のコンサートや音楽イベントが、天候の影響を受けたとのこと。激しい雷雨のために公演時間が遅れたり、熱中症により多くの観客が倒れたりと、さまざまな困難に見舞われました。2023年は音楽業界にとって悲惨な一年だったといわれています。
こうしたこともあり、異常気象や気温の高い状況下で行う野外イベントでは、運営の見直しが求められています。たとえば、ニューヨークのマラソンイベントでは、当日のコース状況について色別コードによる警報システムを取り入れました。危険な場合は参加者が中止できるようになっています。
野外イベントは天候に振り回されやすいため、今後も緊急時の取り決めや対策などを練っていく必要があるでしょう。
出典:ロイター「頻発する異常気象、コンサートへの影響拡大 暑さで死者も」
旅行先の変更
旅行に出かける地域も、地球の温暖化で変化が見られます。マサチューセッツ工科大学の報告によると、世界の国々において北側の地域が旅行地として人気とのこと。
ヨーロッパでは、これまでは地中海の国々が旅行先として多く選ばれていたものの、近年では大幅に減少。代わりに、北欧諸国へ行く人が増加しているのです。
また、2023年、フランス官公庁や観光開発機構などが共同で発表したプレスリリースでは、フランスでは気温の低い北部で観光客が増加し、熱波に見舞われた南部の観光客が減少したとされています。ホテルの稼働率も、北西部では前年比で約6%上昇、南部では4~5%ほど低下していました。
温暖化によって、人気の旅行地がより地球の北部に移動してきていることがわかりますね。
出典:
マサチューセッツ工科大学「気候変動の影響を数値化する新しい方法:「アウトドアの日」」
Forbes JAPAN「地球温暖化がフランス観光を変える? 旅行客は南部から北部へ」
地球温暖化には「緩和」と「適応」が大切!
気候変動の影響が大きくなるなか、対策として求められていることには2つあります。まず、原因である温室効果ガスの排出量を減らす「緩和」対策。そして、すでに起こっている、またはこれから起こる被害を回避・軽減する「適応」対策です。
地球温暖化によるさまざまな影響から私たちの生活を守るためには、緩和と適応を同時に実践していく必要があります。
「緩和」対策=温暖化を抑える
緩和とは、温室効果ガスを削減し、地球の温暖化を抑止する取り組みのことす。温室効果ガスが増えつづけると、気温上昇や海面上昇、降水量の増加など、さまざまな悪影響をもたらします。
アウトドア・レジャーにおける緩和の取り組みとしては、長野県白馬村の事例が挙げられます。白馬村でスキー場を運営する八方尾根開発株式会社が行っているのは、スキー場の再エネ化です。
スキー場では、人工降雪機やリフトの稼働によって多くの温室効果ガスが排出され、多大な電力も消費されてきました。そこで八方尾根開発は、リフトで使われる電力を再生可能エネルギーへ転換することに。2022年4月には、スキー場の22基のリフトのうち、約72%が再生可能エネルギー100%で稼働するようになりました。
また、降雪機や場内のレストランでも、再生可能エネルギーの利用にかえたことで、合計1,000トン以上の温室効果ガスの削減に成功したのです。
こうした温暖化への緩和対策は、私たち個人でも日常生活で貢献できることがあるので、ぜひ以下の記事を参考にしてみてください。
出典:環境省「白馬八方尾根スキー場の取組み」
「適応」対策=被害を抑える
地球温暖化への適応対策とは、すでに生じている、または今後避けられない影響に対し、被害を最小限に食い止める取り組みのことです。
気候の変化をあえて受け入れた取り組みのなかには、私たちがすぐに実践できることもあります。たとえば、夏の暑い時間帯は外出を避けるなどが挙げられますね。異常気象への対策としては、災害時の避難ルートを確認しておくことも大切です。
地球温暖化によるさまざまな被害を抑えるためには、こうして自分たちで身を守る適応対策も必要とされるでしょう。
この記事では、地球温暖化がアウトドア・レジャーにもたらす影響や、具体的な取り組み例、対応策などを紹介しました。アウトドア・レジャーにおいて、気候変動は切り離せない問題のひとつです。今後もアウトドアを楽しむためにも、個人でできることについて考えていきたいですね。
ライター
エレナ
フリーランスライター。学生時代の海外ボランティアをきっかけにSDGsやエシカルに興味を持つ。主にSDGs、英語学習、留学、旅行について執筆。リフレッシュには自然の中でのんびり過ごすのが好き。