ダイビング中に鼻血が出る原因
ダイビング中に鼻血が出る原因のほとんどが「耳抜き不良」です。ただし、耳抜きがまったくできないわけではありません。
耳抜きがスムーズにできないため、鼻をつまんで何度も何度も耳抜きを試みることで、鼻の内側の粘膜が擦れて傷がつき鼻血が出てしまうのです。
分かりやすくいえば、耳抜きのやり過ぎです。
ダイビング中は気がつかなくても、浮上してマスクを外してみたら鼻血が出ていて驚いたといった人も多いと思います。
そんな時は何度も耳抜きをしていなかったか振り返ってみてください。耳抜きがうまくできずに苦戦していたのではないでしょうか?
その自覚があるのなら、原因は耳抜き不良と判断できます。とくに鼻の粘膜が充血しやすいアレルギー性鼻炎の人は鼻血が出やすくなりますので注意しましょう。
リバースブロックによる鼻血
ダイビング中に鼻血が出るのは、耳抜きのやり過ぎのほかに「リバースブロック」が原因の鼻血の場合もあります。リバースブロックを簡単に説明すると、スクイーズと反対の現象のことです。
まず、ダイビングの潜降中に起こるスクイーズは、水圧の影響で鼓膜や副鼻腔といった人間の体内空間が圧迫され痛みを感じる現象です。
それを防ぐために耳抜きで空間に空気を送り込んで外側と内側の圧力を平衡します。
耳抜きによって空間に送り込まれた空気は浮上とともに自然と抜けていくのですが、内側の圧力がうまく逃げず、外側より内側の圧力が高くなってしまう現象がリバースブロックです。
このリバースブロックによって鼻血が出るのも耳抜き不良が原因です。潜降中に体内空間に空気が送り込めないと、体は空間の体積を一定に保とうとして血液や体液を吸い出します。
そして、この体内空間にたまった血液や体液が浮上とともに体外へ排出されます。これが浮上中に出る鼻血の原因です。そのためドロッとした血の塊のような鼻血が出る場合もあります。
必要であれば医師に相談も
ここまでお話ししてきたようにダイビング中の鼻血の原因は、ほとんどが耳抜き不良によるものです。しかし、場合によってほかの要因が関係しているかもしれません。
たとえば、飛行機の離着陸だったり、高速道路を車で走っていてトンネルに入ったりするときに、耳が痛くてどうしようもないといった人は、耳の病気の可能性があります。
また、ダイビングに限らず普段から鼻血が出やすい人は、重大な病気が隠れている場合もあるので、心当たりのある人は必ず医師に相談するようにしましょう。
ダイビング中の鼻血を改善するには
ダイビング中の鼻血のほとんど原因が「耳抜き不良」なので、ダイビング中の鼻血を改善するには、やはり正しい耳抜きの方法を身につけることが大切です。
正しい耳抜きとは、多くの上級者がやっているアゴを動かしたり唾を飲み込んだりする簡単な方法のことではありません。
正しい耳抜きのやり方はバルサルバ法と呼ばれる鼻をつまんだまま鼻からゆっくり息を出して「息む(いきむ)」という、ダイバーなら誰でも知っているもっともポピュラーなやり方です。
- 大きく口から息を吸う
- 片手で鼻をしっかり摘まみます
- ゆっくり鼻から息を吐くように息む
たったこれだけです。
人によっては目を閉じたほうが抜けやすい、抜けないほうの耳を上にむけると抜けやすい、首を回してからやると抜けやすいなど、ひとそれぞれのコツがあるので、いろいろ試してみるのがよいでしょう。
このバルサルバ法を自宅でリラックスした状態のときに何度も何度も練習してみましょう。強く息まなくてもバルサルバ法ができるようになれば、ダイビング中の鼻血の改善できるはずです。
耳抜きの正しいやり方について詳しく知りたい人は以下の記事も参考にしてください。
耳抜きが苦手な人必見!ダイビング中の耳抜きのコツと自宅での練習法
オトヴェント(OTOVENT)で耳抜きの練習
自宅でバルサルバ法の練習をしているけど、なかなか耳抜きが上手くならないという人がいるかもしれませんね。
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