旅行先でダイビングを楽しむときの注意事項
スキューバダイビングは水中で呼吸ができるように、空気が入ったタンクを背負って海に潜るレジャースポーツです。
ハワイや沖縄など定番の旅行先でも人気のアトラクションのひとつで、旅行プランに合わせてダイビングライセンスの取得や体験ダイビングを楽しむ人がたくさんいます。
ですが、スキューバダイビングには飛行機搭乗のルールがあり、ダイビング直後に飛行機に乗れない規則があるのです。旅行先でスキューバダイビングの予定がある人は、飛行機搭乗ルールをしっかり守って旅行プランを立てることが大切です。
ダイビングの飛行機搭乗ルール
飛行機で旅行先に到着したその日にスキューバダイビングをすることは、全く問題ありません。しかし、ダイビングをした後に飛行機に搭乗する場合は、安全ルールをしっかり守らなければいけません。
ダイビング指導団体PADIの教科書には、「ダイビングの後に飛行機に乗るには、1日1回のダイビングをしたときは12時間以上、2回以上ダイビングをしたときには18時間以上の時間を空けなければいけない」と示されています。
さらなる安全のためには、ダイビング後24時間は時間を空けたほうが良いとする専門家もたくさんいます。このルールを守らないと、「減圧症」と呼ばれる潜水病を発症するリスクが高くなることが解っています。
また、ダイビング後に標高400m以上の高地への移動する場合も、減圧症の発症リスクが高くなります。たとえば、車を利用してダイビングに出かけた帰りに、標高の高い山を越えたら減圧症を発症したというケースも少なくありません。
ダイビング後に標高の高い場所に通る場合も、飛行機搭乗の同じルールを守ることが大切です。
ダイビング後すぐに飛行機に乗れない理由
ダイビング後に時間を空けないと飛行機に乗れない理由は、「減圧症」と呼ばれる潜水病を発症してしまうリスクが高くなるからです。
では、なぜ減圧症になってしまうのでしょうか?まず、私たちが呼吸をしている空気は、酸素が約20%、窒素が約80%で構成させた気体を指します。
スキューバダイビング中、水圧がかかった状態でタンク内の圧縮された空気を呼吸すると、陸上にいる時よりも多く窒素が体内に溶け込んでしまいます。
過剰な窒素はダイビング終了後に陸上で普通に呼吸をしていれば、少しずつ体外に排出されていきます。
ところが、体内から窒素が完全に抜けきれていない状態のときに飛行機に乗ったり高い場所に移動したりすると、まわりの気圧の変化によって体内の窒素が気泡になってしまいます。
ちょうどコーラの栓を開けた時に泡ができるように、体内の窒素が気泡化して体のあちこちに痛みなどの症状を引き起こします。これが減圧症の原因になります。
減圧症の症状
減圧症の初期症状では、手足や指先のしびれや強い疲労感やめまいが出ることがあります。重度の減圧症では、激しい頭痛、呼吸困難、意識損失と症状が進行していき、最悪の場合は死にまで至ることがあります。
ダイビング終了後に次のような症状が出たら十分な注意が必要です。
- 手足や指先のしびれ
- 関節の痛み
- 筋肉痛のような痛み
- 強い疲労感やだるさ
- めまい、ふわふわした感じ
- 目がチカチカする
- 手足に力が入らない
- 皮膚の赤みやピリピリとした痛み
- 激しい頭痛…etc
応急処置としては、左側を下にして横になり、酸素を与えたまま速やかにチャンバーと呼ばれる減圧治療設備のある医療機関に向うことが重要です。
その他の注意事項
減圧症の発症時間は、一般的にダイビング終了から72時間以内と言われていますが、1週間後に症状が出たという稀なケースもあります。
十分な時間を空けてから飛行機に搭乗したとしても、飛行機搭乗中あるいは飛行機を降りてから症状が出ることもあります。
これらの原因は今のところ解明されていませんが、ダイビング後の過度な飲酒や喫煙、寝不足、肥満などの要因が影響していると考えられています。
また、ダイビング前後に水をたくさん飲むことが減圧症の予防に役立つといった意見もあるので、ダイビング中は水分補給を怠らないようにしてください。
減圧症という不本意なトラブルを避けるためにも、十分な体調管理を心がけスキューバダイビングを楽しむようにしましょう。